梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

No.35 <人事を尽くして天命を待つ!>

2007年08月16日 | 芝居
『小学生のための歌舞伎体験教室』も無事本番の公演を終えることができました。
80名の子供たち、みんな今日が一番よかったです! やっぱり家族や友達が見に来ると、いつも以上の力が出るのかな。
毎度のことながら楽屋は戦場ですが、元気な坊ちゃん嬢ちゃまたちと、楽しい時間を過ごせました。
親御さん方も、送り迎えや準備がなにかと大変でしたでしょう。ご協力頂きまして、有り難うございました。
お子さんたちにも『合同公演』の紹介をさせて頂きましたが、せっかく歌舞伎に触れたみんな、観に来てくれるとイイナ…。

さて、全ての発表が終了したのは午後5時半でしたが、それから後片付けをすませて稽古場へ直行。午後7時より『乗合船』の<最後の>お稽古でした。
最後の、と申しましたのは、次の稽古はもう『合同公演』の<附立て>となりますので、これは地方(じかた)さんも入りますし、全て本番通りの進行となります。テープを使ってきた、場合によっては途中でダメ出し、ご指示も入るような稽古は、もうなくなるというわけです。
とにかく『これまで言ってきたことを忘れずに、きっちり丁寧に』と、藤間勘祖師からお言葉がございました。5月6月の時点から始まってきた稽古。その過程で頂いた沢山の<ダメ>を忘れず、気をつけること…。その上で<楽しく>踊らなければなりません。これってなかなか難しくって、気持ちとか雰囲気を出そうと思うとついつい形が疎かになったり癖が出てきたりするのですが、逆に(ここはこうして、次はこれ気をつけて…)なんて考えながら踊ると、表情からして暗くなったりするんですよね。
以前書いたことかもしれませんが、役者にとっての<心技体>のバランスは、踊りになりますと余計に難しいような気がいたします。

明日、明後日は自分でおさらい。気持ちを新たに、生演奏となる<附立て>に臨み、平常心で踊れるよう気をつけます!
まだまだ良くなれることを信じながら…。

No.34 <稽古稽古稽古!>

2007年08月14日 | 芝居
今日は午前10時から《小学生のための歌舞伎体験教室》、午後1時からは《合同公演》実行委員の会議、午後2時からは『勧進帳』、7時から『乗合船』の稽古。1日中国立にいっぱなしでした。
昨年も書いたかもしれませんが、お子様のパワーに圧倒されると申しましょうか、こちらのエネルギーを吸い取られると申しましょうか。とにかく4グループ分の『対面』<総ざらい>は体力がいりますね。
『勧進帳』は成田屋(團十郎)さんがいらして大稽古場での稽古。本番通りの寸法で演技ができますので、居所を重点的にご指導頂いた上でほぼノンストップで通し。そのあと改めての小返しとなり約2時間半。
その後チケット事務作業をしてから臨んだ『乗合船』は、A、Bそれぞれの通し稽古。終了は午後9時過ぎ…。

さすがに疲れました!
とりあえず、『どの演目も、仕上げに向かってグングン突き進んでおります!』とご報告させて頂きまして、まず本日はこれぎり…。
おやすみなさい。

梅之私信 <神田~湯島をお散歩>

2007年08月13日 | 芝居
今日は久しぶりにお稽古がない日。この時期珍しくお休みとなりました。
そこで、三越劇場で公演中の劇団新派『婦系図』を拝見に。新派の舞台を生で観るのは、研修生の頃、公演見学で拝見した『歌行燈』以来ですから、10数年ぶりとなりますでしょうか。
ご存知新派の当たり狂言。お蔦に波乃久里子さん、主税に風間杜夫さんという顔合わせ。狭い劇場を考慮した場割り(5幕9場)、演出になっておりました。
やっぱり「湯島境内」の素晴らしさにつきますね。「切通しを通るんですねえ。思いを切って通すんじゃなく、身体を裂いて別れるような…」お蔦の台詞が切実でした。



