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三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

東北からの住宅見学

2008年02月22日 06時12分44秒 | 住宅性能・設備

この時期になると、毎年、東北から
北海道への住宅見学ツアーが来られます。
やはり冬真っ盛りの北海道での住宅性能を確かめたいという
そういう見学目的ですね。
北海道の住宅業界人は、いわゆる性能のことでは本州地域に行くことは少ない。
そうした目的の場合には、やはり北米・北欧に見に行く。
逆に言うと、世界の寒冷地技術を北海道がまず消化吸収して
実際に日本人の暮らしにフィットさせてみてから
それから本州で、活かせる部分を取り入れていく、という流れ。
大体がそういう位置関係にあるので、北海道は元気を出さなければならないですね。
寒いからといって縮こまるのではなく、
寒さを産業的に活かす努力が必要なのだと言われている気がします。

そんなお客様を迎えるようなことが多くなってきて、
他の日本からの目で北海道を見てみると、
そういう違いもやっぱり面白いものがあります。
きのうは山形県からのお客様をお迎えしたのですが、
何人かの方たちから、「和室、目にしませんね」というお言葉。
聞いてみると、山形ではまず、2間3間と和室が続く設計プランが
ユーザー側からの要望条件にふつう、入ってくる。
そういうポイントを基本にしながらプランを組み上げていくことになる。
それに対して、北海道では一般的には、
客間の機能を果たす畳の1部屋、という範囲での注文。
それすらなくなって、居間に隣接しての「ゴロッと横になる」スペースとしての和室コーナー。
というようなケースが一般的にも多い。
まったくない、というのもごくふつうにある。
まぁ合理精神の方が強くて、和室という生活様式的部分はあっさり乗り越えちゃう。
そういった意味では、日本の中で一番インターナショナルな暮らしよう。
とはいっても、合理性重視の現代生活ということで、
欧米的なスタイル、というものとも少し違う。
しかし、インターナショナルであることは間違いないので
たぶん、外国から来るとわかりやすいような部分は強く感じるのではないでしょうか?
そんな自己認識を確認させられることも多いと言えますね。

最近はとくに省エネという部分で、
暖房形式についての変化の行方を見定めたいという部分も強くなってきた。
写真は空気熱源のヒートポンプ利用のお宅。
暖房も給湯もこの外部本体でまかなっているのですね。
もちろん、そのためには建物の性能が絶対条件で、
この家は断熱厚みが200mmのグラスウール+ロックウールで、
熱損失係数(Q値)が0.87という高性能レベル。
窓もすべてが3重ガラス入りの木製サッシ。
そうした仕様で、外気温マイナスのなかで実にマイルドな暖かさという
そういった部分を体感していっていただくわけですね。

ということで、わが社のオープンスペースでのムービー上映、
写真のプレゼンなど、いろいろな仕掛けも準備。
慣れてはいるのですが、なにせ、14人という大勢のみなさん。
なかなか、満足にはお迎えできないのですが、
いろいろな体験をしていって欲しいものと思っております。

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新住協、省エネ表彰を受賞

2008年02月21日 06時13分46秒 | 住宅性能・設備

きのう、経済産業省がやっている「省エネルギー月間」という取り組みの
北海道における表彰式があり、
このブログでも取り上げることが多い、新住協が受賞しました。
経済産業省などのHPを見ると、2月は省エネ月間なのだそうで、
まぁ、冬真っ盛りの中で省エネを喚起しようという作戦と見受けられました。
住宅関係としては、新住協が受賞したわけですが、
これまでの20年にわたる取り組みは省エネ最先端の活動そのものだったわけで、
衆目のまさに一致した受賞だったと言えると思います。

