Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

死者を「テロとの戦い」に利用するな

2015-03-19 | Weblog
報道によれば、岸田文雄外相は19日午前、チュニジアでの観光客銃撃事件に関し、日本人1人の死亡と3人の負傷を確認したことを明らかにしたという。外務省で記者団の取材に応じた。ほかにも被害者がいるとの情報もあり、確認中という。テレビでも流していた。
チュニジアのシド首相は18日、死亡した外国人観光客17人のうち5人が日本人で、イタリア人4人、コロンビア人2人、オーストラリア、フランス、ポーランド、スペインがそれぞれ1人ずつだったと発表していた。まだ正確な状況や犠牲者の数は確定されていないだろう。
死者が人数で語られるのは虚しいことだが、日本とチュニジアの外交的な連携さえきちんとできていないことがよくわかる。この情報把握力で「邦人が人質になったら自衛隊が駆けつけて救出」という安倍首相の「夢」は、絶対に実現不可能であろうし、それでも強行しようと考えているなら別な目的が隠されているのであろう。いずれにせよ問題外だ。
 岸田氏はさらに「いかなる理由があるにせよ、卑劣なテロ行為は許すことはできない。強い憤りを感じる。断固非難する」と強調し、「国際社会とともにテロとの戦いを進めていく」と述べたが、テレビでその談話を聞いていて、激しい違和感を感じた。
 おそらく一般の観光客が亡くなったのだ。お悔やみはともあれ、「国際社会とともにテロとの戦いを進めていく」というのは、噛み合わない。事件の全容がわかる前から「仕返し」のことを持ち出すようで、実におかしい。死者をダシに使うな。世界情勢を見れば一つ一つのことに理由がある。それぞれの立場がある。「テロ一般」など、ありはしない。私には死者を「テロとの戦い」なる武装化推進の蒙昧の正当化に結びつける、じつに不穏当な発言に思われた。この感覚が、この国からなくなっていくことを怖れる。マスコミの役割も重大だし、それぞれの人が、人の命の大切さを尊重する感覚を失わないことを願う。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『クイズ・ショウ』いよいよ... | トップ | 「芸能界のクイズ王」今夜、... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事