終演後は家内と共に、神田の<薮そば>に行ってみようと訪ねたところ今日から夏期休業とのこと、それではと、明神前の甘酒屋<天野屋>で甘酒のかき氷…と思いましたがこちらもお休み。何とも残念! 神田明神様にお参りをして、とにかく食事、食事…と歩いているうちに、はからずも今日の芝居の舞台、湯島天神についてしまいました。
幸い社前のお蕎麦屋さんで遅い昼食もすますことができ、本日2度目のお参り。ひいたおみくじは末吉でした。お蔦よろしく梅の枝に…といきたいところですが、禁止行為なのでポーズだけ…



こじんまりとしたとっても安らげる境内ですね。『婦系図』の原作者、泉鏡花の<筆塚>もございましたよ。




和菓子舗<つる瀬>の“ふく梅”をお土産に、上野御徒町まで歩いて鈴本演芸場中席の顔ぶれをチェックし(菊之丞、権太楼、さん喬、正蔵に、のいる・こいる、ロケット団、紙切り正楽と、なかなか豪華メンバーです!)、浅草経由で夕暮れ時の帰宅。よい気分転換になりました!

No.33 <『音の会』もう千穐楽>

2007年08月12日 | 芝居
《第9回 音の会》、無事2日間の公演を終えることができました。
お陰様で全日満員となりました。ご来場頂いた皆様には、心より御礼申し上げます。

お稽古を重ねては参りましたが、本番の舞台の上で、衣裳を着て鬘もかぶり、小道具も扱いながら、指導の方々のお教え通りにきちんと演じおおせるためには、2日間という期間はあっという間すぎるような気もします。もっとやりたい! というのが出演者たちの正直な気持ちです。とはいえ、短い期間にギュッと集中して取り組めましたので、密度の濃い芝居作りができたと思います。

菊五郎劇団音楽部、田中傅左衛門社中、そして竹本連中の皆様の会に参加させて頂き、かつ貴重な経験を積むことができました。今後とも、歌舞伎音楽の魅力を伝える『音の会』を、どうぞよろしくお願い申し上げます。

No.32 <『音の会』初日でした>

2007年08月11日 | 芝居
本日『第9回 音の会』初日。
お陰様で全席完売、満員御礼となりました! これは過去にもなかった嬉しい事態。だんだんとこの会が浸透してきた証しと、関係者一同喜んでおります。
普段はなかなかない『歌舞伎音楽演奏家』による<素演奏>という演し物も、歌舞伎で使われる<音>の素晴らしさ、曲の美しさを改めて再確認して頂く大切な演目でございます。今回は『蜘蛛の拍子舞』『鷺娘』という、内容的にもドラマチックな曲ですので、聴いていても十分楽しんで頂けたのではないでしょうか。
また、歌舞伎『忠臣蔵 九段目』では、若手の竹本の太夫さん、三味線さんが大役に挑まれるのが眼目で、私たち俳優は、むろん自分たちの勉強なのはいうまでもございませんが、普段以上に<地方(じかた)>さんと力を合わせることで、双方ともに修練していくという目的は、今回もかわりません。

その『九段目』、まずは無事に幕を閉めることができました。仲居、太鼓持ちたちも、昨日よりかはテンポよく芝居はこびができたと思います。明日はもっとこなれるよう努力いたします。
それにしても、このお芝居に登場する<戸無瀬><お石><小浪>の女形3役にのしかかる体力的な負担、必要とされる集中力の程は、他の芝居を見渡しても、並ぶものがなかなか見つけられないくらいの<重さ>がございますね。それぞれの思いを肚にためての台詞の応酬、イトにのった演技、出たら出っぱなし、休む間のない芝居(お石は一度引っ込みますが)…。
たんに時間的な長さで<大曲>といわれているわけではないこの芝居を、名題、名題下俳優で勉強させて頂けたことは、本当にすごいことだと思います。
こののち、いつこの芝居に携わらせて頂けるかは全くわからないのですから、今、このときの機会を十分に活かして、明日、2回目にして最後の舞台を勤めたいと思います。


下の写真は今回の《着到板》です。『音の会』は歌舞伎音楽演奏家の方々の勉強会。普段の歌舞伎興行のおりのものとはちがい、ちゃんとお囃子さん、義太夫さんのお名前をお一人お一人書くのですよ。皆様が主役の会ですもの!

