「中国をナチスになぞらえ…比大統領、支援求める」
フィリピンのアキノ大統領は4日の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)の
インタビューで、南シナ海の領有権を巡って同国に圧力をかける中国を
ナチス・ドイツになぞらえ、
「我々が間違っていると思うことに『イエス』と言って、
事態が悪化しない保証があるのか」と述べ、
中国に対抗する上で各国の支援を求めた。
大統領は、第2次世界大戦前の1938年、
ナチス・ドイツによるチェコスロバキア・ズデーテン地方の併合を認めた
宥和政策で、戦争を防げなかったことを指摘。
「(国際社会は中国に対して)どの時点で
『いいかげんにしてくれ』と言うのか。
国際社会はそれを言わなければならない」と訴えた。
というニュースが、各紙で控えめに扱われている。
東アジア世界での最近の日中韓の冷戦的関係の表現として
中韓両国が声を揃えて日本とナチスドイツを同列にして
非難するという宣伝戦が行われているのに対して
フィリピンが、それを逆手に取るような形で
中国の海洋権益膨張路線に対して非難の声を上げたわけだ。
南シナ海海域での中国による権益拡張の動きは
これまでも小さめのニュースとして注目されてきていたけれど、
電子版とはいえ、ニューヨーク・タイムズが正面から取り上げたのが
今回の特徴と言えるのだろう。
欧州が、中国の経済的な勃興に比例して融和的な姿勢であるのと
アメリカも自国の内政問題、財政問題から
できれば世界の警察官の位置から自らを遠ざけたいと
オバマ政権としては中国に対して決して強気には出ていない。
中国側が、太平洋には米中2大国が覇権を分け合う広さが
十分にあると発言したという習近平に、オバマがどう対応したかが
あまり大きくは情報として出てきていない。
黙認的な態度を取ったに違いないことが、その後の情勢変化からは
読み取ることができるといえる。
そういうなかでのアキノさんのこういった発言は、フィリピンとしては
ある種の賭けに打って出たと言うことかも知れない。
次いでベトナムが同様の対応を見せるようになれば、
欧米国際社会は、どのように対応してくるのか、
韓国はまさに中国への忠誠の証しのようにして、
日本の従軍慰安婦問題を外交的なカードとして使い続けている。
韓国としては、そうする必然性があってのことなのだろうけれど、
中国の尖閣挑発が日本の民族主義を刺激しているなかで、
きわめて危険な外交態度と言わざるを得ない。
折しも、オバマが日本を訪問し、その後、
フィリピンとマレーシアを訪問すると発表し、韓国については
訪問するともしないとも明確にはなっていない、とされる。
複雑な話し合いの駆け引き、綱引きが行われているのは明白。
そもそも、欧米が融和的な態度である根源である発展する経済の面でも
中国には資本の移動の自由が保障されていないので
共産党幹部たちが溜め込んでいる裏金が巨大になりすぎて
そのはけ口を求めて、臨界点に達しているのではないかといわれている。
歴史は繰り返すと言うことなのか、
どうにも東アジア情勢が、難しい局面なのだと思う。