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三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

換気装置の防虫ネット

2007年05月19日 07時11分37秒 | 住宅性能・設備

今週は業界のいろいろな組織の総会がありました。
ちょうど3日間に4つほどの総会があったのですが、とても無理。
参加は、2つだけといたしました。
それにしても札幌から帯広に移動し、
翌日車でトンボ帰りで千歳から仙台へ移動。
そのまま、総会に参加して、コメンテーターも勤めました。
ということで、本日朝はやや、おつかれ気味です。ふ~っ、と。

ひとつはこのブログでも何回も紹介している新住協総会。
木曜日に帯広で開催されていました。
全国から230名を越す参加者があり、なんと広島県から8人もの参加がありました。
地球温暖化問題への意識の高まりからか、
どうすれば、暖房や冷房の負荷を削減できるのか、
温暖な地域からの住宅性能向上への意識の高まりが感じられます。
鎌田紀彦室蘭工業大学教授による基調講演でも、
冷房負荷削減のための温暖地域対策が大きく触れられていました。
講演では、暖冷房エネルギー消費に直接関連する
換気装置に大きなテーマが当てられていました。
さらに窓の問題、そして最後に壁の断熱厚みのアップ方法などが
展望されていました。本日は、そのなかの換気装置がテーマ。

写真は、会場周囲に展示された換気装置を見せてもらったところ。
最近、高性能住宅では、排気のみ機械を使用して行う第3種換気から、
吸気も排気も、機械を使って熱交換させて換気する
第1種換気装置に関心が大きく向かっています。
そうすると、従来以上に虫の問題が大きくなるのだそうです。
「最近、世界的に細かい虫が増えているんですよ」と
開発されたメーカーの方が言っていました。
こういう虫が機械の中に入り込んで、性能を劣化させる問題が
開発者のみなさんの悩みの種なんだとか。
話を聞いていると、ウィルスの進化を連想させるようで、
「虫は、無視できないんだ」などとダジャレでは済まされない状況。
それで、作ったのが写真でごらんのような防虫ネット。
素材は化繊で出来ているように見えましたが、
虫が溜まってくれば水洗いできるように工夫されています。

この換気装置の熱交換システムって、
日本メーカーの特許技術が期限切れして、それ以来
ヨーロッパで研究開発がずっと先行してきたのですね。
新住協が、より高性能住宅へのアプローチを高めてきて、
Q1.0住宅においては第1種換気を主に採用。
ドイツのメーカーのものが熱交換効率90%という売り込みもあって、
ほぼ独占のように、販売を伸ばしたのですが
ようやく日本メーカーも追撃作戦をはじめているようです。
やはり技術進歩は、競争を刺激しなければならない部分がありますね。

そのほかにも、いろいろに興味深いテーマもありましたので、
気がついたときに、またそれらにも触れたいと思います。
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ツツジ満開~投稿ご紹介

2007年05月16日 05時19分50秒 | 住宅性能・設備

いろいろとストレスの多き、21世紀の今日ですが、
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
日々、あくせくと仕事の厳しさに追われ、つい心にぽっかり空洞も空いてまいります。
そんな虚ろさを、庭の花木は巡る季節とともに慰めてくれますね。
写真はわが社、オフィスの外部通路に面した花壇、
とまではいえないけれど、お花の植え込みです。大好きなツツジです。
ちょうど昨年も、このツツジを写した写真があったので、左右に並べてみました。
まぁ、開き具合、すこし違いがあるようですね。
花の芽の付きようも、微妙に違ってくる。
同じように見えて、やはり生きていくことは変化していくこと、って、
教えてくれるようなあでやかさです。

さて、読者の方から、なんとも長文なコメントをいただきました。
バンドルネームmechaoyajiさんからの投稿です。
あまりにも内容が面白く、興味深いものでしたので、
本文コーナーで以下、大筋を掲載いたします。

 「芝置屋根」についてコメントさせていただきます。
 以前勤務していた研究開発組織のバイオチームが「植栽ブロック」なるものを開発しました。これは30cmX30cmX5cm程の空間の多い(雷おこしの様な)コンクリートブロックの空隙に、芝の種と土と肥料を乾燥した状態で充填したものです。これを砂地や軟弱路盤に施工し、散水することで、自動車が駐車出来る路面強度の芝生が作れることになります。
 実際に研究所の庭に100枚ほどの「植栽ブロック」を敷き詰め散水すると初年度は綺麗な芝生になりました。しかし冬季間は芝が枯れ、春になってそこに飛んできた雑草の種が芝より早く成長するため、3年目には雑草が芝より優勢となり、5年目には雑草にタンポポやアザミも加わり、本項の「芝置屋根」同様、手付かずの野生の状態になりました。こうしたことを考えると、「芝置屋根」は非常に環境負荷の少ない構造体であり、芝は雑草が生えるための準備植物として立派に役目を果たしたのではないでしょうか。
 日本の家屋も、材料や気候風土から「木」「竹」「萱」「藁」「土」「漆喰」で造られ「風通し」を考慮して間取りされていました。暑い夏、昼は野良仕事、夜は蚊帳を吊って寝ていました。寒い冬は綿入れ半纏を着て終日炉辺に寄り集い、湯たんぽを抱いて藁布団で寝ていました。燃料は里山で採れた薪炭で賄っていました。
 現在のように高気密高断熱の住宅で屋内全体を冷暖房することはエネルギーの無駄遣いに思えてなりません。夏に蚊帳を吊って家族で寝ていたのと同様に、冬は部屋にテントを張って家族で寝れば、必要最小限の高気密高断熱空間となります。(私の経験では、独りでも充分暖かいものです)
 私の生活波長に合った記事が多くありました。機会を見て私のリフォームも投稿させていただきます。「発行人」の方の御健康と本項の継続をお願いいたします。

