簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

小田原温泉・八里(東海道歩き旅・相模の国)

2018-06-06 | Weblog


 風祭の駅前にあるかまぼこの里でしばし体を休めたのち、入り口で目が合った
警備員に近くで入浴の出来る温泉を訪ねると前方を指さし教えてくれた。
その先を見れば道路脇に「小田原温泉」の黄色い看板が見える。




 
 「しかし、今日開いているかなァ~」と些か自信がない様子。
礼を述べ「行ってみる」と言い残し道路を横断する、とそこはまるでただの民家の
ようで、車なら気付かず通り過ぎてしまいそうなぐらい目立たない建物が、賑やか
な周辺に気兼ねするように建っていた。



 玄関の前に、営業中の立て看板があり、どうやら大丈夫そうだ。
「温泉 八里」と書かれたガラス戸を恐る恐る開けると、フロントにはおばちゃん
が一人店番をしていた。
「入れる?」と問うと、廊下の奥を覗き込みながら「今二人だけ」と言い、料金を
聞くと「1時間500円」と言う。
「長湯をするお客さんがいるからね」と話好きなのか「おじいさんが掘り当てたの。
源泉は川の向こう。かけ流しだよ。まず一杯源泉を飲んでみて」などと、この後ひと
しきり入浴時の注意や、神奈川だかどこかの人が三か月ほど通い詰めてアトピーが治
った話などを聞かせてくれる。



 浴室前の廊下にスリッパが二足脱ぎ揃えられていた。
「スリッパは廊下に脱いで」と言っていたから、これを見て入浴客を把握している
ようだ。広くはない脱衣所で服を脱ぎ、タイル張りの浴室に入ると先客が二人いた。
観光客と言うより地元の人のようだ。
かなり長いことつかっているのか、肌が桜鯛のようにあかく染まっている。



 四五人も入ればいっぱいになってしまいそうな浴槽が窓際に有り、湯が溢れている。
「ここに入れ」と、先客が空けてくれた湯につかる。
無色透明、刺激のない柔らかい感じのややぬるめのお湯だ。
これならゆっくり湯に浸かれるので、疲れた身体には丁度いいし、足の疲れも取れ心身
ともに癒されそうだ。
アルカリ性単純泉、温度は37度くらいと言うから、長湯をする気持ちが良く解る。(続)

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「かまぼこの里」(東海道歩き旅・相模の国)

2018-06-04 | Weblog


 上板橋で箱根登山鉄道のガードを潜り、再び国道1号線に合流すると、しばら
くはそれらに挟まれるように狭い歩道を進む。
左手に早川が近づき、その奥に西湘バイパスを行く車の流れが見える。
正面には、箱根の山が低く垂れこめた灰色の雲の中に霞んでいる。
日差しがなく、夕暮れ時のようにどんよりと暗くなり、午後からの雨が現実的に
なってきた。



 小田原厚木道路を越えると前方に、老舗のかまぼこ屋の「鈴廣かまぼこの里」の
建物が見えてきた。小田原は江戸時代の後期に考案された、板かまぼこの産地とし
て全国的にも知られたところだ。創業100年を超える老舗も少なくないと言う。
そんな店が市内のいたるところに、店舗を構えている。



 少し疲れた風な歩きが気に留まったのであろうか、目が合った。
老舗のかまぼこ屋「鈴廣かまぼこの里」の駐車場前で出入りする車を捌いていた
警備員が「試食も出来ますから寄って行ってください」と声をかけてきた。
疲れもたまり、そろそろ休みたいと思っていた矢先なので、勧められるままにこ
れ幸いとその店に寄ってみる。



 店内は随分な賑わいで、買い物客でごった返し、試食ができるコーナーには、
人の群れが出来ている。ここでは買い物だけではなく、何軒かの食事処も併設
されていて、地ビールや地産地消のバイキングも楽しめるようだ。
またかまぼこ・ちくわ造りの体験教室も開かれると言う。



 帰り際に件の警備員に、この近くの日帰り入浴ができるところを尋ねると、
「とっておきの良い湯がある」と目の前の温泉を教えてくれた(続)



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これより箱根路(東海道歩き旅・相模の国)

2018-06-01 | Weblog

 東海道は本町辺りで再び国道1号線に合流し、いよいよ箱根八里、天下の険を
目指すことになる。
ここら辺りの標高はまだ10m程度である。元箱根が775mと言うから、これからそ
の標高差が700mを越える峠道を上ると言うことになる。
その箱根の宿までは四里八町(およそ17km)の道のりだ。



 道はJR線を潜る辺りでやや北に進路を変えながら、板橋地区の上方口見附跡
を見てのちに、緩やかに上り始めるが、歩いていてそれを実感するほどでもない。
新幹線下で国道を右に外れ旧道に入ると、ここら辺りでやっと標高13mである。





 小田原の旧東海道沿いには、古い趣のある商家も僅かながら残されている。
この通りもそんな道で、なかなか雰囲気が良い。
やや古そうな平屋平入の民家も所々に残されていて、中にはこの地方の特徴的
な「出桁造り」で構えた家もある。
この造りは軒先を豪華に見せるため主に商家などでは用いられたが、一方で昔
は一般の百姓家には造ることを許されてはいなかったと言う。



 通りに黒いなまこ壁を張り巡らした、一風変わった建物が建っていた。
その建物はこの地で3代100年にわたって醤油製造に携わってきた内野邸のもので、
店舗兼住宅として明治36年に建てられたものだそうだ。



 全体を黒っぽくまとめた重厚な土蔵風の造りで、この周辺で異彩を放っている。
正面には石造りアーチの店舗入り口が設けられている。
一階と二階の窓の格子もそれぞれ趣が違い、所々に和洋の様式が混在して取り入れ
られているのが面白い建物である。内部は有料で公開されている。(続)



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