A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記504 「明治大正史 世相篇」

2011-05-21 23:30:07 | 書物
タイトル:明治大正史 世相篇
著者:柳田國男
カバーデザイン:志賀紀子
発行:講談社/講談社学術文庫
発行日:2006年1月20日第18刷(1993年7月10日第1刷)
内容:
毎日われわれの眼前に出ては消える事実のみによって、立派に歴史は書けるものだという著者が、明治大正の日本人の暮し方、生き方を、民俗学的方法によって描き出した画期的な世相史。著者は故意に固有名詞を掲げることを避け、国に遍満する常人という人々が眼を開き耳を傾ければ視聴しうるもののかぎり、そうしてただ少しく心を潜めるならば、必ず思い至るであろうところの意見だけを述べたという。
(本書カバー裏解説より)

自序
第1章 眼に映ずる世相
第2章 食物の個人自由
第3章 家と住心地
第4章 風光推移
第5章 故郷異郷
第6章 新交通と文化輸送者
第7章 酒
第8章 恋愛技術の消長
第9章 家永続の願い
第10章 生産と商業
第11章 労力の配賦
第12章 貧と病
第13章 伴を慕う心
第14章 群を抜く力
第15章 生活改善の目標
解説 桜田勝徳
索引

購入日:2011年5月5日
購入店:流浪堂
購入理由:
 たまたま愛用の古本屋・流浪堂を散策していたところ見つけた1冊。大正時代に活躍した鳥瞰図絵師・吉田初三郎の生きた大正時代について背景知識を得ておこうと考え購入。


未読日記503 「ビオトープの場」

2011-05-20 23:11:58 | 書物
タイトル:篠原猛史―ビオトープの場―
発行:美濃加茂市民ミュージアム
発行日:2006年9月
内容:
岐阜県・美濃加茂市民ミュージアムで開催された「篠原猛史―ビオトープの場―」展(2006年9月16日~10月22日)のリーフレット。
1枚(おもに図版) ; 60×42cm(折りたたみ29×21cm)

「ビオトープの場」篠原猛史
「篠原猛史―生命としての二次元」拝戸雅彦(美術史家)
「美術が問いかけるもの」永見隆幸(著述業・音楽家)
図版
作家略歴

頂いた日:2011年5月5日
場所:ギャラリエアンドウ

 東京・ギャラリエアンドウにて開催された「篠原猛史:ヘルシンキの芽」展(2011年5月3日~5月21日)に行った際に、ギャラリーの方より頂いた1冊。どうもありがとうございます。
 岐阜で開催された本展は見れていないが、美術館展示だけにスケールが多きい。とはいえ、毎年5月に開催されるギャラリエアンドウでの個展がスケールが小さいわけではない。作品は小さくとも、内包しているものがとてつもなく大きいのだ。影のようにそこにありながら、気づかないように篠原作品は謎がそばにある。その謎はすぐには解けないが、何年も見つづけていると、その大きさに気づいて愕然とする。気配を消したり、現したりできる篠原作品は、存在のスケールの大きさを感じる。

Recording Words 067 「批評を書く」

2011-05-19 23:01:56 | ことば
 批評は、誰にとってもこうだ、というような言い方ではない言い方、自分にいま感じられる言い方で、誰にとってもそうであるはずだ、というようなこと、普遍的なことを、いってみることだ。というか、普遍的なことをいおうとすると、変な言い方になってしまうことが、「批評を書く」ということなのである。
加藤典洋『僕が批評家になったわけ (ことばのために)』岩波書店、2005年、p.3)

いろんな「変な言い方」がある。

未読日記502 「PLATFORM 2011」

2011-05-18 23:18:18 | 書物
タイトル:PLATFORM 2011 浜田涼/小林耕平/鮫島大輔―距離をはかる―
編集:真子みほ
翻訳:株式会社アーバン・コネクションズ
写真クレジット:奥村基 pp.22~23、大谷一郎 pp.24~33
写真提供:浜田涼
デザイン/印刷:株式会社山田写真製版所
発行:練馬区立美術館
発行日:2011年
定価:800円
内容:
東京・練馬区立美術館にて開催された「PLATFORM 2011 浜田涼/小林耕平/鮫島大輔―距離をはかる―」(2011年4月16日~5月29日)の展覧会図録3分冊のうちの「浜田涼」編。
A4判、ソフトカバー、カラー、40p

