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三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

北総研訪問しました

2007年08月26日 04時54分19秒 | 住宅性能・設備




北総研、正しくは「北海道立 北方建築総合研究所」。
北海道の外郭組織で、旭川市郊外にあります。
前身は「寒地都市住宅研究所」で、当時は札幌市西区にありました。
北海道は、その前身の「北海道開拓使」の時代から、一貫して、
「寒冷地における住宅」というテーマを
日本民族が北方圏に居住するための基本要件と認識し続けて、
そのための研究努力を継続してきた、ということができます。
その意味では、日本国家の意思としての北方圏開拓の
基本条件をずっと、研究し続けてきた組織である、とも言えると思います。
で、今日的意義でいえば、
このようにして蓄積されてきた北方建築技術が、
同時に省エネルギーで、地球温暖化に抗する技術として
脚光を浴びるようになってきていると言えますね。
実際に、日本全国から「共同研究」の申し出が後を絶たず、
近い将来、民営化したとしても、十分に自立していけそうな組織のように思います。

写真は、庁舎の全景模型ですが、
建物それ自体としても、IBECの省エネルギー賞を受賞しています。
基本的な断熱気密の性能に加えて、
日中勤務稼働時間での照明用電気使用率が10%以下というレベル。
これはいかに、太陽光利用率が高い設計になっているかを表しています。
手前側の事務スペースと、奥の実験棟とをつなぐ巨大な採光吹き抜けアトリウムには、
Low-Eペアガラスを介して制御されながら、たっぷりの昼光が降り注いでいます。
また、開口部周りの換気口などの工夫は、
自然換気の利用による室内環境のコントロールを入念に計画していることが明白。
こうしたポイントに徹底的に集中することで、
デザインとしてもたいへん清々しい建築に仕上がっていると思います。

というようなお話を聞くことが出来たのは、今回が初めて。
実は何回も訪問していましたが、いつも他の要件で来ていたもので、
自分自身は初めてディテールを聞くことが出来たワケなんです(汗)。
実務に関わった研究者の方から、
細部のお話を伺ったのですが、こうした立派な建物でも、
実際の設計、施工の段階では、いろいろな問題点もあったそうです。
しかし、今後の建築が目指していくべき基本方向をきわめて明確に示している、
という意味では、わかりやすい近未来を感じさせる建物だと思います。
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先斗町早朝散歩

2007年08月10日 07時19分43秒 | 住宅性能・設備


さて、京都紀行。
坊主との日中の観光もいいのだけれど、
やはり建築的な興味もあるので、早朝散歩がたいへん楽しみ。
市内中心部のホテルでしたので、朝、先斗町を散策。
って、そんな人はいないだろうと思っていたら、
前夜から徹夜で飲んでいるような人が多くて、
けっこう人が多い。
ただ、先斗町は食事をメインとしたお店が多いので、
そういうみなさんのおじゃまにはならなかったようです。
先斗町って、変な名前だなぁと、前から思っていたのですが、
ポルトガル語に起源を持つ名前と言うことだそうですね。
信長の時代に、南蛮寺もこの近辺にあったそうです。

そんな街並みで、目に付いたのが、「けもの落とし」と呼ばれる外部装置。
「あれ、なんて言うの?」とタクシーの運転手さんに聞いたら
「けもの落とし」と教えていただいたのですが、
面白そうなので、Wikipediaで調べてみたのですが、そういう項目はない。
なので、この運転手さんの説明だけが情報源なのです。
写真でご覧いただくように、
竹製で楕円形状に上部がすぼんでいるわけですが、
機能は、ネズミやタヌキなど、食べ物を狙ってお店に入り込もうとする「けもの」を
入られないようにするものなんだとか。
コメなどの食料をネズミの被害から守るのに、
高床式建物で「ネズミ返し」という装置がありますが、
そういう機能を果たすものなのだそうです。