こういうお役所の考えることというのは面白いもので、
日本の行政というものの、あるいは権力の喜ぶことというのが見えますね。
というのは、同時に受賞していたこどもたちの省エネポスターの表彰。
かわいい中学生の女の子が2名、受賞していましたが、
こういう表彰を持ってくるというあたり、
人当たりの柔らかさを狙っての作戦。
思わずこちらも引き込まれて、ニッコリさせられるので、
まぁ、わかりやすいお役人センスの勝ちとも言えますね(笑)。
セレモニー自体は、まさに「お上が指し下される」という形式を墨守しています。
権力機構の番人としての官僚の北海道におけるトップが
まさに日本の権力を代表して、庶民を顕彰するというかたち。
こちらも年を取ってきているので、
むやみに反権力的な姿勢を取る必要もないと思うのですが、
もうちょっと、フランクに「よくやったね、がんばった」みたいな
顕彰形式は考えられないのでしょうか。
権力の丸出し、みたいなのではなく、
無色透明性をもっと際だたせるというようにするのはいかがなのでしょう。
っていうような、ちょっと意地悪い感想を抱いてもしまったのですが、
しかし、受賞自体はまさに正鵠を得ているまっとうなものだと思います。
正直に、喜ぶべきことであるのは間違いないと思う次第。

とくに新住協が受賞したというのは、
北海道にとって、確かに意義深いものがあると思います。
積雪寒冷という条件の中で、多くの先人たちが築いてきた苦闘が
この受賞によって、認められたという側面があると思います。
受賞理由は簡潔そのものでしたが、
まさにその通りで、シンプルに北海道での暮らしを向上させ、
省エネにつながる住宅技術開発に地道に取り組んできたことそのものに
単純明快に顕彰が与えられた、ということですね。
環境の世紀の大きなうねりの中に今日の社会はあると思います。
毎日の暮らしの中でエコロジーを考え、省エネを実践し、
CO2削減に大きな関心を持つ、ということのためには
やっぱりその基本に、住宅そのものの性能向上のテーマがあるといえます。
住宅建築に関わるすべてのものに
大きな方向性を与えられた受賞だと、喜びたいと思います。
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暖房設備計画

2008年02月17日 07時52分30秒 | 住宅性能・設備

宮城県での住宅リフォーム取材時の写真。
このお宅、平屋で60坪近いという面積なので、
暖房の選択は難しい。
断熱工事はそこそこしっかりできても、暖房は全館暖房ではコストが問題。
2階建てだと、工夫もできるけれど、平屋では
たとえば蓄熱暖房を考えたら台数が増える。コストアップ。
ということから、このお宅では写真の温水ルームヒーターを選択。
このシステムでは、5台までこのヒーターを設置できるんですね。
しかし、部屋数7LDKで、設置が確認できたのは3台、
まぁ、コストを考えても、どうしても非暖房室ができる。
伺ったときには、家族が暖房のある部屋で集まって過ごされていました。
伺ってすぐには気付かなかったのですが、
下の男の子どもさんは、ぴったりこのヒーターにくっついている。
ヒーターは移動しますが、移動にともなってセットで動いている(笑)。
撮影の関係で部屋を動いていただいたときには
移動先の部屋でそこのヒーターにぴったりくっついている。
なんともわかりやすい「快適指向」ぶりでした(笑)。
で、どうしてもそこも撮影のため、移動せざるを得なくなったら、
今度は屋外で壁に向かってキャッチボールを始めていて、
ついに体を動かして温まることにしていました。
さすが男の子、やることがわかりやすいなと変に関心もいたしました。
確かに理にかなっていると思いますね。

ということなんですが、
平屋の古い家って、確かにリフォームばかりでなく、
全館暖房って言う意味からは、暖房設計が難しい。
たぶん、居間や食堂というLD空間を家の真ん中に計画して、
その他の居室を囲むように配置することで、
暖房熱源の広がりを工夫する、ということになるでしょうが、
既存の条件がそういう工夫を受け入れられない場合、
なかなかに難しいだろうな、と理解できますね。
この家の場合、住みながらの工事で、
半分を工事しながら、半分で住んでもらうということだったので、
間取り的にも難しかったようです。
このあたり、なかなか難しいプランニングですね。
とくに既存建物の制約のあるリフォームでは
どのように考えるべきか、
設計という観点から見たら、暖房設備計画というのは本当に難しい。

しかし、子どもさんのライフスタイル(笑)は、
まことに正直に「快適性」を表しているわけで、
そういう方向で、設計プランニングは
考えられていかなければならないのは自明だと思いますね。

