思惟石

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宇月原 晴明『廃帝綺譚』おもしろいよ!

2020-01-24 17:01:17 | 日記
宇月原 晴明(うつきばらはるあき)といえば
2006年に第十九回山本周五郎賞を受賞した
『安徳天皇漂海記』。
タイトルからわかる通りで澁澤龍彦『高岳親王航海記』の
オマージュ、というか、めっちゃ影響受けてるというか、
まあ、この人、読めばわかりますが澁澤龍彦大好きだよね!
って自分でも何を言おうとしたのか忘れてしまいましたが、
ええっと、『安徳天皇漂海記』は名作です。
オススメです!
澁澤龍彦『高岳親王航海記』は殿堂入りの名作なので
超えられないけれどね!!

で、その『安徳天皇漂海記』の続編というか、
世界観(設定?)を踏襲した4つの短編集が
『廃帝綺譚』。
私は知らずに読んで、途中で気づいたので、
それならそうと言ってくれよ!と思ったものですが。
よく見りゃ表紙のデザインが明らかにシリーズ感出してます。
見りゃわかるだろ!って話しですね。はいすみません。
(ミルキィ・イソベの装丁、すごく良い!)

冒頭で意味深な感じでマルコ・ポーロも出てきて、
4作目には『安徳〜』にも出てきた天竺の冠者が登場。
というか、天竺の冠者は澁澤龍彦の『ねむり姫』にも
印象的な役で出ますね。ホント、澁澤好きなんだろうな。
また脱線しましたが。

『廃帝綺譚』は、
4人の帝にまつわる、4つの物語。
それをつなぐ、琥珀のような蜜色の珠。
真床追衾(まとこおうふすま)やら、水蛭子(ひるこ)やら
混沌の湖やら、不思議でおもしろいキーワードがてんこ盛りです。

『北帰茫茫」は、元朝最後の皇帝トゴン・テムルの物語。
元=「げん」と歴史では習ったけれど、
大元帝国(ダイオンウルス)とも読むのね。勉強になる。
『南海彷徨』は元を滅ぼした明朝初期。永楽帝と宦官・鄭和のお話し。
『禁城落陽』は明朝の最後の皇帝・崇禎帝が主人公。
『大海絶歌』は舞台が変わって、ついでに時代も遡って、
日本の隠岐島、承久の乱で配流された後鳥羽上皇の物語。
ちなみに後鳥羽上皇は安徳天皇の弟にあたります。

なにはともあれ、この作者の作品はどれも、
題材のチョイスも物語の紡ぎ方も独特で、すごく面白いです。

爆死武将(松永久秀)の話しもあるらしいのですが、
なにそれおもしろそう、そっちも読もう。

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