先斗町では、この装置が連続していましたが、
ほかの町家でも同様なのかどうか、確認は出来ておりません。
しかし、竹の素材がみごとに古びたお店から、まだ真新しいお店、
さらに鉄製の素材で造作しているお店など、
いろいろあるんですね。
なかなかに奥ゆかしさを感じさせる外部装置。
このあたり、一種の格式も表現する装置であるように思われます。
今度じっくりと、調べてみたいなぁと思った次第です。


●追伸
建築士資格を持っている知人にも聞いたのですが、ほぼ誰も知らないということでした。
で、彰国社「建築大辞典」で調べましたところ、やはりこの名前では登録がなく、「竹矢来」の表記がこのものを表しているとは思われます。竹垣の一種のデザイン表現のよう。
ただ、そこでは「竹虎落~たけもがり」という別名が記載されています。そう、運転手さんの言っていた言葉の意味にやや似た言い方になるのですね。
現在のところ、以上のような調査になっていることをご報告いたします(笑)。

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優美な窓飾り

2007年07月30日 06時13分28秒 | 住宅性能・設備



写真は北海道開拓の村に建てられた
「擬洋風建築」にあった窓の外部飾りです。
いまはこういう手の込んだ優美なデザインは無視されがちですが、
このように詳細に見ていると、
このものの建築的な意味合いが明確に見えてきます。
わたしの少年時代、昭和30年代には、なぜか札幌って
こういう「擬洋風建築」が多かったものです。
開拓期の残像がまだ、残っていたということを表しているのだと思います。
そんな建物のあちこちでこういう窓の表情を見ることがありました。
前に気づいた出窓もそうなんだけれど、
こういう窓の外部意匠も、「擬洋風建築」を特徴づけるものだったように思います。
ただし、このように見ていると、けっしてこれらは
デザインを優先しただけのものではなく、
外部からの日射しを調整したり、雨や雪と言ったものから
建物でもっとも弱い部分・窓を守る働きをしていたことが明瞭。
現代でも、最先端の住宅性能を考えてくれば、
こういう部分が果たす役割に大きく注目が集まっているのです。
現代の多くの住宅では、施工の手間を省略するように
こういう手の込んだ手法は顧みられなくなっているのですが、
外部からの日射をコントロールするためには
このような装置でオーニングする手法がもっとも効果的と思われるのです。
また、長期的に窓を保護するためには
やはり水分進入を厳重に防御する、こういう考え方がベストと思えるのです。

こういう明確な役割を果たしながら、
優美なディテールをそのかたちに与え、愛着を演出もしている。
外側から見たときにも、建物に奥行きのある美しさをもたらしています。
目鼻立ちを考えて、しかもその陰影感を強調もしてくれるのですね。
しかも、日射の変化に応じて刻々と表情も変えてくれる。
こういうクラシカルなデザインに、豊かな機能性も見いだせるワケなんです。
よく「効率優先」と、現代を表現しますが、
自然との調和、というこれからの社会を考えていくときに、
知恵は、むしろ、こういう時代のものの方が遙かに優れていたのではないかと
感じられてなりません。


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石炭ストーブ

2007年07月13日 06時14分46秒 | 住宅性能・設備


写真は、北海道開拓の村で撮影した石炭ストーブです。
いまや暖房といえば、セントラルヒーティングかオール電化。
地中熱ヒートポンプ、さらには無暖房の実現まで
北方住宅の性能向上の努力は刮目の領域ですが、
ほんの40~50年前までは、
こういうストーブだったんです。
アメリカから北海道開拓の基本的な考え方を導入した頃、
初めて日本にこういうストーブというものが持ち込まれた。
欧米社会では、石炭というエネルギー源が発掘・産業化されており、
暖房熱源が豊富に提供されていました。
それはそのまま、産業用のエネルギーにもなっていた。
かれら社会のシステムを支える基本エネルギーが石炭だった。
そういうことから、日本でも国を挙げて石炭発掘に全力を挙げ、
北海道の夕張を中心とする石炭産業が勃興しはじめた。
当初は黒いダイヤ、といわれ、まさに全産業を支える存在だったのですね。

