思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

多和田葉子『雲をつかむ話』

2018-06-01 13:45:36 | 日記
多和田葉子さん。
学生時代に『犬婿入り』を読んで以来です。
当時は院生で、時間だけはあったので
(その頃は生意気にも忙しいとか思ってたけど)、
芥川賞・直木賞の過去受賞作をちょこちょこ読んでいたのでした。

ちなみに『犬婿入り』は第108回芥川賞受賞作。1992年。
同時期に、
重松清『ビタミンF』(第124回直木賞/2000年)
松浦寿輝『花腐し』(第123回芥川賞/2000年)
を読んで、その三作の中では一番おもしろかったかな的な
メモが残ってました。

そもそも、なぜこの3冊を合わせて読んだのかが謎ですが。

それはさておき、それ以来の多和田葉子作品。
なんとなく見た書評ブログで取り上げられていて
なんとなく気になっていて、
なんとなく読み始めました。

主人公(作者を思わせるドイツ在住の日本人女性作家)が、
人生で出会った「犯人」にまつわる思い出たちを
回想したり、想った事や妄想を徒然に綴ってます。

ちょっと不思議な感じで、ストーリーが飛んだり入り組んだりして、
中盤まではペースを掴むのに難儀しました。

本音を言うと、「なんとなく」で読み始めたので、
途中で放り出すのではないかという危惧も大きく……。

と思ったら、中盤以降は意外にも良いペースで読めて
楽しく読了できました。
ラストも良かったです。

「犯人」に対するあれこれの話しなので、
もちろん「事件」も描かれるのですが、
それもなんだか不思議な感じで
あちこちで不思議なくらい話題になる牧師と妻の話しや、
少年時代までエピソードが遡りつつも
なんだか曖昧な「犯人」である双子のオスワルドやら、
誰が正しいことを言っているのかさっぱりわからない
マヤとベニータ(紅田)の話しやら。

なんだか雲をつかむようなエピソードが次々と
むくむくぽこぽこ湧いて出てきて、
雲というよりも煙にまかれてないだろうか
という気持ちにもなりつつ、
結構、楽しい読書時間になりました。


まあ、好みが分かれそうだから
人には薦めにくいですけど。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 朝井まかて『御松茸騒動』 | トップ | 【読書メモ】2008年9月 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事