No.31 <『音の会』さらに…!!>

2007年08月10日 | 芝居
本日午後1時半過ぎから『忠臣蔵 九段目』の<初日通り舞台稽古>。
《音の会》では歌舞伎の上演は1演目だけ、当然役者もひと役ずつですので、『蜘蛛の拍子舞』『鷺娘』の、素演奏の舞台稽古の間に余裕を持って支度できました。《合同公演》のときのように、誰かの後見をやってからバタバタと扮装するというのは、勤めさせて頂く役が役だけになかなかツライものもあるのです。

さて私、これまで腰元とか女郎とかは度々勤めさせて頂きましたが、<仲居>役は今回が初めてでございまして、白すぎない化粧の仕方とか、こういう役ではお馴染みの、緋縮緬の前掛けの締め方など、勝手のわからないことが多々ございました。同期や先輩に聞きながらの支度となりましたが、これも勉強! ですね。

大和屋(玉三郎)さん、師匠梅玉のお立ち会いのもと始まった舞台稽古はノンストップで進行いたしました。終演後は舞台上に全出演者、黒衣の後見役も揃ってお二人からのダメ出し。といっても、これまで積み重ねてきた稽古の成果ですから、細かい部分は少なく、“舞台で”演じる上での注意点、例えば居所とか小道具の置き位置、出のキッカケの取り方や演者同士の動線といった点を集中してご指導下さいました。
私たち仲居や太鼓持ちには、「雪道を歩いていることを忘れずに」というご指示がございました。下駄履きで花道から出て、また花道を引っ込むわけですが、積もった雪を踏みしめて進むわけですから、足音をたてないよう、スピードも速くならないよう(歩きづらいわけですからね)、雪道<らしい>演技を工夫しなさいとのことです。下駄で歩くのはただでも不安定になりますが、それをこらえてしっかりお芝居をしなくては! 
その他、ダメ出しこそございませんでしたが、木戸の出入りをもう少し段取りよく、トントンと運びたいねと、仲間内で反省いたしました。あとは小劇場の割りには長い花道を歩いている間の<捨て台詞>をもう少し増やして、芝居に穴があかないようにしたいなあ、とも…。

ついに明日、皆様のお目に触れる私たちの『九段目』。じっくりたっぷりお稽古して下さったお二方に少しでも報いることができるよう、一生懸命勤めます。
とにもかくにも、2時間の大曲に一同がっぷり取り組んでいます。ご声援よろしくお願い申しあげます!!

No.30 <『音の会』いよいよ…!>

2007年08月09日 | 芝居
今日は《音の会》の<総ざらい>。午後6時半からの顔寄せに引き続き、小劇場に飾られた『忠臣蔵 九段目』の装置を<道具調べ>。監修・指導でいらっしゃる、大和屋(玉三郎)さん、師匠梅玉のお二人が、この決して広いとは言えない劇場で私たちが不都合なく十分演技できるよう、書き割りの位置から木戸の置き場所、竹薮の枝の生え方までご指示を下さり、あわせて、舞台の寸法にあった役者たちの動きの段取りもつけて下さいました。

続いての本稽古では、明日の舞台稽古を控え、進行中もさかんにダメだしが入りました。台詞回し、イキ、間合い、要所要所の動き方、あるいは役作りに対しての「もっと重く」「柔らかく」というようなご注意まで。前回の稽古同様、義太夫さんにもご指導は及びまして、並みいる参加者一同の集中力もものすごく、稽古場全体ピリッと張りつめた空気。 大変な<場所>に居合わせることができた喜びは、こうしてキーボードに向かっている今も、ひしひしと感じております。
終了後もたっぷりとダメだし。これもはたから拝聴するだけでも有難いお言葉ばかり。なんだか今日の総ざらいは<歌舞伎ゼミナール>みたいな趣きで、聞き逃しては絶対後悔するぞというくらいの充実の3時間。やっぱり歌舞伎ってすごい…。

