吉福伸逸氏の死を悼む

2013年05月02日 | 広報

 昨日、旅行から帰ってパソコンを開くと、ケン・ウィルバーやトランスパーソナル心理学の存在を教えてくれた先輩であり畏友ともいうべき吉福伸逸氏が亡くなられたというメールが入っていました。

 ご自宅で、ハワイ時間4月29日午後5時頃(日本時間4月30日12時頃)、享年69歳、肝臓がんのため、しかも発見されてから3週間あまりという急なことだったとのことでした。

 少し早すぎる死で、とても惜しまれます。

 吉福氏が創立したC+F研究所を引き継いでいる高岡よし子さんとティム・マクリーンさんのブログに、亡くなられた時のことが書かれています。

 彼の生き方にふさわしい、しっかりと意識的に死を受容した静かな死に方だったようで、遺された人間への最後の大きなプレゼントになった、という気がします。

 私は、1984年の春に初めて会って以来、彼がハワイに移住するまで、大きな影響・恩恵を受けました。

 「アメリカのトランスパーソナルの流れの中の最善の部分だけを選んで日本に導入しよう」という合意の元に、彼はセラピスト・翻訳家として、私は編集者として、徹底的な討論を繰り返し緊密な連携を取りながら、一緒にとてもいい仕事をさせてもらいました。

 私の出版した最初の著作も、彼を通じて学んだトランスパーソナル心理学のまとめでしたし、最初に話のあった出版社と交渉がもつれ、他に出してくれる出版社を探していた時、青土社を紹介してくれたのも彼でした(『トランスパーソナル心理学』青土社)。

 仕事だけでなく個人的にも、人生の危機の時にしっかりとサポートしてもらいました。

 一時は盟友ともいうべき存在だったのですが、残念ながら、日本社会に対するいわば戦略・路線の違いのため、それぞれお互いの道を行こうという感じで仲良く別れることにして、その後は音信不通ぎみでした。

 しかし、年齢のせいもあるのでしょう。歩む道の違いはともかく、懐かしくなってきて、そろそろまた会って話をしたいなと思いはじめていたところだったので、不意をつかれた感じで、知らせを見て、一瞬言葉がありませんでした。

 会いたい人には会いたい時に会っておくべきだ、とわかっていたつもりでしたが、まだ機会はあるような気がして油断をしていました。残念です。

 しかし、宇宙はすべての存在の故郷であり、死は宇宙への帰郷だ、と私は思っていて、やがて私も帰った時には先に逝った親しい人々にまた会えると信じていますので、吉福さんにもまた会えるでしょう。

 それまでのしばらくの別れ、「じゃあ、また」と挨拶を送る気持ちで、仏壇の前で「般若心経」を唱えました。

 それにしても、親しかった人との別れはさみしいものです。


 以上、ブログを読んでくださっている、彼と関わりのあったみなさんにお知らせし、ご一緒に彼の死を悼みたく、追悼の気持ちをつづりました。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする