A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記41 「藤森照信 野蛮ギャルド建築」

2007-06-06 23:28:12 | 書物
タイトル:ギャラリー・間叢書10
     藤森照信 野蛮ギャルド建築
企画・編集:ギャラリー・間
AD:田中一光
出版社:TOTO出版
発行日:1998年2月20日
内容:
タンポポとニラが建築になった。
屋根や壁に草や木を生やしたり、古代の割り板技術を復活させたり、とにかく珍しいことばかり。自然素材に徹底的にこだわった建築探偵・藤森照信の「建築実践篇」。

建築を作ろうとする時、土や木や石を目の前にすると、血が騒ぐ。信州の野山を駆けていた少年時代の血が騒ぐ。 藤森照信

「神長官守矢資料館」、「タンポポハウス」、「ニラハウス」、「一本松ハウス」、「秋野不矩美術館」一挙掲載。「ニラハウス」絵巻、「自然素材仕上げレシピ」初公開。
(帯コピーより)

購入日:2007年6月5日
購入店:amazon.co.jp
購入理由:
藤森照信の名前を知ったのは、おそらく赤瀬川原平、南伸坊らによる『路上観察学入門』(ちくま文庫)だったであろうか。この本は、展覧会の予習にと思い、いま読んでいるところだ。
そして、今週末までメゾンエルメスにて開催されている<メゾン四畳半:藤森照信展>、現在、東京オペラシティアートギャラリーにて開催中の<藤森建築と路上観察:第10回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展帰国展>を鑑賞し、その展示構成の匠な技に驚き、あらためて興味をもった。

それは、まず彼が建築の素材に使う「自然素材」だ。タンポポ、ニラなど、有機的な植物を建築に取り入れたユニークな作品に、わたしはなぜかここ最近考え続けている「いけばな」を思い出してしまったのだ。
別に、彼の作品が「いけばな」だ、というわけではない。人が居住する建築物には違いない。わたしは建築には疎いので、ヘタな事は言えないのだが、彼の自然素材を使用した建築を知るにつけ、いけばなという芸術形式が持つ有機的な作品の佇まい、存在に近いものを感じるのだ。
通常、芸術作品、建築作品は、一度完成したらその形態は変化しない。年月による劣化はあるだろうが、それ自体を想定して制作されてはいない。
だが、いけばなは植物が枯れるという「時間」を想定して制作される。つまり、形態が変化することを想定しているということだ。
そのオーガニックな要素がいけばなにとってはもっとも本質的な点なのだ。藤森建築においても、かつて使われていた建築技法を甦らせたり、自然素材、手仕事にこだわった工程などを知るにつけ、藤森建築にはオーガニックな要素が不可欠なことがわかる。そう、藤森建築にはそんな有機的な「時間」を想定して、設計、建築されているのだ。
藤森建築に「いけばな」を見てしまったわたしだが、逆に言えば「いけばな」が建築的だと言うこともできるかもしれない。「建築」と「いけばな」。この両者の関係は、一見相反する異ジャンルのように思えるが、なにか共鳴するものもあるかもしれない。だが、この問題もまた、有機的解決を待つしかない。


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