一昨日からアース21札幌例会。
一昨日には現場見学会として弊社社屋も公開されました。
その一行、人数が53人以上ということでよくわからないくらいの大人数。
建物の説明については施工のヨシケン・吉田専務も同行されていたので、
おおむねはお任せしていましたが、一応の「おもてなし」も用意。
ということで、昨日は今回例会のメーンである「構造学習」講演。
最近うち続いている災害列島ニッポンということで、
いま東奔西走の大活躍をされているM's構造設計の佐藤実さんの講演です。
ちょうど今回は、胆振中部地震直後ということで、たいへんタイムリー。
構造というのはとくにユーザー側からすればなかなか不可視の部分。
講演でも佐藤さんから話されていましたが、
一般ユーザーには「価値判断」がきわめて難しい領域だと思います。
結果として、国の定めた基準がほぼ唯一の判断基準になってくる。
で、いわゆる「耐震等級」というレベルが定められている。
これが1から3までレベル分けされている。
1では「大地震から家族のいのちを守ります」とされている。
建築基準法が定めた「耐震性能」となっています。
それに対して3では、建築基準法の1.5倍の耐震性能があるとされている。
約100万円程度のコストアップが見込まれている。
〜これだけの情報を聞けば、3にしたとしても1.5倍か、それなのに
100万円もコストアップする、というように判断するのもある意味自然。
あるかどうか、まったく不明な地震に対しての備えとしては、
耐震等級1でまぁまぁ十分ではないかという判断をしてもおかしくはない。
ところが、この1では、大地震で「いのちは守れるけれど、そのあとは
その家に住み続けることが著しく困難であるという結果になることが多い。
いのちは助かったけれど、建物は大きく変形しそのままでは暮らせなくなる。
ローンも抱えて、その返済ものしかかってきて、賃貸住宅に住むしかない。
そういう地震に遭って、そのあとユーザーに「いのちが助かって良かったですね」
と声掛けすることは許されないとされていた。
まさか、命は助かるけれど住めない家になるとは思わなかった、と。
もちろん3レベルであっても、完全に変形が生じないと言い切ることはできないけれど、
少なくとも熊本地震で被災した益城町にある耐震等級3の家では
該当する16棟の住宅ではみなさんそのまま暮らしているという。
今回の地震に遭遇するまで、実体験としての感覚が正直やや薄かったのですが、
きのうは、こういうお話しがまことにストレートに入ってきました。
ここまで災害が頻発するようになるとは、
戦後の列島地盤安定期に生きてきた人間として、想像も出来なかった。
日本列島の「常態」はむしろ今の状況の方が長かったのではないかと、
そういう強い印象をもって聞いておりました。
いずれにせよ、備えあれば憂いなし、ということそのものですね。