三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

2020年に向けて工務店は?

2014年11月13日 05時21分26秒 | Weblog


きのうはジャパンホームショーの見学・取材。
毎年この時期に開かれるのですが、
ユーザー視点のわたしどもの住宅雑誌としては
どっちかというとプロダクト側に寄った視点にすこし距離感もあって、
今回がはじめての取材でした。
とはいっても、住宅雑誌ですのできちんと会場側の承認を受けて
報道・プレスとして見させていただきました。
会場内で一番活気を感じたのは、工務店向けの専門新聞・出版社である
新建新聞社の三浦祐成社長兼編集長さんによる講演。
会場では立ち見も出るほどでした。
三浦さんの講演は何回か聞く機会もあって、今回も貴重なお話しでしたが、
それ以上に、たぶん大部分であろう工務店さんの受取り方・熱気に驚くほど。
たしかにムリもありません。2020年に省エネ基準の「義務化」や、
着工頭数のほぼ確実な落ち込みという業界を取り巻く環境の中で
どのように生き残っていくのか、まさに真剣なまなざしを感じます。
講演の中でも、2020年には新築着工が60万戸くらいまで落ち込むと予測され
一方で工務店は自然廃業も含めてほぼ1/3程度まで
総数が減少していくと予測されていました。
全国を取材で歩かれるなかで、そういう事業環境の中、
さまざまな動きをそこに見出されて、事例としても発表されていました。
工務店経営には、案外横の連絡ということがなく
大手事業者であれば、企業内でさまざまな事業予測をする部分が、
工務店としては、こうした機会で得ようとされるのだと思う次第。
一方で、北海道など北方圏では
主に高断熱高気密という技術指標によってグループ化が進行していて
そういった情報共有環境を通して
すでに工務店の優勝劣敗が明瞭になって来ている部分がある。
行政機構側や大学研究者、設計事業者などとの連携もスムーズで
作り手の事業環境が他の全国のものとかなりの違いがある。
そのうえでの住宅マーケティングになっていると思います。
寒冷地では住宅性能技術は、ほぼ「人権」に等しいのに、
温暖地では、どうしても「差別化」視点のマーケティング要素になる。
本州地域では、そのあたりが明確になっていないままなので、
どうしても目先的な手法に走る部分を感じる次第。
住宅技術、高断熱高気密について、本州から学ぶことが出来なかった
北海道の事業者としては、実感として、
市場動向把握にもやや差異性も感じるのではないかと思います。

しかし、現実に住宅において市場縮小は起こりつつあり、
そこからどのように生き残っていくべきなのか、
問題は等しくやってくることは確実。
企業としての生き残りに対しての真剣さ、必死さは
皆一様に持っているところです。
ユーザー視点とプロダクト視点、そのせめぎ合いの中で
どのあたりが共感を持って受け入れられていくのか、
探求していくことがきわめて重要になってくると思います。
少子化・高齢社会化の進展のなかで、
日本のドメスティック企業・業界が等しく克服を迫られているテーマですね。
コメント
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