今日の東京新聞は、前川氏のコラムが載っていますので、紹介したい。
「核なき世界への希望」
前川喜平
6日の広島、9日の長崎で、石破首相は正田藤枝さんの歌や永井隆博士の『長崎の鐘』を引用。日本被団協に敬意を表し、記憶を風化させない決意も述べた。コピペでない挨拶は久しぶりだ。しかし核兵器禁止条約には一言も触れなかった。
広島と長崎の市長は、それぞれの平和宣言で明確に同条約への加盟を求めた。鈴木史朗長崎市長には故人山口仙二氏の魂が乗り移ったような迫力があった。湯崎英彦広島県知事は、力による戦争の抑止をフィクションだと断言。サーロ―節子氏の言葉を引いて、核兵器廃絶へ粘り強く這い進もうと呼びかけた。理想を諦めない姿勢を決して冷笑してはならない。
一つの希望は米国世論の変化だ。ピュー・リサーチ・センターの調査では原爆投下が「正当だった」が10年前の56%から35%に減少。18歳~29歳では「正当ではなかった」が44%で「正当だった」の27%を大きく上回った。いつか米大統領が原爆投下を謝罪する日が来るかもしれない。
核禁条約の発効から4年半。締約国は現在73カ国・地域。東南アジアの主要国は皆締約国だ。核抑止論を脱却して核なき世界実現のために、希望を捨てずに這い進もう。
(現代教育行政研究会)