わたしが3才まで過ごしていたわが家は、
空知地方の産炭地に隣接した地域だったのですが、
流れている川の河原には、石炭が流れてきていて、
そういう石炭を拾い集めてくれば、買う必要がなかったということでした。
まぁ、のどかな時代の話ですね(笑)。
そんなふうに入手できるものだから、
北海道の人の冬場の石炭消費は、相当に豪快だったと言えるかも知れません。
写真のようなストーブに、左側にある石炭箱から
石炭を「くべて」、ガンガン、鋳物製などのストーブ本体が
真っ赤に変色するくらいに、盛大にエネルギー消費するのが一般的。
その後、札幌での都市生活に移転したわけですが、
生活文化的には、エネルギー多消費というのが、
寒冷地では当然である、という考えが強かったと言えますね。

いま、こうして石炭ストーブを眺めていたら、
こういう時代も、また一瞬にすぎない歴史のなかのワンシーンだったのだ、
というような思いが強く起こってきますね。
もちろん、これからの時代はエネルギー消費を押さえる方向に進むべきであるのは当然ですが、
しかし、この石炭ストーブを囲んで、
冬の寒さをともに過ごす隣人たちや、
家族全員で、燃える炎の力強さに勇気づけられて
乗り越えてきた、というのも事実だったのです。
そういう北国らしい、おおらかな人間関係を育む側面もあったと思います。
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円窓

2007年06月22日 05時11分58秒 | 住宅性能・設備

写真は三笠市にある地元ビルダー・武部建設さんの
モデルハウス内部で撮影したものです。
このモデルハウスは、古民家再生型のコンセプトハウスで、
伝統的な日本家屋の記憶を随所にあしらった建物。
空間自体は、柱と梁が重厚な空気感を彩り、
畳や障子といった素材が懐かしい雰囲気を醸し出します。
で、極めつけ空間としての床の間の横に、
インテリア全体を引き締めるようにこの、円窓があります。

円窓って、日本的な伝統建築、寺院とかによく使われていますが、
考えてみると実にユニークな建具だなぁと、感心させられます。
こういうように窓枠を縁取るわけですが、
まずは、窓枠を丸く造作するという必要がありますね。
あたりまえですが、こういう技術、考えてみれば、
昔から日本人は得意だったのでしょうね。
壁を構成する材料、一般的には塗り壁ですが、
その下地を竹などの素材で格子状に造作します。
それ自体も丸く穴を穿っていかなければならない。
先に格子組をしてから丸鋸のようなものでくりぬくのか、
それだと、どうも格子組の下地が不安定になりそうで、
たぶん、先に丸い枠をはめ込んでから
周りの格子組を丹念に造作するのではないかと思います。
組み上げていく下地をがっしりさせながら、
表面は優美な丸いかたちを美しく仕上げていく。
いずれにせよ、他の部位に比較して
格段の注意と、細心な施工手間を掛けて
こういうデザイン性を建物に加えていったんだと思います。
そういうあたりに建築職人としてのプライドなども掛かっていたのでしょう。
基本的な建築性能を担保しながら、
こういうデザイン性の実現に全力を傾注していたのでしょうね。

現代であれば、いろいろな機械や道具があって簡易にできるのでしょうが、
手作りでこういう伝統美を継承させてきた技術に
建築への深い愛着の心を感じる次第です。
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日本の各都市の気候