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北海道建築指導課の住宅への取り組み

2008年02月16日 07時28分02秒 | 住宅性能・設備
おととい、2007年度最後の道庁の諮問会議が終了。
3年間続けてきた「中古住宅流通促進」についての取り組みでした。
何回か、このブログでも触れてきましたが、
この取り組みはたいへん実践的で、
中古住宅の流通と性能向上・再生型リフォームの推進を両にらみで図る
まさに画期的な取り組みだったと思います。
とくに実際の「社会実験」として、中古住宅を業者さんが購入して
付加価値を付けて再生住宅として実際に販売まで手がけるという現実を切り開きました。
性能向上を担保するために、「住宅検査人」という概念を作り出し、
実際にその業務をマニュアル化したりもしました。
最終回の審議会では、取り組みの総括・今後の課題、
4月以降の新年度の取り組みの方向性などが論議されました。

こうした地方自治体の取り組みって、
大体が3年間の時間を区切って予算化し、それ以降は
民間の動きにゆだねるような方向で終了するというケースが多いのです。
しかし、今回の取り組みでは、
ちょうど国交省の推進する200年住宅ビジョン事業への橋渡しが
うまくいきそうと言うことで、継続しての取り組みが可能になりそうだと言うことでした。
税金の使い道について、とかくの議論のあるところですが、
今回の取り組みについては、本当にその実行力に敬服しました。
北海道は、その前身としての北海道開拓使の時代から、
北方圏での居住環境を研究するという実践的な取り組みを行ってきました。
全国の行政機関の中でもまったく特異な動きだったと思います。
そういう流れの中で、知事さんが日本建築学会賞を受賞するようなことにもなったのですね。
長い年月の寒冷地での家づくりについての地道な活動は素晴らしい。
国交省などがいろいろな国としての住宅性能基準を作るときに
こういった北海道の活動が大きな経験値の下敷きになったことは疑いようがありません。

ちょうど、ストック型の住宅施策に国全体としてもシフトチェンジの時期ですが、
今回の3年間の取り組みは、まことに意義深かったと思います。
既存住宅をいかにして、次世代に渡る優良な建築資産に転化していくのか、
目的はまさに、時代の最先端を切り開くものだったと思います。
ぜひ2008年度においても、継続的に事業が育っていって貰いたいものと念願します。

なんですが、
しかし、こういう意義深いものだったせいか、
毎回の審議会拘束時間がたいへん長く、また論議の盛り上がりが熱気がありまして、
なんというか、わたしたち審議委員はすごく仕事させられた。
まぁ、たいへんに人使いの荒い取り組みだったと思います(笑)。
もちろん、いい仕事を協働できた、という思いが強く、
いい意味で言っているワケなんですが(笑)。
今後も、ぜひ新しいマーケットを生み出すんだ、という気概で
盛り上げていきたいと思っている次第です。

写真は、北海道の住宅への取り組みを象徴する「北総研」エントランスのプレート。

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日射の取り込みと遮蔽

2008年02月08日 05時42分54秒 | 住宅性能・設備

先週の新住協Q1.0住宅見学会から。
勇和建設さんの事例の写真です。
「日だまりの家」というコンセプトらしく、
ほぼ真南に面して、玄関や居間などの大開口が開かれている住宅です。
それも右側写真のように、居間は吹き抜けていて、
ダイナミックな空間が広がっています。
そうでありながら、室内の上下温度差は、測定している温度計を確認してみると、
なんと、1度にも満たないレベルになっています。
窓は樹脂サッシを使用していて、
開閉などもきわめて容易な仕様。
引き違いではないのですが、床までの大きな建具で、しかも
1階、2階とも連続して大きく開口しているのです。
家全体として、気密断熱がしっかりしているので、
空気の流動感も感じられなくて、
まさに自然な、春のひだまり、という雰囲気。