明日の舞台稽古、さらに我々の『九段目』は深まってゆきます。 

No.29 <今回の『九段目』は>

2007年08月08日 | 芝居
本日は《音の会》『忠臣蔵 九段目』の<附立て>。オールキャストが揃っての稽古はこれで2回目なのですが、これまで別々にでも大和屋(玉三郎)さん、師匠梅玉がご指導下さったお陰もあり、また、昨日全員での稽古をじっくり時間をかけてしたこともあり、皆々のイキも揃い、手前事ながらよくまとまっていたと思います。

今回の『九段目』は、由良之助(新蔵さん)が祗園から帰ってくる件、すなわち俗にいう<雪転し>からはじまります。太鼓持ちや仲居を引き連れ、雪玉を転がしながら帰ってくるという場面で、『七段目』の幕切れで見せた忠義一途の本心を再び包み隠し、ほろ酔い気分で雪遊びに興じたり、洒落のめしたり、女房のお石(京妙さん)にちょっかいを出したりと、<浮き大尽>ぶりをみせるわけですが、それが後段でガラリと変わるのが面白く、その賢者ぶりがよりお客様に伝わるのではないかと思います。
太鼓持ちに転がせてきた雪玉が、後に本蔵(橘三郎さん)に見せることになる五輪塔(死を決意した証し)となるわけで、全ては計算された行動、大きな覚悟のうえでの酔狂であることがはっきりと示されます。本当によく書かれた作品ですよね~。
さらに申し上げれば、この五輪塔が示された後、普段ですとすぐ本蔵の述懐になるのですが、今回は原作の浄瑠璃に基づきまして、戸無瀬(歌女之丞さん)とお石が、お互いにこれまでの非礼を詫びる件を演じます。由良之助、力弥(左字郎さん)の討ち死を覚悟していたからこそ、お石は小浪(玉朗さん)の嫁入りをあえて断ったわけですが、そんなことを露とも知らず、戸無瀬は生さぬ仲の娘の為に、命を懸けた交渉に打って出た。相争う女同士の想いが、討ち入りに向かう男たちの決意が明かされた途端に打ち解け合い、悲しくもまた強い絆で結ばれる…。そして、それを見届けたからこそ、力弥と夫婦になれた娘小浪を「武士の娘の手柄者」と誉めてやれる本蔵の思い。
是非この件にご注目頂きたいと存じます。

『音の会』だからこそできる丁寧な上演、演出でお見せする義太夫狂言屈指の大作。決して飽きさせはいたしません。
浄瑠璃を語る竹本蔵太夫さん、竹本愛太夫さん、竹本豊太夫さん、三味線の豊澤岬輔さん、豊澤長一郎さん、豊澤勝二郎さん共々、一丸となって取り組みます。ご声援よろしくお願い申し上げます!

No.28 《音の会》本格始動!

2007年08月07日 | 芝居
4日後に初日を迎える《音の会》の稽古も大詰めです。
『仮名手本忠臣蔵 九段目』の稽古も、今日の稽古から義太夫さんが合流。生演奏でのお稽古となりました。
大和屋(玉三郎)さんにお出でいただき、黒衣の後見を勤める俳優も全員集合しての通し稽古。ようやくこのお芝居の全体像が見えてまいりました。
大和屋さんのお稽古は、義太夫狂言の“イキ”を大事になさり、台詞を言い出す前、あるいは相手の演技を受けての<間>のとりかたで、役の気持ち、性根をハッキリ打ち出すことをご指導下さいます。相手の台詞を<受け止め>、そしてそれにきちんと<反応し>た台詞回しにすること。くわえてその台詞自体を、自分に言い聞かすためのコトバなのか、相手に訴えるコトバなのか、というように、目的、対象を明確にした演技をするために、いかに<呼吸>が大事か…。大変勉強になりました。
細かい動き方ももちろんのこと、義太夫の語り方にも事細かにご指導下さり、たっぷり3時間、中身のぎっしり詰まった稽古をしてくださいまして、出番の済んだ者たちもじっと見守る熱い熱い稽古、ものすごい求心力でした!

