鳥取といえば岩牡蠣、という条件反射は、二十年ちょっと前、鳥取での高校演劇全国大会の審査員をしたとき、同じく審査員だった別役実さん、松岡和子さんと、夜に関係者の方に案内されたお店で、岩牡蠣をいただいた記憶があるからだ。
みんな実はほぼ「初岩牡蠣」で、夏の時期にこの肉厚でミルキーな牡蠣を食べるという体験じたいに昂奮したし、じっさい、素晴らしく美味しかった。
で、「今夜は自由行動」となった私たち審査員は、またしても夜の街に出た瞬間、「やっぱり岩牡蠣だね」となり、岩牡蠣を求めた。
この件はいろいろとオチが付く面白い話もあるのだが、それはさておき、今回も、夜の旅館の食事に岩牡蠣がついた。小ぶりの酢仕立てで、まったく肉厚ではないのだが、これはこれで、美味しくいただいた。さわやかな岩牡蠣だった。
そして別役実さんの「やっぱり岩牡蠣だね」を思い出した。
当たり前だが、別役実さんは、「別役実文体」を見事に巧みに操る劇作家なのであった。
考えてみると私は、鳥取以外で岩牡蠣をいただいたことは、一度しかないはずである。
岩牡蠣は鳥取で、鳥取は岩牡蠣なのだ。
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