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Expressing My Inspirations

Rock'n' Roll in70's

2011-04-05 | music
 現在長崎で開催中の展覧会「ビートルズとその時代 SWINGING LONDON 50's-60's」は、展示品を特別出品しているジミー・ペイジ(ヤードバーズ、レッド・ツェッぺリンのギタリスト)本人が来たそうで、羨ましいと思う反面、現在の姿を知らずにいれてよかったとも思います。
 私は愛知県岡崎市の岡崎美術博物館へ見に行きました。場所が岡崎市街から山の方なので、ちょっと迷ってしまい車を止めて地図を見ていたら、道路端に「旧東海道」と書いてある道標が。迷って得した気分になって目的地へGO。車中では友人達に作ってもらったswinging60sな編集盤をかけて気分を盛り上げながら到着。

      展示会場入口
              知らない女性客が写ってしまいましたが顔見えないからいいよね?
 展示品は、当時のデザインのカトラリーやタペストリー、乗物、家具、洋服、カメラ、テレビ、オーディオ機器、写真などが続き、音楽ファンが目当てにしているジミー・ペイジ云々やP.マッカートニーが購入したSONYの小型テレビのサイン入り納品書だとかは、一番最後のブースでした。ギターは2本のみ本人所有の実物で他はレプリカ。ビートルズの幻の「ブッチャージャケット」も、一緒に行ったオタクたちに言わせれば「探せばもっと状態のいいのあるよ」。写真パネルにたくさん写ってる「音楽家」ってどういう人なの??。突っ込もうと思えばいくらでも突っ込める(フライヤーのDパープルとBボーイズはスウィンギンロンドンじゃねーだろ?的な)荒削りな展示会ではあったけども、誘ったオタクな友人達も「こんなもんだろうと思ってた」そうなので気を悪くされなくてほっとしました。
 その後、ビートルズのコピーバンドに知人が居るという人から聞いた話では、イベントは会場に入りきれないくらいお客さんが来て盛況だったらしいです。イベントある日は混むと思って避けたのですが、イベント見た方がよかったんでしょうか…。
 さて、50年代60年代の次は70年代ってことで、映画「THE RUNAWAYS」を観ました。60年代のロックは好きなので跡付けで聴いてますが、70年代はぽっかり空いたままになっていて、ほとんど聴いていませんでした。ザ・ランナウェイズという米国のガールズ・ロック・バンドは“チェリー・ボム”のサビしか知らないし。あとはヴィジュアルで毛嫌いしてました。ジョーン・ジェットはかっこよかったけどね。

 ヴォーカルのシェリーは下着などセクシーでエロい格好で人気を集めていた
 実在したロックバンドをドキュメンタリータッチで描いた10代の女の子の青春映画、と言ってしまえばそれまでですが、私はこれを観て衝撃を受けました。というのも、時代は今から36年前1975年、当時15,6歳の少女達がこんなことをしていたという事実、そしてそうやって儲けていた大人のショウビジネスが既にアメリカにはあったという事です。ストーリーやキャストなどは公式サイトが詳しいのでカットします。15歳で男と同じROCKがやりたいとエレキギターを習いに行った学校で、おじいさん先生が「女性にはエレキは教えない」と言ってフォークソングを引き続け、ジョーンがキレるシーン。ジョーンと同じような気持ちを持った不良少女たちを集めてガールズロック・バンドを作ったプロデューサーが、歌や演奏の指導だけでなく、ステージで男客からゴミを投げつけられるのに対処する訓練までさせるのに、ドラッグやアルコールやS○Xに対しては野放しだったこと。35,6年前は大人もそんな時代だったんだと改めて認識しました。そんな内情を想像だにしなかった日本では、ヴィジュアル的なアイドル人気で来日公演をさせ、日本の音楽ジャーナリスト側とランナウェイズたちの対比が興味深かったです。日本ではキャンディーズが大人気だった時期だそうです。70年代のアメリカと日本は「大人とお子ちゃま」だったんだなぁ、と感じました。
 映画の原作はRunawaysのヴォーカルだったシェリーの「ネオン・エンジェル」で、脚本は監督(D.ボウイ、キュア-、マリマン、ビヨーク等のミュージック・ビデオを手掛けた女監督)が書き、俳優たちもトレーニングしてライブシーンは自演しているくらいなので、真実に迫っています。
 映画を見ている最中、同じ世代を描いた英国映画「BROTHERS OF THE HEAD」を思い出しました(「ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド」は架空のドキュメンタリー映画ですが)。こちらも1975年結合体双生児の美青年がパンク・バンドのヴォーカルに起用され、栄光と挫折を味わう青春パンク映画でした。(ここでもプロデューサーはやり手で、大人たちはだらしない奴らでした。)どちらもセックス・ピストルズがデビューする2年前の話。UKミュージック・シーンは、デヴィッド・ボウイ、T・レックスなど退廃的なグラム・ロックからパンク・ロックへの過渡期にあたり、米国のクールなクラブではUKでのヒット曲をかけていて、ジョーンはスージー・クアトロでしたが、シェリーはボウイを崇拝していました。UKインディーズのカリスマ的バンドJOY DIVISIONの結成のキッカケにもなったSEX PISTOLSにジョーンも触発されパンクになっていきます。真っ白なTシャツに厚紙を切り抜いてステンシルにして黒の塗料スプレーをして首回りをわざと裂いたパンクTシャツをジョーンが作る場面には、おおこうやって作ればいいんだと感心しちゃいました。
 男に負けない、女の性を売り物にしない、音楽で勝負したい、と初心を貫いたジョーン・ジェットとシェリーやプロデューサーの方向性の相違から、バンドは79年に解散します。ジョーンのその後は有名ですが、シェリーは現在チェインソー彫刻をやっているそうです!
 現在は男女雇用均等法は当たり前、育児休暇も男性が取れるようになっていますし、女人禁制な場所もなくなっていますが、こうなるまでには、それまでの男中心の常識を打ち砕いてきた女性たちがいてくれたからなのだと痛感させられ、洋の東西を問わず、そういう女性たちに感謝の念を抱きました。
 アニメやゲームの世界に登場する男のキャラクターしか興味ない女の子や、草食系男子なんて言ってる男性や悩める男子中学・高校生に是非観てほしいなぁ、と思います。

映画のパンフレットでも触れてませんでしたが、シェリーの母親役は「がんばれベアーズ」の天才少女子役テイタム・オニールでした。シェリー役のダコタ・ファニングはちょうど16歳。こまっしゃくれた頭のいい子供役の印象が強い彼女のビッチぶりは大したものです。当時のシェリーはコートニー・ラヴなんかよりずっと凄かった。

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