みちのくの山野草

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「マスメディアの沈黙」も大きな一因

2023-10-12 10:00:00 | 菲才でも賢治研究は出来る
荒木 吉田の指摘のとおり、周りの人達は知っているのにそれを知らん振り振りし続けてきたことが招いた悲劇だと俺も思うのだが、今頃になってやっとこのことが大問題になったということは、取り分け、「マスメディアの沈黙」が大きかったのじゃないのかな。
吉田 たしかに、1988年には元フォーリブスの一人がこの「性加害」を告発する本を出していたということだから、少なくとも今から35年前には既に世に知られていたことになるからな。しかも、2003年には東京高裁がジャニー氏の性加害を認定、さらに2004年に東京高裁はジャニー側の上告を棄却したというじゃないか。にもかかわらず、殆どのマスメディアは沈黙し続けていたということになる。
鈴木 そのことに関しては大谷昭宏氏も、この10月3日のTBS「ひるおび!」において、
 我々メディアもあそこまで責め立てる権利があるのかと。私自身、ワイドショーやっている時に、ジャニーズに批判的な芸能レポーターがどんどん干されていくのを横で見ていた。それを黙っていたわけですから、我々側にも何かもっと手だてがあったんじゃないか、という思いが非常に強くある
と、後悔していたくらいだから、さもありなん。
吉田 さりながら、天網恢々疎にして漏らさず。いつまでも隠しおおせるものではない。日本の放送でなかったことが残念だが、2023年3月に、英国BBCがジャニー氏の性加害問題を放送したことによって世界中に知られてしまったわけだ。
荒木 そしてそれが、ブーメランになって日本に戻ってきて、大騒ぎになっているわけだ。
吉田 かつてとはちがって、今の時代は人権が何よりも優先される時代だ。だからなおさらにこの「性加害」は人権侵害と言えるし、それも弱い者に対する人権蹂躙だから、決して許されることでないものの最たるものだ。
荒木 となれば、この「性加害問題」が起こってしまったのは「マスメディアの沈黙」も大きな一因だったのだから、濡れ衣であった〈悪女の高瀬露〉が全国に流布したことと似たような構図がある。つまり鈴木の主張、
 「新発見」の書簡252cとは言い難いのに「新発見」とかたり、にもかかわらず『校本宮澤賢治全集第十四巻』はさらに推定を重ね、しかも一般人である「高瀬露」の実名を顕わに用いて、「推定は困難であるが」と前置きしておきながらも、「この頃の高瀬との書簡の往復をたどると、次のようにでもなろうか」などというような投げやりで、はしなくも、いい加減だという印象を与えるような表現を用いて、「困難」なはずのものにも拘わらず、スキャンダラスな表現も用いながら推定を繰り返した推定群⑴~⑺を『校本宮澤賢治全集第十四巻』は公表した。
 その結果、濡れ衣〈悪女の高瀬露〉が全国に流布してしまった。
と「性加害問題」とが、よく似た構図をしているように俺には見えるんだよな。
吉田 そうなんだよ。どちらの場合も、実は事情をよく知っていながら見て見ぬ振りをし続けた来たという点でもな。
鈴木 やはりそう見えるか。ついては、その観点からもこの新刊をじっくり読んでもらえればありがたい。

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 非才な私でもなんと賢治研究が出来た。その結果、辿り着けた事柄を述べたのが、拙著『このままでいいのですか 『校本宮澤賢治全集』の杜撰』(鈴木 守著、録繙堂出版、1,000円(税込み))

であり、近々岩手県内の書店で販売されることとなった。
 なお令和5年9月20日以降であれば、岩手県外にお住まいの方も含め、本書の購入をご希望の場合は葉書か電話にて、入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金として1,000円分(送料無料)の切手を送って下さい。
            〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守  ☎ 0198-24-9813

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