思惟石

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『二都物語』 納得の古典名作!

2023-03-13 15:02:21 | 日記
『二都物語』
チャールズ・ディケンズ
池央耿:訳

ディケンズによる1859年の作品。

舞台はフランス革命前後のロンドンとパリ。
ちなみにフランス革命は1789年。

前半がロンドン、後半がパリ、というイメージかな。
革命後、共和制支配下のパリの狂騒が細かく描写されていて、
いやもう、本気で怖いですよ。
恐怖しかない。

なんというか、
政治や戦争など、時代の大きなうねりって
避けようがなくて怖いのだけれど、
そういうのとはちょっと違うんだよな。

パリの「民衆が暴徒化」している日常は、
なんかもう、絶望レベルで怖い。
ギリギリのところで日常が営まれているのだけれど、
いつ何どきに破滅が訪れるかわからないという怖さ。

私が市民だったら、何をやってもギロティーヌ行きになる気がする。
「共和国の味方でないなら、全員敵!死!」という空気感。
ほんと怖い。
「やあ、市民」とか軽々しく言えない。

前半はちょっともたっとした印象があって(そして無駄に暗い)
どこらへんが「古典名作?」と思ってしまったけれど、
後半パリに行ってからの描写からダーネイ再逮捕、
手紙の朗読、クライマックス、おもしろかった〜!!
なるほどこれが古典名作か、と。

最後のカートンの語りが「予言」であると表現されているところに
慰めを見出してしまうくらい、
読後感としては「主人公はカートンでした!」である。

良かった!

『二都物語』は世界中で2億冊刊行されたという
超絶ベストセラーなので、邦訳もたくさん出ています。
私が読んだのは「光文社古典新訳文庫」。
2016年初版、邦訳としては最新版です。
訳者は池央耿(いけ ひろあき)先生。名前が難読〜!!

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