三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【あさ廊下が寒い家 建築女子マンガチラ見せ-02】

2017年03月01日 06時16分04秒 | Weblog
秋田の設計者・西方里見さんは、
紺屋の白袴よろしく、ご実家の古い家のまま長年居住されていたとか。
それがついに最先端の断熱住宅を新築されたということでしたが、
ニッポンのお寒い住宅事情は、そう一筋縄では解決しない。
住宅ストックは6000万戸を超えているけれど、空き家も820万戸。
このうち省エネ基準以上の家は、どれくらいか、
北海道ではようやく半数程度ではあろうと思いますが、
ニッポン全体を考えると相当に「お寒い」状況であることは明白。
西方さんの去年までを引き合いにしたら恐縮ですが、
わかっていてもできない事情もあるし、そもそも寒い家に住んでいて
それが寒い家だという認識もなかなか人間は持たない。
慣れ,習慣というのは人類が獲得してきた環境適応力にも由来する。
快適というか、不快でない空間の質というものを、
普段感じていない人は、そういうことへの想像力が持ちにくい。
しかし、生活シーンの中でそういうことに気付くチャンスは多い。

マンガを考えていて、そんな生活者に寄り添う視線で
さまざまな生活シーンを考えてみると、数限りなくそういうチャンスは見えた。
このチラ見せのワンシーンは、子ども1人夫婦2人のくらしを想定したけれど、
ニッポンの寒い家、朝起きてトイレに行く瞬間からスタートする(笑)。
わたしは、北海道での高断熱高気密住宅体験が長くなって、
「あさ、廊下が寒くてトイレにいくのが一大決心」みたいな
住体験、心理をすっかり忘却していたのですが、
それが関東でたくさんの住宅を取材してみて、
生活者のみなさんと取材で話していて、みなさん一様に
「廊下の寒さ」を訴えられた。まるでそれが常識だ、みたいにして。
そこではじめて気付いた、そうかニッポンの家は寒いんだと。
北海道の30年以上前の現実がニッポンでは延々と続いていたのですね。
寒けりゃ、あたたかくすればいい、という当然のことが、
そんなことができるわけがない、先祖代々こういう環境で生きてきた、
「いやー、さむい」とは口走るけれど、それは一種の愚痴、
冬の挨拶口上だよ、おまえ、みたいな生活文化のようにも感じた。
どうもそういう江戸っ子的な勢いに押されそうになるのですが(笑)、
一方では北海道ではそういう愚痴を言わなくても済むような
そういう生活の先進性が実現してしまっている。
そういった落差を強く感じ続けていたのであります。


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