2007年06月10日 06時40分13秒 | 住宅性能・設備

写真はリプランに掲載された、室蘭工大鎌田教授の記事説明の表の一部。
日本の断熱の基準である1地域から5地域までの区分についての再検討が
必要ではないか、という提言がされています。
単純に気温区分だけでは、必要な熱量の計算に合わない、ということ。
この表では各地都市について、
縦軸に気温を分布させ、
横軸には、日射取得量を分布させているのです。
日射取得量の多い地域では、窓面からの日射取得で
冬期にも熱エネルギーを得ることが出来るので、
建物の性能と開口部の性能を向上させてやれば、
気温が低いからと言って、エネルギーは単純には比例しない。
右側には、大体太平洋側の都市が並び、
左側には、おおむね、日本海側の都市が並ぶ、というような状況になっています。
気温が高めの地域でも、日射取得が少なければ、
冬期の保温性について、いろいろな工夫が必要にもなるんですね。
このことは取材していて、いつも感じていることでもあります。
はじめて、冬期に帯広などの北海道東部地域に行ったとき、
全然積雪のない、晴天の続く状況を見ていて思いました。
この思いは、同様に東北各地を取材していても感じる部分です。
日本は南北に長いだけではなく、
日本海側、太平洋側でも、大きな違いがあると感じます。
それなのに、これまで、南北的な気温変化だけで区分してきた、というのは確かに変。
こういう実感に初めて、科学的なアプローチがあった、
という思いがしたのです。
こういう実態的な把握に基づいて、家づくりのポイントを
各地域別に詳細に考えていくって、大変有意義。
Q1,0運動が生み出した視点として、大きなポイントだと思います。
ぜひ、こういう方向での技術向上を期待したいと思います。

さて、残念ながら、北海道日本ハムファイターズ、連勝ストップです。
わが家はCSをケーブルテレビで見ているんですが、
なんと、きのう、見ようと思ったら、
フジテレビ系のこのチャンネルは別契約が必要とのこと。
別途料金が1000円、毎月掛かるということで、泣く泣くラジオ観戦。
ちょっと応援の勢いも削がれてしまった(笑)せいなんでしょうか。
で、監督のコメントを見たら、
「日本ハム・ヒルマン監督が選手たちを絶賛」と、されていて、
「悔やむことも恥じることもない。世界中のどこの監督を探しても、
14連勝もしてケチをつける監督はどこにもいない」
という超前向きの発言をしていました。
きっと、負けるときのコメントも考え抜いていたんだと思います。
さて、こういう選手への信頼感に満ちたコメントが、
どういう風に選手に伝わり、きょうはどうなるか?
負けたけれど、リスタートとなりますか。期待大のジャイアンツ戦ですね。
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断熱厚200mm時代

2007年06月07日 06時41分59秒 | 住宅性能・設備

リプランの取材では、いろいろ先端的な事例を見ることが多いのですが、
やはり最近は、地球環境の問題への関心の高まりもあって、
省エネルギーの対策が、大きくクローズアップされていく傾向にありますね。
いろいろな部位での断熱強化が図られているのですが、
ごらんの写真は壁の断熱強化を模型化したもの。
GWは各100mm厚のものがダブルになっています。
200mm厚の壁断熱の様子なんですね。
旭川などでは、けっこうこの断熱仕様の住宅が増えてきています。
一般的な100mm断熱は、構造材の空隙を充填する、という
まことに合理的な手段で断熱されるので、
それによる建て方の変化といっても、真壁が難しくて
大壁が一般的になる、という程度で、
そう大きな変化ではないのですが、
このように壁が倍になると、単純に壁面積が倍増する、という点があります。
隣地との後退距離に密接に関係するので、
その分、狭小敷地では室内面積に影響があるとも言えます。
また、当然、施工手順がプラスにもなるので、若干のコストアップはあります。
しかし、ランニングコストは確実にエネルギーが削減できる可能性は高まります。
施工的には、構造材部分が重なり合わないように、
熱損失が小さくなるように手順と方法を考えるのがポイント。
現実的には、「無暖房住宅」に近い性能を求めるには、
こういう方法が最も近いやり方なのではないかと、思えます。
こういう重厚な壁厚の家って、みなさん、どう感じられるでしょうか?

