鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例制定調査

2018年10月12日 | 議会活動

平成30年10月12日(金)

 

 現在、静岡県議会では「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を制定検討中であり、その参考とするため先進地であり活用事例調査のために鹿児島県庁並びに鹿児島市内を視察しました。

 

 静岡県では、東京2020オリンピック・パラリンピック自転車競技の開催地として県内東部地域が会場となるなど、自転車への関心が高まることで、「サイクルスポーツの聖地」を目指す施策を展開しています。一方で、自転車は県民生活にとって気軽な交通手段であり、生活の足として利用されてきました。

 しかし、自転車は軽車両でありながら交通ルールが徹底されておらず、事故が多発しています。特に、中・高校生や高齢者の事故は深刻で、死亡事故も発生していることから、安全対策を講じることが避けられなくなりました。

 交通ルールを守ることはもちろんのこと、自分自身を守るためのヘルメットの着用や、万が一に備えて損害賠償保険に加入するなどが重要な手立てのひとつとなっています。安全対策は、利用者だけではなく、ハード整備に関わる道路管理者としての行政や、安全教育を実施する学校など、県民総出の取り組みが鍵となっています。

 

 これらを実現するための制度は、本県のみならず全国でも進められており、今回視察させていただいた鹿児島県はいち早く取り組まれていたので、条例案検討段階でも資料を取り寄せるなど、参考とさせていただきました。

(鹿児島県庁にて)


(意見交換の様子)

 

 以下、「かごしま県民のための自転車の安全で適正な利用に関する条例」について概略に触れてみます。

 目的の主旨は、本県が目指す条例とほぼ同じです。施行日は、平成29年3月24日ですが、「自転車損害賠償保険等への加入義務」や、「幼児用座席に幼児を乗車させる際の乗車用ヘルメットを着用させる義務」、「保護者の幼児、児童または生徒(中学生に限る)に乗車用ヘルメットを着用させる義務」については、平成29年10月1日からとしました。

 条例で規定するそれぞれの役割では、「自転車利用者」は、利用する自転車の点検、整備、施錠。「自転車貸付業者」は、貸し付け用に供する自転車の点検、整備」。「事業者」は、従業員への啓発、指導並びに、事業の用に供する自転車の点検、整備」。「保護者」は、監護する未成年者に対する技能、知識の習得。「学校の長」は、こうつう安全教育の実施などを掲げています。

 主な施策は、自転車損害賠償保険への加入では、自転車利用者と自転車貸付業者並びに事業者は、加入を義務とする。自転車販売業者は、加入確認の義務を行うとしています。

 乗車用ヘルメットの着用では、自転車利用者は、着用の努力義務や同乗する幼児に着用させる義務。保護者は、中学生以下の子に着用させる義務。高齢者の同居者等は、高齢者に着用の助言をする努力義務となっています。

 

 条例文を読んでみると、義務、努力義務、努める、対象とする年齢などに苦心した形跡が見られ、どのような議論を重ねてきたのか非常に興味がありました。本県の条例検討委員会でも、各方面の関係者にお集まりいただき、ご意見を聴取しましたが、それぞれの立場で条例に対する見方が異なり、特に高校などで通学に使う場合では、学校内で取り組んできた安全管理について、条例をどのように適用していくべきか考えさせられる場面もありました。

 

 今回の視察では、本県条例検討会でのやり取りから課題となった内容について、検証することが大きな目的でもありました。限られた時間を有効に活用するために、あらかじめ、先方に質問項目を提示し、それに沿った説明を受けることができました。

 現実的に活用できる条例化を目指すためには、自転車利用に関し安全をどう確保するかは、一人一人が考え行動することが重要です。親や学校から指導されることで中学生くらいまでは守られていても、それ以上になると形骸化していくことが現実となっています。

 学校や職場などで、常に教育的視点で安全意識をすり込むことが基本となるように感じました。その意味では、短期間に成果が得られるものでなく、長いスパンで見ていく必要がありそうです。また教える側の教員への指導も重要となってきます。

 

 条例についての意見交換の後は、鹿児島市役所に移動し、「鹿児島市コミュニティサイクル『かごりん』について、市役所担当者から説明を受け、「かごりん」の設置場所に出向き、条例制定がこのようなレンタサイクル事業にどのような効果や影響を与えているのかを視察しました。

 損害保険加入は事業者に義務を課していますので、特に問題はありませんでしたが、ヘルメット着用については様々な課題が浮き彫りとなり、また条例で規制していないことから、準備もされていません。ただ、中学生以下の子どもが利用する場合は、ヘルメットが必要であることの表記や、このシステムの管理事務所にはいくつかのヘルメットが用意され、申し出があれば貸し出すことも可能ということでしたが、その数は150台上ある自転車の数に対して10にも満たず、安全対策を重視しているようには感じません。ヘルメット着用が本人の安全対策に欠かせないといいつつも、現実的な課題は大きいと感じました。

(コミュニティサイクル「かごりん」の説明を鹿児島市職員から受ける)


(自転車に張られたステッカー)


(自転車の荷物を入れるかごには、このような表記が着けられていた)


(鹿児島市内にはこのような光景が見られる)

 

 今回の視察結果を持ち帰り、整理して本県条例に生かしていきたいと思います。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 県議会9月定例会閉会 | トップ | 沼津鉄道高架事業が前に進むか »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

議会活動」カテゴリの最新記事