私、今回の『音の会』に参加するのが決まったのは、実は主なるキャストが決まった後だったのですが、遅ればせながらも一座に加わることができ、本当によかったと思っております。女形としての勉強を一からさせて頂く上で、今回一連のお稽古がどれだけ勉強になることか。同期の坂東玉朗は<本蔵娘 小浪>の大役を勤めますが、私は脇の<仲居>として、この芝居に携わる者としての責任を果たしたいと思っております。

『合同公演』のお稽古はしばらくお休みですので、ここ数日は《音の会》の稽古模様をお伝えいたしたく存じます。

No.27 <松濤稽古場便り・3>

2007年08月05日 | 芝居
今日は午後2時から御宗家稽古場で『乗合船』のお稽古。ただし今日の稽古は各役個人ごとの稽古で、勘祖師がお昼から夜半まで、万歳→白酒売り→鳥追い→通人…と、かわるがわる現れる役者たちにお稽古をしてくださいました。一心會のお疲れもまだおありでしょうに、本当に有難いことでございます。
一対一の稽古ですから、じっくりと見て下さいまして、こちらの至らぬ点をどんどん指摘して下さいます。今日はとくに視線の方向をご注意頂きました。手足の動きだけではなく、それに合わせて顔でも踊らなければ振りが生きないということで、どこを見て踊ればよいかとか、顎の上げ下げなど細かくおっしゃって下さり、より振りに心が通うよう、意味が生まれるよう導いて下さいました。
その他たくさんダメ出しを頂きましたので、きちんと吸収するまでは大変大変! 明日のお稽古までにしっかり咀嚼しなくては…。

全員が顔を揃える日までは、こうした<個別集中稽古>が続きます。

No.26 <最新チケット情報!>

2007年08月04日 | 芝居
いよいよ《合同公演》開幕が迫ってまいりましたが、今日はチケット残席状況をご報告いたしたいと思います。

お陰様で、『今様須磨の写絵』『勧進帳』の《C班》は全日完売です! 大変有難い事態、出演者一同嬉しい悲鳴をあげております。

『寺子屋』『乗合船』の《A班》《B班》に関しましては、25(土)、26(日)の11時開演の部は完売
22(水)、23(木)の11時開演の部は余裕あり
23(木)~25(土)の6時開演の部は大いに余裕ありです!

これからチケットをお求めになる方は、是非是非夜の部を! 9時前には終演する予定ですし、お仕事帰りにも立ち寄れるプログラムですよ~。
出演者一同、なお一層の宣伝活動展開中! どうぞよろしくお願い申し上げます!!

No.25 <『勧進帳』稽古に初参加>

2007年08月03日 | 芝居
《一心會》の疲れもとれきってはおりませんが、本日は正午より《音の会》の『忠臣蔵 九段目』と、《合同公演》の『勧進帳』
のお稽古に参加。
『忠臣蔵 九段目』は、大和屋(玉三郎)さんと私の師匠、梅玉の監修・指導でございます。今日は師匠がおいでになって、幕開きの<雪転し>の件と、立役の役々(由良之助・本蔵・力弥)が活躍する後半場面を中心にご指導くださいました。
とりわけ後半部分につきましては、地方公演や昨日の《一心會》のような各種の催しがひとまず済み、主な出演者がようやく揃っての稽古でしたので、段取りを合わせたり細かい演技のやり方を確認したうえで、個々の台詞回しにしても芝居運びにしても、義太夫狂言としての基本をふまえながら、どう緩急をつけて盛り上げてゆくか、作の本意を伝えるか。そういう点を主にご注意下さいました。2時間余、じっくり見せる演目ですが、お客様を飽きさせないメリハリの利いた芝居づくりを出演者一同心がけます。