さて、わが北海道日本ハムファイターズ、負けませんね。
きのうも、連投の疲れから押さえのマイケル選手が、
最後はヨレヨレ状態に突入しましたが、なんとか逃げ切りました。
魔球ナックルを操るフェルナンデス選手をも、なんとか突破。
ファンとしては、なんともいえない心理状態になってきております。
選手のみなさんには、なんとか平常心で、淡々とプレーしていただきたいですね。
あさってからも、がんばれ、北海道日本ハムファイターズ!
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ベンチレーション(換気)フォーラム

2007年05月30日 05時16分12秒 | 住宅性能・設備

きのうは帯広で換気についてのフォーラムがあり
スタッフは全員忙しいさなかなので、急遽、わたしが参加。
スウェーデンSystemair(システムエアー)社の換気の専門家2名が来日しての講演。
今週、つくばでIBEC(建築環境・省エネルギー機構)が主催する講演会があり、
その前にスケジューリングしてくれたそうです。
いつも思うのだけれど、かれらはビジネス上は英語を使用するのになれていて、
ほとんど母国語と同じように使ってプレゼンします。
比較的、ゆっくりとした話し方でもあり、
わたしたちにも、単語などが聞き取りやすく、
ジョークなどもわかりやすくて親近感を感じさせてくれます。
かれらは同じ横書きのアルファベットと近似した母国語であり、
基本的な構造は英語と同様。
なので、たぶん、標準語とディープな方言くらいの違いで、
教育もしやすいのだろうか、と思ってしまいます。
その点、やはり言葉、日本人には壁がありますね。

講演の内容は、換気の必要性についての
スウェーデンでの歴史的な流れ、その概要の紹介から、
最新の、いま日本の基準で言えば、第1種換気についての概要説明。
講演を聴いていたのも、ほとんど身近な建築関係者なので、
内容は多くは日本で紹介されているものでした。
ただし、換気の必要性が北欧でなぜ叫ばれるようになったのか、
というポイントについては、やはりかれらの言葉で聞いてみて、大変わかりやすかったです。
1970年代のオイルショック(っていうのも、もはや歴史になっているんですね)以降、
暖房が必須の気候条件に置かれているかれらは、
エネルギーの問題を大問題ととらえ、
その克服の方向性を国を挙げて、追求してきた歴史なのですね。
で、換気の必要性を端的にわからせるフレーズとして、
「車の中では換気を考えるのは当たり前なのに、
人間が90%以上の時間を過ごす建物の中での換気をなぜ考えないのですか?」
という言葉が、発せられていました。
「これは確かにわかりやすい」と思わず膝を打ちました。

これまで、こういう基本的な部分、
一般消費者に対する啓蒙の部分って、日本ではどうしても
大きくは認識されていなかったと思い至った次第。
換気というと、どうしても建築の技術的な側面ばかりが強調されて
こういう認識はなかなか普及させられなかったと思うのです。
かれらの国では、国家機関が換気についての
科学的な調査を継続的に行ってきて、
その結果に基づいて、国の機関が普及啓発に努めているようです。
写真左は、そういう機関が発行しているハンドブック。
表紙にも、あかちゃんとハウスダストを暗示させる写真が使われていますね。
こういうボトムの部分の認識の共有って、大切だと痛感しました。

産業としても、この換気産業は右肩上がりで伸ばしているようです。
先日も、王様から成長企業として表彰されたのです、と誇らしげに語っていました。
自分たちの置かれた地理的条件から、
それをむしろ前向きに活かして、産業育成につなげてきているわけです。
なかなか、商売もうまいんだ、って関心させられました(笑)。
同じ北方圏居住の人間として、大いに参考にすべきですね(笑)。
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窓まわりの性能基準

2007年05月28日 06時08分59秒 | 住宅性能・設備

写真は先日の新住協総会で展示されていたサッシとハニカムスクリーン。
地球環境問題の側面から、住宅の性能向上の機運は、
今後、大いに注目が集まってくるものと思います。
とくに、サミットの開催が決定した北海道の住宅業界では、
こういう機運をもっと活かして、アピールを強化すべきだと感じます。

