飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」「万里一空」「雲外蒼天」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

良いことは広げる

2023年07月29日 08時22分49秒 | 学級経営
学級の子どもたちの様子を見てみる。
黙っていても自主的に学級のために活動する子がいる。
声をかければ率先して、仕事をする子がいる。
学級には波及効果があるが、善い行いも広がっていくこと多い。
しかし、それは教師が意図して声掛けをしたり、新しい価値観を示した時に起きる。
まず、大切なのは子供達自身が良いことを集団に広めていこうとする意識があるかどうかだ。
自分自身を成長させることはもちろん大切だが、将来的に考えれば、集団をよくしていくという視点も育てたほうがよい。
それが大人になったときに社会の一員としてよりよいコミュニティを作ろうという気持ちにもなっていく。

子供達に次のように問う。

アフリカのきれいな水が出ない国の人を助けたいと思います。
あなたなら、どのような行動をとりますか。
次の三つから選びます。

1 半年分のたくさんのきれいな水の入ったペットボトルをあげる。
2 井戸をほってあげる。
3 井戸の掘り方を教えてあげる。

選んだあとに、なぜその方法を選択したのか理由も問う。
多くの子が、3を選択するだろう。
その理由は将来性があるという点からだろう。
ペットボトルを渡したり、井戸を掘ってあげることは一時しのぎにはなるが、発展性がない。
しか、井戸の掘り方を教えれば自分の力で水を得られるようになる。
依存ではなく、自立ができるのだ。

さらに続ける。
ここからが本題だ。
良いことをしてる子が学級にいる。
それはどこの学級でも見られる風景だ。
さらに進んだ学級では、その善い行いを広げようとする意識がある。

子供達に話しかける。

皆さんは、井戸の掘り方を教えることが良い用法だと言いました。
私も、そのとおりだと思います。
でも、あるひとつの村に井戸の掘り方を教えても、その村だけが助かるだけです。
きれいな水が飲めなくて困っている村はたくさんあります。
小さな子どもが、何十キロも離れたところまで水をくみに行っている国もたくさんあります。
しかも、その水はきれいではありません。

さらに多くの村が幸せになるにはどうしたらよいと思いますか。
・たくさん井戸をほって、他の村に配る。
・水道管を通して、他の村にあげる。
・井戸の掘り方を他の村の人にも教える。

そうですね。
井戸の掘り方を学んだ人が、さらに他の人に掘り方を教えてあげれば幸せになっていく人が増えていきます。
「一人の人のよいことや頑張りは、他の人に伝わるとさらによくなる」
ということが大事だと思います。

例えば、毎日ゴミを拾う人がいるとします。
一人で一日に30このゴミを拾うとします。
このことは素晴らしいことです。
でも、3人の人が同じように行動すれば、90このゴミを拾うことができます。
本当のリーダーや、良い人、優しい人は、自分が頑張るだけでなく、広げていくという考えを持つことも時には大事です。

まず自分が行動することが最初です。
そして、自分が実行できたらその良いことを広げて行ってほしいと思います。
すると自分だけなく、周りの人もよくなり、そのクラス、グループ、集団はどんどんよくなります。

ひとつコツみたいなものを伝えておきます。
自分が良いことをしても、それを認めてくれる人と残念ながら認めてくれない人がいます。
良いことを広めていくことの大切さを全員が理解しているかと言うとそうではありません。
自分にそういう経験がない人は理解できないと思います。
そんなときには、一人でも二人でもいいので、一部の人と協力して始めることです。
一部の人が集団の核となって行動します。

バケツに水を入れて、細い棒でかき混ぜても最初は何も起こりません。
でも、諦めずに根気よく続けていくと小さな流れができます。
その小さな流れを大切にしながら、続けていくと渦巻きになり、やがて、大きな渦となります。
その第一歩の行動を起こし、そして、伝え広めていく人にみんなにはなって欲しいと思います。
それが、大人になってもみんなが幸せになれる社会を作っていく人になってほしいという私の願いです。

saitani