というご意見。
たいへんありがとうございました。
本当におっしゃられる通り、と手を打ちました。
あえて、付け加えさせていただけば、こうした考え方を実践し、
エネルギー負荷の低減を実現させ、なおかつ現代生活の利便性と調和させるためには、
高断熱高気密の住宅性能が、
不可欠な要素ではないか、というのが、当方の考えという点。
環境への負荷を低減させていくためにも、
住宅それ自体の性能を向上させる、という技術はもっと普及すべきです。
断熱にしろ、気密にしろ、それ自体の環境負荷は、
たいへん小さいものであり、
たとえばグラスウールは再生ガラスを原料とする割合が高い、
というように、エコロジカルな工業製品です。そして、
それによって得られるメリットは計り知れないものがあると思います。
そうしたしっかりしたボックスがあって、
そこに自然エネルギーを活用する技術を導入する、
というのが、目指すべき方向ではないかと思っています。
歴史時間を戻すことは出来ない、前に向かって解決するしかないのではないでしょうか。
みなさん、いかがお考えですか?
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角館 河畔の桜を楽しむ家

2007年05月10日 05時15分17秒 | 住宅性能・設備
GW前に取材した角館の家の様子です。
地元の仲野谷工務所さんの専務さんの自宅。
立地的には、桜の東北の3大名所として知られる角館の河畔に建っています。
ちょうど河畔の桜がスタートする場所にあたり、
観光コースからはややはずれていますので、
花見シーズンには、ごったがえす角館の中で、
エアポケットのような空間。
ちょうど桜並木は、この家の北側になります。
河畔の土手上に桜並木は連続しているので、
建物は、いくつかのレベル差を考えながら、構成されています。
で、もっとも、楽しめる位置にあるのが、この外の居間、ともいえる
デッキテラスからの眺望。
居間からは、テラスドアですぐに出られ、広さも5~6坪ほどなので、
多人数が集まっても十分な広さになっています。

ことしはGW寸前の時期でも、ごらんのような2分咲きの状況でしたが、
ここから、春爛漫の風情を楽しめるなんて、最高ですね。
自然と親しむ、自然を取り込む、というような志向性の
家の造られよう、というのが北海道と比較すれば
東北では、やや少なく感じるんですが、
この家に来て、魅力的な自然とのふれあいが目的的に作られていて、
プランニングのわかりやすさに感銘を受けました。
しかし、一方で仲野谷工務所さんは、高性能住宅造りの実績も豊かなビルダーさん。
この家でも、外張り断熱を基本としながら、
「付加断熱」として、軸間にグラスウールを充填して高い性能を実現しています。
外張り断熱でも、現在以上の高性能を考えれば
必然的にこの方向になるので、充填断熱を基本としながら
外張り断熱材を「付加断熱」する工法と、ほとんど同じような壁の構成になってきます。
プラン的にも、南面からの日射取得を意図した家づくりで、
省エネルギーの方向性・志向性も明確。
性能と、ライフデザイン、双方への配慮・工夫の感じられる家です。

やっぱり、寒冷地での家づくり、
この両面から、よい家、という概念は考えられるべきだと思います。
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中国製シャワーブース

2007年05月09日 05時39分13秒 | 住宅性能・設備
シャワーブースって、ユニットバス並みの価格で
その割りには、快適感が日本人にはいまひとつ、という感じで
日本のマーケットでは普及していませんね。
設置スペースが、格段に狭くてもいいというわけでもないし、
水道や温水の配管、下地の防水も外国とは違ってかなり念入りにしなければならない。
欧米の人たちって、シャワーで済ませる人が多いので
こういう商品の需要があるのでしょうが、
日本人はユニットバスで、しっかり体を洗うような習慣があるので、
どうも、ちょっといいけど・・・という感じにとどまっているのでしょう。
そんなシャワーブースですが、
あるメーカーモデルハウスで、なんと中国製という商品を発見。
聞いてみたら、モノの値段としては日本の大手メーカーのものと比べて
半額以下、1/3くらいで入手できるんだそうです。
それくらいなら、ちょっとしたコーナー利用で、と考えたくなるところですが、
さわってみたら、たとえば防水を要求される箇所、
ドアのしまい方とか、開閉時の気密性の頼りなさ、など、
簡単に目につき始めてしまいました。
また、実際に取り付けたら、すぐにメンテナンスが必要ですが、
そういう体制も中国メーカーでは、なかなか取りにくいと思いますね。
見てみた感じは、まぁ、値段相応のギミックかなぁ、というところ。
値段には魅力があるのですが、やはりちょっと、です。

