ヒトの意識についての「意識革命」を起こす本を2冊。
まず、「しらずしらず ― あなたの9割を支配する『無意識』を科学する」 レナード・ムロディナウ著、水谷淳訳、ダイヤモンド社 2013年。
「人間の感覚系は脳に毎秒およそ1100万ビットの情報を伝えているという。しかし(中略) 人間が扱うことのできる実際の情報量は、毎秒16から50ビットと見積もられている。入ってくる情報をすべて意識的な心に処理させようとしたら、あなたの脳はフリーズしてしまうだろう。」(41p)
「わたしたちの感覚的知覚、記憶の想起、日常の決定、判断、活動はすべて、難なく進められているように見えるが、それはそのために必要な労力を、おもに、意識の外で機能する脳の各部分に担ってもらっているからに他ならない。」(42p)
例えば視力を失ったのに物を感じる「盲視」。脳の視覚機能を担う部位が脳卒中で破壊された人物は、見えないはずの「人の顔の表情」を3分の2ほども言い当てたそうです。(51p) 意識的知覚を扱う部位は破壊されたものの、紡錘植状顔領域と呼ばれる顔を専門的に判別する部位は機能していて、そこに情報が届いていたと考えられるそうです。つまり脳は、一つの情報を幾つかの部位で受信して別々に処理したりする、というわけです。
脳の働きについては、fMRI (機能的核磁気共鳴画像法) の開発により、脳のどの部位が活動しているかを確認できるようになり、ヒトの意識がどうつくられるのかが詳しく分かってきたそうです。
またフレデリック・バートレットの記憶理論は、「記憶の歪曲は、人間の心が何らかの無意識の精神的な台本に従ったと仮定することで説明でき、その筋書きは、空白を埋め合わせ、与えられた情報と、自分の考える世界のありようとの辻褄を合わせることを狙ったものである」(140p) ということで、いろいろな実験で確認されてきているとのことです。記憶だけではなく、現に見ているはずのものについても、取捨選択し自分の世界観に合わせてものを見ることになります。無意識の偏見がなくならない大きな理由でしょう。自分の認識について、常に顧みることが必要です。
驚いたことに、絆を育むオキシトシンという化学物質があるそうです。(124p) メスのヒツジは産後の2時間ほどだけの間に近づいた子ヒツジと親子の絆を作るそうで、それは自分の子でも他人の子でも構わない。時間が過ぎると、自分の子でも他人扱いになるそうです。それはオキシトシンという化学物質が脳内に分泌されるからだそうですから、驚きです。またプレーリーハタネズミという種はたいへん夫婦の絆が強く、7割が生涯一夫一婦だそうで、それもオキシトシンが関与しているそうです。子どもを愛せない親というのは、ひょっとしてオキシトシン不足体質なのかもしれません。
などなど、大変に刺激的な本です。もう一冊は次で。
(わが家で 2018年2月20日)
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