簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

足摺を目指して(四国遍路)

2011-05-06 | Weblog
 お昼過ぎ、見覚えの有る窪川の駅に降り立った。
この地の37番・岩本寺から38番・金剛福寺まで、その距離何と87キロ。
札所間では、最長距離である。
歩き遍路にとっては大凡2泊3日、ただひたすら歩き続けるだけの旅が待っている。



 駅前の県道を5分ほど歩くと、岩本寺に向かう五差路に出る。
前回、岩本寺は打ち終えているのでここを左折。
土佐くろしお鉄道の線路を潜り、暫く進むとこれから足摺に向けて長いお付き合いとなる
国道56号線が見えて来る。

 国道を5キロ程歩き、標高260メートルの峰ノ上峠を少し下ったところでこれと離れ遍路道
に入り、小さな集落の中を道なりに進む。
のどかな小道の人家の庭先には春の花々が咲き乱れ、疲れを癒してくれる。
民家が無く成ると、その先にゴミの焼却場の建物が見えてきた。
その敷地を水色のフェンスが取り囲み、ここで道が途絶えている。
「アレっ、行き止まり?」



 よく見ると「トビラを開けてお通り下さい」と書かれた看板が有り、その横に小さな扉が
設けられている。
施設の中を歩くのか・・・、と言う間もなく道は上りに差し掛かる。
木立の鬱蒼と茂る中を、少し上ったかと思うとすぐに下りに転じそこからは延々と下って行く。
 市野瀬遍路橋を越えると、落ち葉の重なった滑り易い下り道のその勾配は益々大きくなり
足元を悩ます。
ここは片坂と呼ばれる急坂だ。




 20分ほどで坂を降り、再び国道に戻り、後はひたすらアスファルト道を歩く。
今晩の宿、佐賀温泉までは残り4キロ程だ。(続)


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窪川へ (四国遍路)

2011-05-04 | Weblog
 昨年の春、室戸を巡った折には後半雨に祟られた。
気温も上がらず、海から吹きつける強い風に悩まされ、寒さにうち震えながら歩いた。
おまけに早々に足を痛め、何とか我慢をして歩き続けたものの、己の限界を知り途中で
屈辱的なリタイアも味わった。

 その年の暑い夏は、9月に入っても収まる事を知らなかった。
残暑と言うよりも、真夏の猛暑の続きと言って良い程に、気温35度前後の日々が続いていて、
アスファルト道を歩く体感は、それを遥かに超えているようにすら感じられた。
 野市の28番・大日寺からスタート、高知の町中を抜け、窪川の37番・岩本寺まで、汗まみれに
成りながら歩いた前回の遍路、あれから半年以上が過ぎている。

 今年はどうであろうか?
何とか良い時候に巡り会えないものかと、色々日程をいじっては見るが、所詮は自然の
巡り合わせに抗う事が出来る訳も無い。
身を委ねるしか術もないので、何時から始めても良さそうなものを、それでも何だかんだ
と計画に思いを巡らせている。



 そして今回。
朝晩は多少の肌寒さを感じるものの、昼間の気温は暑からず寒からず、歩くには丁度良さ
そうになった4月の半ば過ぎをスタートの日に決めた。
 現地の週間予報によれば若干曇る日は有りそうだが、幸い雨マークは見当たらない。
最低気温が10度前後で、最高気温も20度前後とこれなら申し分ない。

 足摺から宿毛へ、五泊六日の日程を決め、岡山から土讃線の特急「南風」に乗り込んだ。
目指すはその出発地、窪川である。(続)






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365里・亀の歩み(四国遍路)

2011-05-02 | Weblog
 昔からの遍路道は、365里(1,400キロ余り)と言われている。
近年では、遍路道もかなり整備が進み、若干短くは成っているようであるが、それでも相当な
距離である事には間違いない。



 これを鉄道の距離に置き換えれば、東京から岡山辺りまでを往復する距離に匹敵する。
こんな距離を、軽くも無い荷物を背負って歩き続けるのだから、生半可な事では為し得ない。
一般的に通し打ちは、健脚なら40日余とされているが、普通の人なら大凡の目安としては、
その人の年齢と同じ日数を見ておくと良いらしい。

 我々には、そんな通し打ちのような難行苦行は出来そうにも無い。
だから春と秋、一週間程度の日程で区切り打ちを始めた。
これも回を数え今回が6回目に成る。
殆どの場合、往路と復路で半日を鉄道の移動で取られてしまうので、実質歩く日は数日
程度と言う事に成る。



 一日に40キロ余りを歩いた事も有るが、これが連日となるとわが身には過酷である。
だから大体30キロ程度を歩く行程を組んでいるが、これだとなかなか前には進めない。
この長丁場からすると、まるで亀の歩みのようである。

 だが、確実に前に進んでいる事には間違いない。
時々、これでは一体何時になったら結願するのだろうか、命が有るうちに終わるのだろうか・・
などと思ったりもする。
しかし、考えて見ればこれが我々の身の丈で有るのだから、何も背伸びすることもない。
先に楽しみを残しているのだと思えば良い・・・と、そんな杞憂を打ち消したりもする。(続)




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