先週末には東京へ移動して、樹脂サッシメーカーのシャノンさんでインタビュー。
樹脂サッシのパイオニアとして30周年を超えたのを機会に
アピールしたいという企画でした。
インタビューで感じたのは、日本の住宅設備機器の基準作りのあいまいさ。
性能でその基準を示す、という世界標準の考え方が通らず、
現状のマーケット状況を反映したような基準が
まかり通りやすい構造を持っていると言うこと。
性能ではなく、現状のアルミサッシのマーケットサイズを維持する方向で
基準の設定が行われていると言わざるを得ない、ということなのです。
日本では、断熱の基準で言えば4地区、5地区という地域が
人口の大きな部分を占めていて、
アルミサッシでもいいのだ、という論理が大手を振っている状況。
北海道の常識で言えば、そもそもアルミサッシはほとんど流通していない。
性能的に、室内の熱を外に逃がすし、外部の冷気を内部に入れてしまう、
いわゆる「ヒートブリッジ」になるのですね。
樹脂サッシはこういう窓まわりの熱性能を高めるものなのです。
実際に冬期に窓まわりに手をかざして、
冷気を感じるのがアルミサッシで、ほとんど感じないのが、樹脂サッシ。
こういう当たり前のことが、なかなか通用しないのが現実。
こんなことでは、諸外国の性能基準から日本の住宅性能が取り残されるのではないか、
そういう危惧が叫ばれているのだそうです。
欧米はもとより、北東アジア地域でもそういう傾向にあるとのこと。

しかし、エネルギー問題から地球環境問題、
という待ったなしの現実の中で、いずれにせよ、方向性はハッキリしている。
やはり、多くのユーザーが声を上げて、
こういうおかしな構造に対して、異議を申し立てていくことが、
関東以南の地域でも求められることだと思うのです。
こういう認識の格差、考えていかなければならない問題ですね。
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正法寺本堂内部

2007年05月26日 07時36分52秒 | 住宅性能・設備

きのうの「正法寺」の続きです。
この茅葺き屋根日本一、の本堂の改修は
鹿島建設の施工、ということで、工事関係者の方も
見学の建築関係者を案内していました。
写真は、広大な本堂内部の様子です。
広さももちろんですが、圧倒されるのはその高さ。
大きな寄せ棟造りの屋根なのですが、
その内部に、通常で言えば4階ほどの高さの大空間が作られています。
それが、このような大きな吹き抜けで構成されているのです。
内部にそびえている柱や力量感のある梁は、
樹齢で言えば数百年の材ばかり。
野太い力強さで、見るものに感動的な空間体験を与えます。
「日本一の茅葺き屋根」は、こうした大空間に掛けられているわけで、
建築デザインのバランスから言っても、ものすごい量のカヤが
使用されているわけですね。
施工した鹿島建設にとっても、その力量を総動員するような工事だったろうと推測します。
基本的には大空間木造の迫力を再現させながら、
やや控えめに、ところどころ、太い鉄骨柱、梁が補強されていました。
耐震性も考えて、傾斜する地盤面に対して
補強材が据えられて、建物を引っ張るようにも考えられているようです。
伝統工法を研究しながら、そのデザインを尊重し、
一方でまた、現代的な技術も投入する、そういう工事ですね。
それにしても、800年近い昔に、こういう木造大空間を造り上げた
先人たちの営為に、深い畏敬の念を抱きます。
ひとびとに新奇性と建築的迫力で、宗教的体験を与える、という目的に向かって、
人里離れたこの地で、たぶん数十年掛けての建築工事。
改修工事を手がけながら、きっとこうした建築技術者としての
思いを追体験しただろうと思います。
やっぱり、リフォームというのは面白いものですね。
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