これまでの検討で、居飛車側に工夫が必要だとわかりました。最初のほうから見ていくと
居飛車穴熊や天守閣美濃をにおわすにしても、この辺りでばれてきます。58金右はまだわからないけれど、43銀には
96歩とか36歩とか68銀が必要で、後手は察知して62玉と移動するでしょう。64歩とは突いてくれません。
なので工夫できるところは限られていて、まあ68金上と1手待つくらい。代わりに59銀とか68金寄とか別の囲い方にもできません。振り飛車は12香が有効な手です。この2手の交換がどちらによりプラスかを見ていきます。
46銀32飛35歩54歩34歩同銀24歩同歩38飛、攻めの手順は同じです。一番激しい45歩以下は、33角成同飛66角46歩33角成37歩
37同飛36歩34馬37歩成同桂47歩成同銀
長手順ですが、こう進むのでしたね。寄せ合いの結論は変わるでしょうか。46歩同銀49飛41飛
88銀同玉は後手の攻めが切れてしまいます。68金上の形は居飛車に利があったわけです。おさらいで、14角21飛成58角成同金69銀88玉78金97玉58銀不成(か成か)52馬
この後手玉は71銀以下の詰めろになっていて、先手の勝ちなのでした。後手の11香と12香の違いはありません。
ということで後手が何か変化を考えるわけですが、
この上の図で、51金引21飛成88銀も88同玉と取られて無効です。79銀と掛けて35馬
評価値は+35、68銀成同金79金77玉に71角
と粘って、まだ互角のようです。評価値は+157、44歩とか53桂を考えています。まあ直線的に進むと先手勝ちのようなので、希望はありそうです。なにしろ後手の12香が生きている変化ではありません。
後手はその前の変化を考える番で、
45歩を突く前に36歩が有力です。36同飛45歩33角成同飛57銀引35歩39飛
この局面で評価値は-57です。28角22角19角成11角成と進むのは、後手の12香が生きているけれど+230先手良しだと。後手の最善は32飛で、全くの互角です。
ならば途中で55歩
46歩34飛42飛
がどうか。評価値は+54、これも互角です。
ということで68金上12香の交換は、その先の変化に加味されるのですが、互いの最善を尽くせば互角であるというのが結論です。
他に居飛車が工夫できるところは
端を手抜いて97歩68金上の形ならばどうか。54歩34歩同銀24歩同歩38飛45歩33角成37歩
一番激しい順を進むと、37同飛36歩34馬37歩成同桂47歩成同銀
46歩同銀49飛41飛14角
何度かなぞった順を経由して、21飛成58角成同金69銀
88玉は78金98玉58銀成が詰めろになって、後手の勝ちです。77玉しかなくて、78金86玉58銀成
ここで52馬は詰めろなのですが、46飛成
とされて詰めろ逃れの詰めろです。持ち駒はいっぱいあるのですが逆転筋はなく、後手優勢になっています。
端歩の関係をもう少し見てみます。
端を突き合っていなければどうでしょうか。手順は前と同じで54歩34歩同銀24歩同歩38飛45歩
33角成同飛66角46歩33角成37歩同飛36歩34馬37歩成同桂47歩成同銀
46歩同銀49飛41飛14角
21飛成58角成同金69銀77玉78金86玉58銀不成52馬
もちろん後手玉は詰めろで、先手玉は46飛成とされても詰めろではないです。53角
くらいが良いでしょうか。先手の勝ちです。途中14角の代わりに51金引とするのは
21飛成88銀はちょっと面倒ですが、61馬同金62金同金71銀
強襲して先手の勝ち筋です。92玉に62銀成か、1回59金引を入れておくか。後手は93玉と逃げられないのが大きいのです。
後手としてはこの図から
46歩同飛49飛よりも、単に39飛のほうですが、41飛
と打ち合ったところでの評価値は+358、先手有利です。88銀には49歩で良さそうですし、51金引21飛成88銀には59金寄
で耐えていて、評価値は+460です。振り飛車としては、寄せ合いになると端歩突きの価値が高いと言えます。
なので後手は一番激しい順は選びにくいのですが、
45歩の前に36歩を打って、36同飛45歩33角成同飛57銀引35歩39飛32飛
この図の評価値は+44、かなり難しい図です。
場合によっては
後手が94歩を突いて、先手が受けずに早く攻める形にできるかもしれません。これによって
後手が54歩を突いていないから、右46銀急戦のように55銀と出られるかもしれないのですが、評価値は-47、居飛車が有利にはなりそうにありません。
ということでまとめると、左46銀急戦はせいぜい互角にしかなりません。
(右46銀急戦でやった)それ以外の形には、山田定跡や鷺宮定跡の系統があるので、明日以降に検討してみましょう。