A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記211 「簡素な生活」

2008-12-01 23:15:50 | 書物
タイトル:簡素な生活
著者:シャルル・ヴァグネル 大塚幸男訳 祖田修監修
カバーデザイン:蟹江征治
発行:講談社/講談社学術文庫
発行日:2001年5月10日
内容:
現代文明は人類に物的な豊かさをもたらした。だが反面、私たちは果てしなく欲望をふくらませ、人間として大切な多くのものを失ってきたのではないだろうか―。
ヴァグネルは精神や思想、言葉、家庭、教育など日常的なテーマをとり上げて簡素の本質を論じ、人間の永遠の幸福の基礎は心の簡素、生活の簡素にあると説く。百年前の書でありながら、今もなお新しい。
(本書カバー裏解説より)

購入日:2008年11月15日
購入店:DORAMA 下北沢PART6店
購入理由:
この本の存在をどこで知ったのか思い出せない‥。古本屋で立ち読みして記憶していたのか、雑誌か新聞の書評で見かけていたのか、それともどこかの書店で見ていたのか。監修者まえがきを読んでいたら、記憶がなんとなく蘇ってきた。「私はこの本を、河原町三条でバスを待ちながら、古本屋の店先に並べられた百円均一の本の中から、何気なく取り上げ購入した。」(本書p.3)。そう、この本は以前、京都の書店・恵文社一乗寺店で見かけ、興味を焚きつけられて今にいたってはいなかったか。まだあやふやではあるが、そんな気がする。
私は簡素でありたい。この本の原題も「La Vie Simple」という。冨や名声、成功に金銭‥。どれほどこれらの事柄が私たちの人生を曇らせることか。ここ数年、私が念頭に置いてきたのは、「個性」ではなく「常識」にしたがうということだった。「常識」というと、なにか保守的、規則的な感じがする。だが、私が念頭に置いている「常識」とは、「まっとうなことをする」ということだ。どれほど専門性を高めても、基礎となる人間性・社会性がなければ「非常識」になるだけだ。私はそんな「非常識」な「個性」なんかいらない。それなら「無個性」「非個性」でいい。簡素に生きること。いまのわたしにはそれが「まっとうに」生きるすべのような気がするのだ。今こそ簡素を讃えようではないか。