サッカールーの何でもござれ

サッカーとオーストラリアに関するサッカールーのエッセイです

消えた年金、返せ年金

2007-06-08 08:22:43 | Weblog
日本では年金が大問題となっているが、これについて一言。

まず根本的な問題としておかしいと思うのが、年金に加入される際にその個人の情報をどうして完璧にしておかないのか、名前の漢字の読み方が間違っているなどと問題はふりがなをふればそれで簡単に解決できるわけだ。加入する際に戸籍、または住民票など身分証明提出を義務としていれば、何の問題も発生しなかったはずだ。

また厚生年金→国民年金→厚生年金と仕事を変更するたびに年金も変わる。これは仕方がないことで、それをまとめて統合しようとすることに無理がある。オーストラリアだって仕事をかえるごとに年金は変わるので、場合によっては一人で10件以上なんとこともありえる。それは一切統合されていない。

日本の最大の問題点は、これは戦前からの制度であるから改革しようがないのだが、25年間年金をかけていなければ受給資格が発生しないことだ。これはどう考えてもおかしい。また若い年代が高齢者の年金をまかなうというシステムにそもそも無理がある。

簡単に例をあげよう。単純に毎月2万円を40年間払うとする。年間24万円x40年=960万円である。60才から30年間毎月10万円を受給するとすれば、3600万円である。

年金をまかなってくれる若い世代が多ければいいが、高齢化が進めば構造破綻するのは明らかである。こんなシステムはそもそもおかしい。

また外国人、あるいは筆者のような途中で海外に住んで年金を払わなくなった人は完全にそれまでかけた年金が掛け捨てになる。オーストラリア人が英語教師などで日本で働く場合、厚生年金と社会保険はセットで源泉徴収される。

彼らはせいぜい1-2年しか日本にいないので、厚生年金分は掛け捨てになる。これはどうみても詐欺である。

オーストラリアの場合、公的年金と私的年金の2種類がある。公的年金は所得、財産、国籍(または永住権の有無)などによりかなり条件が違うが一種の生活保護的な税金により支給される年金である。公的年金は所得も財産もない貧乏人の場合、現行で夫婦で2週間あたり38000年程度支給される。1ヶ月8万円程度。まあまあである。

ただし、持ち家や貯金があるとそれに応じて支給額が削減されていく。中流程度の人であれば、多分半減くらいにはなる。それでも3-4万円はもらえる。でも当然これだけでは生活できない。

私的年金これは雇用主が被雇用者の所得の10%程度を年金として強制拠出するシステムである。これを民間の保険会社が運営してその利回りから得られた配当が加算され、それは非課税である。ただし雇用主が拠出した年金額は15%の税金がかかる。日本の厚生年金に似ている。

これらの既定はかなりころころ変わるのだが、65才から受給できるようになり、各年金件数ごとに引き出せる。年俸500万円の人の場合、毎年50万円が掛けられて、30年間で1500万円となる。それらは毎年運用されているから毎年7%程度の運用利回りがでれば、30年で倍ぐらいにはなるのかしら。

ただしあくまでも運用利回りであるので、厳密にいえば元本割れもありえるし、仕事をころころ変えると掛け金が拠出されなくなる件数が残り、その金額が低いと運用している保険会社の手数料(これがすごく高い)が運用利回りよりも高くなり、ほったらかしにしておくと元本が割れていく。

このため現在の仕事の年金に過去の年金をすべてまとめることもできるのだが、それをすると保険会社から莫大な手数料が取られる。だから筆者はオーストラリアの年金は政府が保険会社を潤すためのシステムであると考えており、規定もころころ変わるので一切信用していない。

それでもどんなに件数が増えても年金そのものは消えたりしない。この雇用者による強制拠出のシステムは1990年ごろから始まったので、筆者の年金もまだそれほど貯まっていないが、あと8年くらい勤務を続ければ、年金の総額が1000万円くらいにはなるはずである。

もっとも年金を受給できる年齢に達した際に元本に対して新たな税金がかかる可能性もあるので、筆者は年金そのものをあてにしていない。

ちなみにオーストラリアの場合、日本人が途中で日本に戻るとしたら、それまで払われた年金を全額返してくれる。かなり手数料がとられるはずだが、日本のように25年未満だからという理屈での掛け捨てにはならない。

25年という日本のシステムは変えようがないとすれば、各年金の件数を個人単位で統合しようなどということはやめて、25年払ったことを証明すれば、各件数ごとに受給が始まるというシステムに変えるべきだ。

しかしシステムをどういじったところで、若い年代が高齢者の年金をまかなうという構造であるかぎり、次から次に問題が出てくる奈落の底状態は一向に変わらないだろう。

コメントを投稿