ごあいさつ/Foreword
謝辞/Acknowledgement
「イメージと物質の間で」近藤幸夫(美術評論家・慶應義塾大学准教授)
"In Between Image and Material" Yukio KONDO(Art Critic/Associate Professor, Keio University)
「よく思っていること」浜田涼
"What I Often Think About" Ryo Hamada
「浜田涼の距離―私と世界との間にあるもの―」真子みほ(練馬区立美術館学芸員)
"The Distance according to Ryo HAMADA -What Lies between Myself and the World-" Miho MANAKO(Curator, Nerima Art Museum)
図版/Plates
出品作品リスト/List of Works
略歴/Biography
参考文献/Bibliography

購入日:2011年5月5日
購入店:練馬区立美術館
購入理由:
 昨年度は見れなかった練馬区美の現代美術展シリーズ「PLATFORM」。今年は浜田涼・小林耕平が参加と知り、何が何でも見に行こうとGWに時間を取って東京遠征。浜田涼さんの作品は、今から10年ほど前に藍画廊で作品を見たのが最初だろうか。その後、2002年に開催されたTAMA VIVANT展の時にお仕事をさせて頂いたことが懐かしい(当時は学生だったため、世間知らずもの知らずで迷惑ばかりをお掛けしてしまったが、浜田作品の展示の裏側を見ることができたのは貴重な経験となった)。
 今展では、2階展示室に過去から最新作までが展示され、不透明なイメージが、窓のように空間に反響し合い、光ある不透明な世界を作り出していた。藍画廊の個展では展示スペースが限られるため、その時の展示作品を見ることに集中してしまうが、美術館の展示では過去の作品との関係のなかで作品を見ることができて新鮮だ。あらためていい仕事をしていることを再確認。

 カタログは、グループ展ではあるが1冊ではなく作家ごとに分冊で編集・刊行されている。同様の試みは、国立新美術館の「アーティスト・ファイル展」のカタログも同じだが、こちらはバラ売りをしておらず、希望の作家分のみを単冊で買うことができず残念に思うことがあった。対して、練馬区美はバラ売りの販売をしてくれて助かる。ちなみに、小林耕平編の図録も欲しかったが、手持ちの予算がなく断念。こういう時は分冊だとまったく資料が手に入らないので悔しい・・。
 小林耕平の展示は、淡々とした映像の提示が分析を要請しやすく、アカデミシャン向けな印象を与えるかもしれない。だが、今展の新作インスタレーションを見ると、真面目なバカバカしさがとても魅力的だった。おそらく不適切なのだろうが、小林耕平の作品はエンタテインメントだと思う。この人が劇映画を作ったらと想像すると、楽しくなる。 

未読日記501 「The Ghost」

2011-05-17 23:39:20 | 書物
タイトル:"The Ghost", Susumu Harada
編集:橋夏菜
デザイン:原田晋、橋夏菜
制作:女子美術大学 大学院GP
印刷:株式会社グラフィック
発行日:2011年4月16日
発行:女子美術大学 大学院GP
内容:
東京・art & river bankにて開催された「原田晋:The Ghost」の展覧会リーフレット。
A5判、2つ折り6p(観音開き)

「“The Ghost”を自分なりに理解するための文章(試案a-1)」友岡あゆ子(本展キュレータ)
"“The Ghost” in order to understand sentence could have been (Draft a-1)" Ayuko Tomooka(curator)
「幽霊と化しているもの」杉田敦(美術批評)
"things becoming ghost" Atsushi Sugita(critic)
図版
作家略歴

頂いた日:2011年5月5日
場所:art & river bank
 会場で頂いた1冊。これまで原田晋の展覧会タイトルは「window-scape」というタイトルで統一されていたが、3年ぶりの個展である本展では「The Ghost」となった。以前より写真から映像インスタレーションへとシフトしつつあると感じるが、基本的なことは変わっていない。もっと評価されてしかるべき作家だと思う。



Recording Words 066 はぐれ者

2011-05-16 23:14:53 | ことば
 でもそれ(引用者注:人の言う事を聞かないという技術)っていうのは、当然ながらマイノリティーになるってことですよ、まず。友達関係は少なくなりますよ。で、社会には認められなくなる。でもそれを我慢出来るかってことですよ。そういうのが嫌で、沢山友達がいてハッピーに暮らせて、そこそこお金が欲しいっていうんだったら皆と一緒の方に行ったらいい。もちろん。それは、良い悪いじゃなくて、どっちを選ぶかってことですよね。でも、何か違うなって思ってる人達がはぐれ者になるわけでしょ。それか引きこもったりっていうようなことになったりすると思うんだけど、「自分がいけない」と思う劣等感を、「他の全員がいけない」って思えばいいんで、そう思える力を持てるかどうかってことですよね。
(都築響一[編集者]、NPO法人地域文化に関する情報とプロジェクト編『インタビューズ』大阪市・財団法人大阪観光コンベンション協会、2010年、p.84)

