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『恋するソマリア』無政府状態の国の、おもしろ紀行

2022-07-25 17:23:31 | 日記
『恋するソマリア』
高野秀行

ソマリ人文化に恋しちゃったノンフィクションライターである作者の、
ソマリアルポ。
『謎の独立国家 ソマリランド』の続編でもあります。

「世界一危険な国」と言われているソマリアは、
アフリカ東部にある国(?)。
なにしろ20年以上、無政府状態が続いているらしい。
現在は、
北部の民主国家ソマリランド(世界的には未承認)、
中部のプントランド、
そして内戦が続く危険地帯である南部ソマリアに分かれています。

そこに住むソマリ人は、言語学的にも難易度が高いソマリ語を話し、
氏族に異常にこだわり、ツンデレ(?)性質。

で、高野氏は、せっせと日本で貯金をためて、
自費で護衛を雇わにゃ行けない国に何度も行く。
あちらの居場所を確保するために、出入りしている広告代理店にも
出資しちゃう。
ソマリ語を教えてくれた留学生の実家(めちゃくちゃ危険地帯)に
駄菓子を届けるおつかいもしちゃう。
その恋、大丈夫か?!

でも惹かれるんだろうなあ、というのが読んでいてよくわかる。
勉強になるし、ちょっとわらっちゃうし、うらやましくなる。

比較的平和なソマリランドで「お家に招かれたい!」
「家庭料理を習いたい!」というのも切実な願いだとわかるし、
危険しかない南部ソマリアで「田舎(危険地域)を見たい!」
という思いも同じく切実なのだな。

ソマリアで嗜好品として噛まれるカートという葉っぱのせいで
やばい便秘になるところは、お腹を抱えて笑えたけど
恐怖も感じました。
旅先では、お腹のご機嫌に振り回される体質なので。

ちなみにカートは覚醒植物で、噛むとご機嫌になるらしい
(噛むだけで飲み込まない)。
ソマリ人は厳格なイスラム教徒が多いので、
お酒を嗜まないかわりにカートをむしゃむしゃやるし、
カートばっかりやってると「ダメ人間」と怒られたりもするし、
二日酔いで迎えカートもあるらしい。
お酒だね。
ちょっと調べると、お酒というよりコーヒーに近い説もあるとか。
とはいえ副作用で便秘が言われているのは、
コカインやモルヒネに近いような。
麻薬の副作用で最も怖いのは便秘だ、と、高野氏の金言である。

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