続いての『勧進帳』のお稽古も、出演者が全員揃ったのは今日が初めてでした。もちろん、弁慶、富樫はじめ、個々にはしっかりお稽古をしてきたうえでの合流ですが、代役無しの通し稽古は第1回目ということで、じっくりお稽古して頂きました。
私は富樫の後見。小道具も使わない素稽古の段階では仕事がないので、テープ係として参加。録音した長唄、を進行に合わせて再生、停止の繰り返しです。
監修・指導の成田屋(團十郎)さんは、発声の仕方や歩き方といったところから丁寧にご指導下さいます。その上で、「何を言いたいのか」「誰に言っているのか」「どういう気持ちでその形になるか」という風にお教え下さるので、はたで拝見しているだけでもものすごく勉強になりました。『勧進帳』だけでの話でおわらない、全ての芝居に通じることなのではないかな…。自分の無自覚さに反省です!

8月に入り、勉強会の各演目がどんどん形作られてまいります。
ご指導いただく方々に少しでも報いるためにも、皆で助け合い教え合い、一致協力して取り組みます!




梅之私信《御礼! 一心會》

2007年08月02日 | 芝居
本日、《一心會》本番。昼の部夜の部ともに大勢のお客様がおこしくださり、大変有難いことでございました。
私の3役、今日はとにかく慌てずに、そして丁寧に、無心に…。この舞台に自分の今持っているものを注ぎ込むだけでした。
お陰様で失敗もなく勤めおおせることができました。これも御覧頂いた方々からの温かい<気>のお陰です。心より御礼申し上げます。

1回ぽっきりの舞台を、本当に悔いなく終えることは大変難しい! ですが今、私の心のうちは大役を勉強させて頂けた喜びと、無事勤められた有難さでいっぱいです。これからも踊りのお稽古をしっかりと積み、少しでも進歩できるよう努力いたします。

拙い舞台を見守って下さった皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
どうも有り難うございました。


※写真を追加しました(8月11日)。『茶壺』の目代です。御宗家の演出で、髪もところどころ白くし、皺も描きまして、<老け>として演じさせて頂きました。こうして見ると恥ずかしいですが、記念ですので…。

梅之私信《一心會舞台稽古》

2007年08月01日 | 芝居
日本橋劇場での《一心會》舞台稽古。丸一日劇場で過ごしました。
昨日の<下ざらい>では、テープから生演奏へと<音>が変わりましたが、今日は<舞台>が変わります。間口も奥行きも広い所作舞台に場所を移し、<居所>や歩数、動きの間合いを変えなくてはなりませんが、壁やら人やらを気にすることなく、のびのびと動けるようになることで、ある意味大変楽になります。

とはいえ緊張もさらに高まるのは事実で、劇場での稽古となりますと、客席には関係者の皆様や先輩後輩、あるいは師匠方もおいでになりますので、そういう環境のなかで踊るというのはやっぱりプレッシャーになりますね。
私自身、昨日の課題を克服しようという気持ちからか、だいぶ踊りに力が入ってしまいました。もっと軽く、自然に演じたかったのですけどね。
ただ、今日の稽古で目一杯心も体も動かせたので、明日はどういう加減で勤めればよいか、その目安がはっきりしたのでよかったのではないか、とも。なにしろ明日1回しかない晴れ舞台、悔いのないよう一生懸命勤めるのは当然のこととして、御宗家からのお教えをどれだけ守れるか、そういうこともしっかり心に入れて踊らせて頂きます。

ご覧頂く皆様には、なにとぞ鷹揚のご見物のほど、お願い申し上げます。拙いのは当然のこと、とにかく行儀よく、皆様の心に届く踊りを目指しますので!!