梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之博多日記5・『本日初日』

2006年02月02日 | 芝居
ついに始まりました、博多座二月大歌舞伎。山城屋(藤十郎)さんのご襲名披露興行も三ヶ月目です。
『伽羅先代萩』では、師匠の着付けも一発で綺麗に仕上がりました! ほっと一安心です。ここまで至る道のりは試行錯誤と悩みの連続でしたが、今日はとりあえず、一つのステップを上がれたかなと思います。とはいえこれに満足せず、もっともっと自分に課題を与えて頑張ってまいります。
『女伊達』の立ち回りもまずは無事終了。細かい部分ではいろいろとありましたが、今日で<本番の感覚>をつかめたので、みんな明日からはどんどん良くなってゆくはずです。私の課題としては、動きにキレがないので、もっとキビキビと動けるようにしなくてはなりません。しかしながら、心地よい緊張感と申しましょうか、舞台に出てゆくまでのワクワクする感じ、たまりません!
『大津絵道成寺』では例の<トウ尽くし>が、ちっともご見物に受けなかったので、奴全員大ショック。もともと、初日から三日間は、自分のアイディアをいれずに、台本どおりにしゃべることになっているのですが、その台本が、なにしろ昔に作られたものですし、ごくごくオーソドックスな台詞になっているので、いまいちお客様へのインパクトが足りません。さらには、お客様にとっても、<◯◯尽くし>という、歌舞伎独特の遊びに戸惑いを感じられていたようで、どうにも(ここで笑っていいの?)という空気が客席に充満してしまい、今日の花道での数分間は、我々にとって実につらい時間となってしまいました。…お客さまに笑って頂くための台詞ですので、皆様多いに笑って下さいね! 四日目からは、もっと面白い台詞を考えますから!

今月は、昼の部の『女伊達』終演後から、夜の部の『毛抜』が終わるくらいまで、約二時間の空き時間ができました。以前お話ししたように、今月のマンションは劇場から三分ですので、パッと帰ってゆっくり休んで、またまたパッと楽屋入りという感じで、自分の時間を過ごせそうです。

とにもかくにも、無事初日も開きました。明日からは、またあれこれと、お芝居の話をさせて頂きます。
今日の写真は、私が入っている楽屋入り口の名札掛け(というか入れ?)です。今月名題下は五十余人。三部屋に分かれておりますが、なんと私がいる部屋では、私が一番古いのです。ちょっと悲しいですね…。