訃報が多い、
というか、
そういう年齢になってしまったということだろう。
近しかった方はもちろんだが、
またいつかお話しする機会があれば、と思っていた方も亡くなられてしまうと、
あ、もう会えないんだ、
もうお話しできないんだ、
と思い、残念な気持ちになる。
松岡正剛さんも亡くなられてしまった。
十五年前にNHK番組「ブックレビュー」に書評ゲストとしての出演でご一緒したのが、最後だった。そのときは、それぞれお互いに推薦する本への評価がずれていたのを、憶えている。
彼のようにジャンルを超えて批評をするスケールの大きい方が、多様性やジャンル越えが当然とされるいまは、かえって少なくなっているのではないか。
最近観たアニメーション映画『聲の形』は、八年前公開された傑作だが、最近テレビ放映されたので初めて観た人も多いだろう。私もその一人だ。
「京都アニメーション」製作なので、この映画のことを知らなくても、もうそれだけで気がついた人にはわかるように、多くのスタッフが、あの放火事件で亡くなられていることを知りながら観ると、映画の内容が思春期における「死」への想いについてのものであるが故に、複雑かつ切実な気持ちにさせられる。
知己のある方は、もう会えないんだ、お話しできないんだ、と思われるだろうが、彼らの場合はそれに加えて、もう彼らの新しい仕事を観ることができないんだ、という思いを止めることはできないだろう。それが「彼ら」という複数形になってしまうことに、あまりにもむごいことだ、という思いを抱かざるを得ない。直接「彼ら」を知らなくても、そのすぐれた仕事が、残されているだけに。
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