ロイス ジャズ タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

金成の客

2009年07月10日 | 巡礼者の記帳
朝からの雨が昼になって一瞬の烈風に、庭に出てみると、撓っている凌霄花の枝が突然ボキッ!と鳴った。
あらゆるものが季節風に吹かれ、誰も道を歩いている場合ではない。
やがて雲の切れ間から透明な光が地上に差し込んで、少しの間、遠く山の稜線が鏡のように鮮やかになった。
はたしていまなら須川岳はどう見えるのか?たまに気にしている眺めをさっそく確かめに通りに出てみると、この界隈では一番高い山嶺がすぐそこにあった。
そのとき、白い小型車が入ってきた。
「やっとちかごろ閑が出来たので、蔵からJBLを出してみたら、エッジがボロボロでした」と言って、修繕キットによって往年のサウンドがジャズの鳴りを取り戻しているそうである。
その客の暮らしている伊達藩の境界にある住まいから、半径50キロの円をとりあえず引いて、ジャズの楽しみに浸る歌枕を探していると、ROYCEがあったかもしれない。
その客は言葉を選びながら、オーディオの最も盛んな頃のショップが街々に音を競っていた思い出を述べていたが、タンノイから『HANGING OUT』が聴こえている。
この楽団がしばしば得意にする12バルブのエンジンをぐっと絞って、持て余すパワーをつい空吹かししながら、申し合わせて低速をのろのろたのしみ、それが次第にこのうえない子守歌のように聴こえている。
オーディオもパワーが余るころには、とうとう象の背中のような、JAZZがちょっとした子守歌に鳴るのだろうか。






コメント
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