今日のしんぶん赤旗歩トップ記事は、「万博経費でカジノ用地掘削ー事業者20億円超の利益」の見出しで書いていますので、紹介します。
万博経費でカジノ用地掘削
事業者20億円超の利益
大阪府・市が万博経費を使って、隣接するカジノ用地を掘削工事をしていたことが本紙のしらべで明らかになりました。この工事によって、今年4月に着工したカジノリゾート(IR)の本体工事の残土処分費や運搬費などカジノ業者の負担が20億円超を軽減されることになります。府・市が法律相談した弁護士は、公費でカジノ業者に利益を与える工事を行えば「住民訴訟で敗訴する可能性がある」と指摘していました。
(本田祐典)
維新府・市政内部でも”違法”の指摘
万博用地とカジノ用地は、市が造成した大阪府の人工島・夢洲(大阪府此花区)内で隣接しています。
新たに発覚したカジノ業者優遇区は、2019年2月に市が発注した万博用地造成工事(夢洲2区土地造成工事)のなかに隠されていました。発注後の21年3月に契約変更してカジノ用地の掘削工事を追加し、その土を万博用地へと運んでいたのです。
掘削した土の量は約2万㎥(重さ100万トン超)と膨大でした。掘削・運搬など費用は本紙が把握しほぼただけでも約10億円です。これらを議会にも報告せず万博用地の造成工事に含め、府・市でほぼ半分ずつ負担しました。
掘削の目的は、その後にカジノ業者が行うIR本体工事の残土量を減らすことです。「IR事業者が検討を進めるなかで施設建設に伴い大量の残土が発生することが判明しました」(20年9月の府・市作成文書)といいます。カジノ用地を周辺よりも低く掘り下げておくことで、カジノ業者が本体工事の残土を用地内で処分できるようにしたのです。
カジノ業者が負担するはずだった残土処分はこの掘削によって少なくとも15・8億円(夢洲に残土を埋める場合の市の取引単価1800円ば/㎥と消費税)も減る計算です。処分先への運搬なども含めると20億円の便宜供与です。
工事を担当した大阪港湾局は、営利企業への便宜供与で違法行為となる可能性を事前に認識。同局が相談した事務所は「住民訴訟のリスクは高い」「合理的な説明ができなければ敗訴する可能性はある」(同文書)と指摘していました。
府・市は最終的に、違法性を否定して掘削を強行。カジノ用地の土を使うと最も安く万博用地を造成できると理由付し、カジノ業者が利益を得ても違法ではないとしました。
しかし、本紙が府・市の主張や実際の工事費を検証したところ、カジノ用地掘削でむしろ万博経費が増加したことが分かりました。違法性を否定した根拠が揺らいでいます。