思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

『ルネサンスの女たち』

2024-03-07 16:00:37 | 日記
『ルネサンスの女たち』
塩野七生

塩野先生のデビュー作です。
初版は1969年、執筆時期は29歳から30歳。
ほげ〜。
(自分がその頃何してたかは考えたくないので考えない)

それはそれとして。
1500年前後、ルネサンス期のイタリア事情を
4人の女性の人生を通じて覗くことができる一冊。

その頃のイタリアは、小さな公領や共和国の集合体であり
「国」ではないわけです。
結婚やら戦争やら教皇の代替わりやらで、
家の存続も国の存続もころころ変わる時代。
やんごとない家に生まれるのも大変なのである。

そんな苦労の絶えない時代を象徴する4名の女性。
本の収録順は前後しますが、生きた年代順で、

カテリーナ・コルネール(1454-1510)
ヴェネツィアがキプロス島を支配するために
キプロス王に嫁がせた女性。
ザ・お飾り女王。お城にほぼ軟禁である。かわいそう。
ヴェネツィア共和国って、悪の組織感あるよね。
共和国市民も絶対服従!みたいな。

カテリーナ・スフォルツァ(1463-1509)
傭兵からミラノ王になったスフォルツァ家の血筋。
ゆえに、めちゃ強気。しかも美人。
実子を人質にとられ投降を呼びかけられた際にスカート捲り上げて
「いくらでも産めるんじゃい!」
と啖呵切ったことで有名な人。人気悪役感あるよね。
(マキアヴェッリがフォルリ(カテリーナの領国)に出張する際、
 友人から「夫人の肖像画」を土産に頼まれたという
 当時のイタリアで有名&人気だったエピソードがある。)

イザベッラ・デステ(1474-1539)
マントヴァ公国妃。
ヴェネツィアの捕虜になった夫を取り戻すのに奮闘した人。
こちらは長男との人質交換を強気に断ったり、権謀術数系。
1527年サッコ・ディ・ローマ(ローマ大虐殺)の際に
ローマ市内にいて被害を免れるための立ち回りができた人でもある。
私だったら10回死んでる…と思える人生。
ラスボス感あるよね。

ルクレツィア・ボルジア(1480-1519)
チェーザレ・ボルジアの妹で、駒のように結婚させられた人。
悪の組織にうっかり生まれた可哀想な姫君感あるよね。
という設定の時点で絶対に幸せになれない。
かわいそう…。

というわけで、4人とも興味深い人生を送っております。
そして、生まれ変わっても絶対にその立場にはなりたくねえ!
と思える姫君でもあります。
生まれ変わるなら、平和な時代の金持ちの家の、猫がいいな。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『シェイクスピアを楽しむた... | トップ | 『赤と青とエスキース』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事