飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

脳神経外科医 瀧澤 克己医師

2023年07月23日 07時55分26秒 | 教師論
長男度手術を手掛ける脳血管障害治療のエキスパート、神の手と言われる瀧澤克己医師。
その一流の腕を求めて海外からも絶えず手術依頼が来る。
瀧澤医師が脳動脈瘤手術の中でも、極細の血管をつなぎ合わせるバイパス手術を手掛ける。
瀧澤医師も駆け出しの時期はあった。

当初は手術のたびに手が震え、他の道を勧められてたこともあったという。
脳神経外科にとって手の震えは致命的な欠点である。
だから、別の道を勧められたのである。
では、どのようにこの欠点を克服したのか。

「手術は駄目だな。」
この言葉は、神の手をもつと言われた脳動脈瘤手術の第一人者の上山博康医師から言われた言葉である。
自分が尊敬する師匠から、駄目の烙印を押されたのである。
「僕の手術によって悪くなったてしまうのではないか、という恐怖心から手が震えていました。
 自分の腕に自信がないんですよね。
 だから、『手術は駄目だな』と言われても認めざるを得ませんでした。
 体力だけは自信があったので、それを頼りに何とかついていきました。」

瀧澤医師は、カルテや診断書の作成なの事務的な作業を進んで行った。
手術室よりも病棟によく足を運び、術前・術後の患者を診た。
時に「なぜ手術室にいないんだ」と言われながらも、他の医師がやりがらない仕事を率先して行う姿を上山医師はしっかりとみていた。

それから上山医師のもとで、技術や考え方をスポンジが水を吸収するように学んでいった。
「僕が開頭を行った後、上山先生に引き継ぎ、目の前で神の手がどう動くのか、その全てを吸収しようと集中しました。」

「手の震えがなくなり、手術に自信が持てたのは上山先生が他院に移った後、多くの手術を経験するようになってから。
 それまで神の手を間近で見続けたことも大きかった。
 誰にでも手術がうまくなるチャンスはあるのだけれど、嫌なことがあると諦めてしまったりする。
 『手術はだめだから血管内治療はどうだ』と言われたこともありましたが、その道に進んでいてもトップを目指しても頑張っていたと思います。」

saitani