 あまりに自分に当てはまっていて失笑した。時々どうしてどこに行ってもはぐれ者になるのだろうと思っていたが納得。なるほど友人もお金も社会的成功も縁がないわけだ・・。


未読日記500 「横浜市鳥瞰図」

2011-05-15 23:40:19 | 書物
タイトル:復刻版・横浜市鳥瞰図
著者:吉田初三郎
印刷製本:株式会社光洋社
発行:横浜都市発展記念館
発行日:2011年2月1日
定価:300円
内容:
1935(昭和10)年に関東大震災復興記念横浜大博覧会の開催に合わせて刊行された『横浜市鳥瞰図』の復刻版。

購入日:2011年5月5日
購入店:横浜都市発展記念館
購入理由:
しつこく繰り返しているが吉田初三郎作品調査のため購入。いつもの初三郎作品に比べて、遠景描写は控えめな感じがするが、横浜の描写はさすが密度が濃い。


『横浜市鳥瞰図』部分

くるり 赤い電車

いざ横浜へ・・




未読日記499 「湘南電鉄沿線名所図絵」

2011-05-14 23:15:49 | 書物
タイトル:復刻版・湘南電鉄沿線名所図絵
著者:吉田初三郎
印刷製本:株式会社光洋社
発行:横浜都市発展記念館
発行日:2008年10月14日
定価:300円
内容:
1930(昭和5)年に発行された『湘南電鉄沿線名所図絵』の復刻版。

購入日:2011年5月5日
購入店:横浜都市発展記念館
購入理由:
 吉田初三郎作品の調査として購入。湘南電鉄とは現在の京浜急行電鉄の横浜(日ノ出町)以南の路線である。湘南だけに海の青さが印象的で旅に出かけたくなる。


『湘南電鉄沿線名所図絵』部分
電車がデカい・・


いつ頃まで「汽車」という単語が日常的に使われていたのだろう・・


Recording Words 065 人の言う事を聞かない

2011-05-13 23:12:32 | ことば
(…)もの作りをする人は、あるところでごろっと変わんなきゃいけない。それは何かって言うと、どうやって人の言う事を聞かないかっていう技術を持たなきゃいけない。それは誰かが教えてくれるわけじゃなくて、自分でトレーニングしなくちゃいけないわけですよ。
(都築響一[編集者]、NPO法人地域文化に関する情報とプロジェクト編『インタビューズ』大阪市・財団法人大阪観光コンベンション協会、2010年、p.83)

 ここでいう「人が言う事」とは、「お母さんの言う事」「先生の言う事」や人が善意で言う「音楽作るんだったら東京の事務所に属せ」「美術やるんだったら美大に行け」などのアドバイスのことである。都築氏はこのような「自分のために言ってくれるまっとうな事を遮断する技術」というのを自分で得なければいけないという。
 私はもの作りの人というわけではないが、どれだけこの技術があるだろうかと考えると、得られてないと反省するばかりだ。え?そんなことない?

未読日記498 「小田原急行鉄道沿線名所図絵」

2011-05-12 23:55:13 | 書物
タイトル:復刻版・小田原急行鉄道沿線名所図絵
印刷製本:株式会社光洋社
発行:横浜都市発展記念館
発行日:2008年10月14日
定価:300円
内容:
1927(昭和2)年に刊行された『小田原急行鉄道沿線名所図絵』の復刻版。

購入日:2011年5月5日
購入店:横浜都市発展記念館
購入理由:
 吉田初三郎鳥瞰図の研究資料として購入。
小田原急行とは現在の小田急電鉄である。本図は富士山をはじめ多摩御陵、大山、箱根山などの山々がとてつもなく誇張された偉容で描かれていておかしい。富士山にいたっては、枠線を突き抜けている。
 また、表題である小田原急行がレーザー光線のような赤く太い線によって新宿から小田原まで一直線にひかれている。極端なまでにわかりやすい表現をする初三郎の真面目だかバカにしているのかわからない描き方が痛快だ。

『小田原急行鉄道沿線名所図絵』部分