みちのくの山野草

みちのく花巻の野面から発信。

1208 田日土井(その3)

2009-10-29 08:00:08 | 花巻周辺
       <↑大堰川の流れ>

 ところで、田日土井はどこにあったのだろうか。
 案内板によれば、次が
《1 周辺の地図》(平成21年10月27日撮影)

であり、『碑そばの大堰川の下流百メートルの「田日土井」から取水しました』とある。
 ならば、次がその
《2 下流百メートル地点》(平成21年10月27日撮影)

である。したがってこの辺りに「田日土井」があったということになろう。
 さて、このまま大堰川に沿って下っても直ぐ高速道路に突きあたり、そこを越えれば住宅街となるので、当時の面影は期待できないだろうから逆に遡ってみることにしよう。

 大堰川に沿って舗装道路があり、田日土井の賢治の詩碑から西に300mほど進むと
《3 何かあり》(平成21年10月14日撮影)

 そこには、まず 
《4 平賀千代吉翁の顕彰碑》(平成21年10月14日撮影)

があった。その
《5 案内板》(平成21年10月14日撮影)

も建ててあり、
   平賀千代吉と豊沢ダム
 大正時代まで、豊沢川下流は水が少なく、稲が枯れてしまうほどでした。自分たちの水田に水を引こうと、はげしい水取のけんかが、たびたびおこりました。人々は、「水があったら、米を作れるのに。」と長い間、願い続けました。
 耕地整理組合長の平賀千代吉は、けんかの仲裁に出かけているうちに、ダムをつくることを決意しました。それから千代吉は、豊沢川上流の山や谷を調べ回り、「豊沢地区の山あいのせきを止めて、水をためれば、下流の田に水を送ることができる。」と考えました。
 町や村の人々に相談すると、昔から豊沢地区に住んでいた人たちは反対しましたが、しだいに賛成してくれるようになりました。
 ダムづくりには、たくさんの費用がかかるので、県から応援してもらおうと、千代吉は何度も県庁にお願いに行きました。
 昭和十六年、県の力で建設工事が始まりましたが、戦争のため長い間、中止することになりました。
 戦争が終わると、千代吉は国の力も借りようと思い、何度もお願いをくり返し、やっと国で工事をしてくれることになりました。(以下略)

と説明している。
 その碑の直ぐ先には
《6 賢治の詩碑》(平成21年10月14日撮影)

も建っている。
 その碑文は、「詩ノート」の
   一〇八四
   〔ひとはすでに二千年から〕
                  一九二七、七、二四、
   ひとはすでに二千年から
   地面を平らにすることと
   そこを一様夏には青く
   秋には黄いろにすることを
   努力しつゞけて来たのであるが
   何故いまだにわれらの土が
   おのづからなる紺の地平と
   華果とをもたらさぬのであらう
   向ふに青緑ことに沈んで暗いのは
   染汚の象形雲影であり
   高下のしるし窒素の量の過大である

であった。なお、
《7 その碑陰》(平成21年10月14日撮影)

には
 地域の長年の悲願であった豊沢ダムが一九六一年五月完成し みごとに整備された広大な美田を潤している
 豊沢ダムの実現に一身をささげた豊沢川土地改良区初代理事長平賀千代吉翁の偉業をたたえる顕彰碑は 当初東北自動車道花巻南I・Cの西方に建立されたが 農道の整備により この地に移設した
 ここに 記念として こよなく郷土を愛し 稲作指導や肥料設計など ひたむきに農民のために力を尽くした宮澤賢治の「詩ノート」から 土にちなんだ一篇を石に刻んで建立する
 二〇〇二年十二月

と記してあった。

 さらにその道を遡ると
《8 また何かあり》(平成21年10月14日撮影)

山の神神社であった。
 そこの境内には塚が2つあり、
《9 向かって右側の塚》(平成21年10月14日撮影)

因みにこちらの塚には次のような庚申塔が2基ある。
《10 建立年不明の庚申塔》(平成21年10月14日撮影)

《11 和32年建立の七庚申》(平成21年10月14日撮影)

こちらの碑には文字に赤い塗料が塗られている。
 また、次が
《12 左側の塚》(平成21年10月14日撮影)

である。
 さすがに山の神神社だから、右端の石塔は
   山神(白っぽい塗料が塗られている)
以下左へ順にそれぞれ
   湯殿三山
   鳥海山
   月三山
   鳥海山
と石塔には刻まれている。

 近くの田日土井の塚といい、このの塚といいこれだけの供養塔や庚申塔が建立されていることに感心するとともに、昔の人たちの信心深さに敬意を表したくなる。

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