最近話題になっていた、ディズニーランドのそっくりさん問題で、
中国の知的所有権への態度が、
アメリカ大統領から問題である旨、発言がされていましたね。
これって、かなり最大級に近い国際的警告の発し方。
これから、中国の企業が直面して来るであろう大きな壁が、
さまざまな分野での、知的所有権への対応だろうと思います。
明らかにクレヨンしんちゃんなんだけど、そっくり、でもちょっと違う、
というような、中国内向きだけでいいや、といういい加減な姿勢を取っていると、
大きなしっぺ返しが襲ってくるのではないかと思います。
マイクロソフトは、中国でのウインドウズのビジネスの難しさをアナウンスしていましたね。
大量のコピーCDが犯罪感覚もなく、取引されている実態なんだとか。
このシャワーブースでも、たぶん、細かい部分のディテールで、
欧米日の企業はいろいろな特許とか、知的所有権の問題をクリアして、
そういう経費を払って、商品化しているはずだと思うのです。
それに対して、残念ながら、この商品ではいまのところ、
国際的な水準とは言えない、と思いました。

中国では、建築の世界で木造の歴史が断絶している部分があって、
そういう部分で、日本の住宅企業との合弁を進めているようです。
これだけ、国際交流、貿易がさかんなのに、
住宅企業で国際企業って、まだ出てきていない。
設備関係の企業でも、たとえばTOTOのウォッシュレットみたいなのも、
ようやく海外への販売が取り組みはじめられたような段階です。
ということで、けっこう、国内向け産業、地場産業といえる住宅分野ですが、
やはり今後は国際化が、国際的な大競争時代がくるのでしょうか?
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リフォームの心理的動機

2007年05月07日 06時06分02秒 | 住宅性能・設備

リフォームって、難しいマーケットなのだとつくづく実感します。
新築需要については、やむにやまれぬ「家を建てたい」という社会的な需要というか、
ユーザーの側にわかりやすい欲望が存在します。
それに対して、リフォームは「誰でもが希望しているわけではない」というような
難しさがあると思います。

新築は、それこそ、生まれてきたら誰でも一度は家を持ちたいと考える
というような欲求が「自然に」醸成されています。
だれもが、人生のひとつの目標にするというわかりやすさがあって、
少なくとも、そうした動機の部分では、建築事業者の側で工夫するという必要がない。
言ってみれば、自然な欲求に対して「仕掛けて」いけば
自ずと広範なマーケットが反応してくれる。
それはまず、基本となる「住む土地選び」から
収入に応じた資金計画のプランニング、
家づくりについての総合的コンサルティングなどなど、
一連の流れが存在しているので、それに踏まえていけばわかりやすい。
それに対して、リフォームでは、ユーザーの動機の掘り起こしから
いろいろ考えていかなければならない。
ユーザーの漠然とした心理に方向を与えていかなければならないのだ。
ここのところがもっとも難しいし、簡単明瞭になりにくい。
まだ、北海道では、家の寒さというような
基本性能の部分での広範な需要が存在しているのでわかりやすい。
しかし、それにしても、生活上の毎日の問題なので
「我慢しているうちに忘れてしまう」というような心理もあります。
まぁ、寒くて暖房費がかさむ、というような切実な問題についても
当面のランニングコストと、それを解消させるについての建築コストが
金額比較で言えば、桁が違いすぎて、人生設計の中で
どうしても後回し、それよりも将来不安の方が大きいので、
いきおい、資金を貯蓄したり、他のわかりやすい消費、
たとえば目先の快適性で車や、旅行といった消費に走るというケースが多い。

家の性能向上と言うことでは、
写真で見るような窓の取り替えという工事がけっこう大切な部分なのですが、
なかなか、工事も複雑になって工程もかかるので、
ここまで行う工事というのは、少ないのが現状ですね。
さて、そういう現状のなかにあるわけですが、
地球温暖化の問題や、エネルギー問題が
世界的にも焦眉の現代的課題になってきて、
寒い家、エネルギー多消費型での問題先送りが許されなくなってくる中で、
やはり、省エネルギーの側面からのリフォームの提起が
もっとも、わかりやすくユーザー心理には響くのではないかと思います。
いつまでも、粗大ゴミになるような家づくりをしていてはいけない。
環境をわが家から考え直していく、そういうリフォーム需要の喚起が
求められていくのではないかと、希望的に考えています。
そしてこのことは、北海道、寒冷地だけの問題でもない。
夏場の冷房負荷の増大で社会全体が問題拡大に苦しんでいる
首都圏地域をはじめとした全体に、需要が存在するでしょう。

まぁ、しかし、やはり目先的にはやはり難しいのでしょうか、ね。
こうした側面からわが家のことと、環境問題への対応をリンクさせる考え。
なかなか、悩ましい問題だなぁと思っている昨今です。
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