梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之博多日記6・『福は内輪の…』

2006年02月03日 | 芝居
今日は節分でしたね。皆様のご家庭と同様に、劇場でも、<豆まき行事>が華やかに執り行われました。
昼の部の『口上』が終了後、閉まった幕を再び開けますと、口上に列座されておりました幹部俳優さんがそのままに、豆の入った升(写真を参照して下さい)を手にして居並び、座頭の京屋(雀右衛門)さんのご挨拶の後、明るい鳴り物にあわせ、客席の皆様に向けてどんどん豆(の入った袋)を撒いてゆきます。お客様はお目当ての俳優さんから豆をもらおうと大賑わい。歓声もあちこちで上がっておりました。師匠はちょうど下手の端におりましたので、花道中ほどまで進んで、客席奥の方のお客様にも豆を撒いていらっしゃいました。一通り撒き納めたところでめでたく幕となりましたが、お客様にとりましては、なによりのご馳走になったのではと思います。なにしろ年に一回のことですからね。巡り会えた方は、きっと一年幸福ですよ!
豆まき行事は歌舞伎座でも毎年行われております。歌舞伎座では、名題下俳優数名が鬼に扮して舞台に出たりもいたしますが、不思議なもので「恒例の鬼担当役者」なるものが決まっておりまして、だいたい毎年同じような役者さんが勤めております。
…余った豆はご自由におとり下さい、とのことでしたので、ちょっと多めに頂いて、今コンニャクや人参とともにグツグツ煮込まれております。明日のおかずになる予定です。

さて『女伊達』では気持ちも大分落ち着き、気をつける点を意識しながら勤めることができました。技を披露する人たちも、ますます安定してきています。短時間でぎゅっと濃い立ち回りですので、集中力と冷静さを大事にしてゆきたいです。
『大津絵道成寺』は、あいかわらず<トウ尽くし>が受けません。あと一日辛抱して、まもなく披露のオリジナル台詞に工夫を凝らします!

南南東を向いて恵方巻きも頂きましたし、暦の上では明日からの<春>を、十分謳歌できますように!