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“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

住民を無視して基地配備計画を進める暴挙

2017-06-04 | Weblog
防衛省が沖縄県の宮古島(宮古島市)への陸上自衛隊警備部隊とミサイルの配備に向け、拠点となる駐屯地の建設に8月に着手することが3日、分かったという。それに先立ち月内に用地を買収する動きだという。

「昨年3月、同県の与那国島に艦艇を警戒する陸自沿岸監視隊を配備したのに続き、宮古島では初めて実戦部隊の拠点整備に着工することで、中国の脅威に備える南西防衛強化は新たな段階に入る」「沖縄本島より西は陸自が配備されていない防衛の空白地帯だったが、与那国島に沿岸監視隊を配置し、有事で初動対処にあたる警備部隊と地対空・地対艦ミサイルを宮古島と石垣島(石垣市)に置く」などと記事にはある。
「空白地帯」も何も、戦後七十年、自衛隊配備などなくても平和が保たれていたことこそが、事実である。
そうまでいうなら、ぜひ「中国の脅威」の根拠を示してほしい。

そんなに危機意識があるなら、まず外交で中国との間の安全を確保すべきだ。しかしそうではない。そもそも争点は何か。
この国では外国のことを言っているようでも、全て「国内問題」なのである。国内の覇権闘争の材料として使われる。それで得する者がいる。北朝鮮のミサイル発射報道をエスカレートさせ、それにかこつけ隣国全てが日本を襲う可能性があるという宣伝でもしたいのだろうか。

南西諸島の対象地区では自衛隊配備への反対決議が出ている。
防衛省は石垣市でも月内に住民説明会を開き、市の受け入れ表明を得るための最終調整に入る方針だというが、形だけの説明会をして、「市民の理解を得た」と言い募るつもりに違いない。
これは私が昨年秋『天使も嘘をつく』で描いたとおりの構図である。

「昨年6月に配備を受け入れる考えを表明した現職が3選を果たし、防衛省としては配備計画を推進できる環境が整った」というサンケイ新聞の報道はまったく誤っている。僅差で当選し「選挙で信任を得た」と嘯く宮古島・下地市長の得票数は、投票数の3分の1でしかない。
自衛隊配備反対候補は複数出た。票割れして当選は果たせなかったものの、基地反対候候補への票総数は過半数を優に超えているので、自衛隊配備への「選挙での信任」は理屈に合わない。
私は、自衛隊配備反対の市長候補だった奥平さん同様、「配備反対」で市議補選に出た石嶺香織さんの応援で、今年1月、宮古島にいた。
奥平さんは本当に僅差で敗れたのだ。「オール沖縄」が派閥重視で奥平さん一本化に賛成しなかったことが原因だ。まとめる努力を怠った社民党はじめ野党の皆さんの責任は重いとつくづく思う。

繰り返すが、「防衛省は宮古島の部隊配備について平成28年度予算で用地取得費などで108億円を計上していたが、一部住民らの反対運動で地元調整が難航し、用地も取得できず、経費の過半を今年度に繰り越した。」とサンケイ新聞自身が報じているとおり、もともと市民の賛同は得られていないのだ。
仮に工事が強行された場合、島民の生命線である地下水の安全も保たれない。「いのちの水を守れ」という声に、配備推進派は答えていない。
「防衛省は宮古島の駐屯地用地となるゴルフ場(千代田カントリー)で測量を終えており、土地の売買契約をした後、8月に敷地造成に着手する。」と、どうしてそこに住んでいる者たちが報道で知らされなければならないのか。
宮古島市民は納得していない。

自衛隊を配備しなければ、南西諸島は標的になることはない。基地さえなければ、仮に攻撃しようとすれば、国際法で否定されるのは、攻撃する側であるからだ。逆に、移動式ミサイル等が島に置かれれば、とうぜん島全体が軍事基地=標的になる理由が生まれ、万が一の有事には住民も巻き添えになる。基地配備は、七十年にわたって保たれていたの市民の安全を、守らないのである。そして自衛隊の公式な防衛計画でも、市民の安全確保については、一切記されていない。一度占領させた上での勇ましげな「奪還作戦」ばかりが語られている。基地を置いたために攻撃されても、島の人々を守るつもりはない。「国家全体の安全」を言い募って、いま目の前にいるはずの住民の命をないがしろにする。何度でも言う。南西諸島への自衛隊配備計画は「防衛」にさえなっていない。机上の空論である。
全国が注視し、止めなければならない。

沖縄・名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブの工事車両用ゲート前で2日、新基地建設に反対し座り込みに参加していた女性が、抗議中のもみ合いの中で転倒し、名護市内の病院に救急搬送された。女性は意識はあるものの、頭蓋骨骨折、急性硬膜下血腫、脳挫傷などのけがと診断された。集中治療室にいて、最短でも1週間の入院が必要という。
もはや基地を作りたい勢力は、なりふり構っていない。
しかし認めるわけにはいかない。この国は戦争はしない。それは憲法で決めていることだ。

Facebook「炎上」で騒がれた石嶺議員だが、そうしたことは些事である。どーんと構えていればいい、と思ってきた。いま、こうして議会に自衛隊配備反対の議員が確実にいることが大切である。誤魔化しを指摘されることを怖れて市長が石嶺との対話から逃げ惑っているのは周知の事実だ。まっすぐに南西諸島に生きる人々の安全と自由を守ることを考え、踏ん張ってもらいたい。

参院で審議中の「共謀罪」法案を巡り、同じ国連特別報告者のケナタッチ氏が懸念を示す書簡を日本政府に送付した。
そもそも国連特別報告書は、日本の報道が特定秘密保護法などで萎縮している可能性に言及している。
日本政府は「不正確で不十分な内容だ」と誤魔化そうとしているが、国連特別報告者・デービッド・ケイ氏が2日、東京都内で記者会見し、5月に公表された対日調査報告書を日本政府が批判していることについて「解釈による違いはあるかもしれないが、事実に基づいている」と反論した。
国連の一員であるなら、日本政府は誠実に答える義務がある。

日本の報道には、確かに問題がある。
現政権の言い分ばかりを垂れ流している。感情的な発言をする菅官房長官や安倍首相のぶざまさを見ても何とも思わない人が増えている。感覚が麻痺させられているのだ。大切なニュース、多様な視点、少数者・弱者の主張を、きちんと扱っていない。
安倍首相の手下とも言われるジャーナリストの「レイプ疑惑」については、東京新聞のみが報じ、大新聞系はかなり遅れてやっと朝日が載せたらしい。

昨日、某大学芸術科の特別講義だった。100人以上の学生は熱心で真摯だった。彼らに尋ねたが、南西諸島への自衛隊配備計画を知っている者も、「山城博治」の名前を聞いたことがあるという者も、一人もいなかった。
報道にも問題があるが、社会全体が、現実を正しく見ようとしない、きちんと伝えようとしていない、ということもあるだろう。
少しでも正すしかない。しんどいが、あきらめてはならない。
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