簾 満月「バスの助手席」

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窯変の美(赤穂線・乗潰しの旅)

2020-06-26 | Weblog
 備前地方を産地とする陶器は「備前焼」と呼ばれ、日本六古窯(備
前・丹波・越前・瀬戸・常滑・信楽)の一つに数えられている。
ここ伊部駅の周辺には多くの作家・陶工が窯を構え集まり、販売する
店舗も多く備前の中心で盛んなことから、「備前焼」は「伊部焼」と
も呼ばれている。

 元々は、「備前すり鉢、投げても割れぬ・・・」と言われるほど堅
牢なすり鉢やおおがめ、壷、土管など日用雑器を中心に造られ売り捌
かれていた。





 その歴史は古く古墳時代の須恵器から続く無釉焼き締めの伝統を、
1000年もの長きに渡り守り続けて来たのが「備前焼」である。
「ひよせ」と呼ばれる当地の田等から産する粘性の高い土を成型し、
絵付けをせず、釉薬も使わず乾燥させたうえ、窯に入れられ高温で焼
き締める。





 窯内での配置や置き方は独自に工夫され、松割木で焼き上げる焚き
方に拘りながら、千数百度と言う高温で二週間かけて焼き締める。
その結果、受け継がれてきた伝統的な技術と作家の感性とが融合し、
土と炎と人知の調和が見事な造形を造りだす。

 粘土の鉄分により茶褐色に変色すると同時に、焼成時の炎の当り具
合や、灰や炭などの影響を受け、緋襷・牡丹餅・桟切り・胡麻・ハゼ
などと呼ばれる景色(模様)が生まれ、同じものは二つとない個性豊
かな焼き物に仕上げられる。





 こうした陶器は現在では「作家」と呼ばれる人々が、茶器や酒器、皿、
花瓶などを制作していて、それは「作品」と呼ばれている。
「作家」の中には人間国宝(現在までに五人排出)を始め、県の重要無
形文化財の指定を受けた人も数多くいる。

 こうして芸術性を高めることで、本来は日用雑器であった焼き物が、
安物ではなくなり徒に高値で取引されている印象も多分に有り、これが
今日の風潮でも有るようにも見える。(続)



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