簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

染み込んだ煙草の臭い

2012-03-05 | Weblog
 比較的最近話題に成った本などが100円コーナーに並べられていることは、それは
それで嬉しくて有りがたいのだが、その本の値打ちがこんなものかと思うと少し哀し
くも有り寂しくなる。



 この日は、人気作家のトラベルミステリー、元新聞記者のエッセイー集、映画やテレビで
ドラマ化され評判を呼んだ長編小説、作家の自伝的紀行文集等々数冊買い込んだ。
 何冊もの本を纏めても新刊一冊分の半値程で手に入るので、最近では経済的な事情も
あり、こう言ったケースが格段に多く成った。



 それに何よりも古書店で買い求めたとは言え、相対的に綺麗だから、古本で我慢すると
言った感覚も無く、その面で不足は無いが、時にはそれを読んでいて「アレッ」と思うこと
もある。

 生まれて此の方元々そう言う習慣が無かったので、この手の臭いには敏感に反応して
しまうのか、僅かなものでも不快な臭いとして拒絶反応が起きる。
 こんな時は、読まなければいいのだが、気に入ったものだから捨ててしまうことも成らず、
とにかく早く一気に読んでしまおうと焦る。



 もとは、相当なヘビースモーカーの手に有ったのか、閉め切られた部屋で燻されて燻製に
成ってしまったのか、新しいページを捲るたびに、染みついた臭いに鼻を突かれると、思わず
本を遠ざけてしまう。
 しかし、すでに鼻腔の奥に記憶された臭いは消える訳でもなく、ほとほと閉口する。
古本に染みついた「ニコチン臭、煙草の臭い」のことである。これほど嫌な臭いは無い。(続)
(写真は本文とは無関係)


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