で、冬はこのように、費用のかからないエネルギー・太陽日射を
たっぷりと室内に取り込んで暖房エネルギーを削減させ、
こんどは夏になると、右側の写真のように2階のデッキテラスが
1階居間に対して、庇の効果をもたらしてくれて、
日射を遮ってくれます。
たいへん、単純な「パッシブソーラー」が建築装置的なもので実現できる。
もちろん、ディテールでは窓の性能の検討や、
冬のあいだの窓面からの冷輻射対策が肝要になってきます。
ここでは、1~2階のあいだの梁や、1階床面下に冷輻射予防の
暖房がさりげないデザインで装置されています。
また、大きな窓面からの夜の熱損失を抑えるために
高性能な断熱効果の高い「ハニカムサーモスクリーン」が装置されています。
さらに他の部位からの熱損失を全体としてバランス良くするように
断熱気密を図っていることは当然。
そうした建物としての性能の上に立って、
暖房でも、ヒートポンプの低温水タイプで十分なあたたかさが確保されています。
ディテールに色々な工夫が見られる住宅ですね。

なんか、ここんとこ、読者の方からのコメントが増えている感じ。
って、わたし、あんまりコメントを返したりしていませんでしたが、
心を入れ替えて、なるべくコメント返すようにしたいと思いますので、
ぜひ、いろいろなご意見、聞かせてください。お願いします。ではでは。
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光の春・輻射熱

2008年02月07日 05時45分26秒 | 住宅性能・設備

札幌はいま、雪まつりが開かれています。
こういうネーミングは単純なほどよくて、ここまで続いてきているのは
わかりやすく北国らしさが明快、という要素が大きいと思う。
わたしは、広告の仕事キャリアが長いのですが
その仕事領域の中でも、コピーやキャッチフレーズが本職に近いのではないかと、
自己規定しています。
そんな思いで考えていると、だんだん、単純さに惹かれていく。
なるべく作為なく、明快なフレーズが民主的で良い。
そういう意味で、さっぽろ雪まつり、いいネーミングで、これしかないですよね。

というのは、前振りなんですけれど(笑)
この時期くらいになってくると、暑さ寒さも彼岸まで、じゃありませんが、
「春の日射し」という言葉が、思い出されるようになってくる。
まぁ、雪まつりに来られたみなさんからは、
こんな冬真っ盛りに、なにを言うんだ、って感じられるかも知れませんが
北国人には、徐々に日射しの強さが増してくる感じが募って参ります。
熱的に言えば、「太陽輻射」ということでしょうね。
熱というのはなかなかに難しいもので、
いわゆる「断熱」という場合、ひたすら問題にするのは
「伝導熱」なんですね。
外気と、室内の温度差、という概念は「伝導」の概念。
それとは別に、輻射熱というものがあり、
伝導的にはマイナスの気温であっても、日射しが「あたたかく感じられる」ということ。
こっちの方の熱が、北国でも強く感じられるようになる時期なのです。
写真でみれば、一面の雪景色なので寒そうなんですが、
黒っぽいダウンジャケットの背中には
なんとも言えない心地よさが感じられている。
こういう感じが、北の春を予感させる、
いわゆる「光の春」という表現になっていくのですね。
ちょうど、雪まつりが季語のようになっていて、
このお祭りが節目になって、光の春が日増しに強まっていくのですね。

でも、この輻射熱というのが、なかなか難しい。
住宅技術の世界でも、銀紙のようなもので、
板状断熱材を被って、この「輻射」の概念を利用しようという製品もあります。
NASAがどうこう、というのが決まり文句。
確かに、宇宙空間的には太陽輻射のあるなしで、
極端なプラスとマイナスに別れるものなのでしょうが、
地上では空気があるわけで、やはり基本は伝導で考えなければならない。
輻射という概念は、その上で考慮すべき概念、ということになるそうです。

北国の冬も確かに真っ盛りで、
冬本番ではあるのですが、しかし、確実に春は準備されています。
こういう写真のような光景では、真っ白な雪が
太陽光を反射して、目もくらんできます。
全国・世界各国からこられたみなさん、さっぽろをお楽しみください。
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木製カーポート

2008年02月04日 06時19分19秒 | 住宅性能・設備

写真は土曜日に行ってきた勇和建設さんのQ1.0住宅見学現場。
そちらの本体の方は、また改めて触れたいと思いますが、
このカーポート、目が行きました。
まぁ、どうってことはないカーポートなんですが、
わが家では、最近灯油が高騰しているので、
これまでロードヒーティングしていた駐車スペース、
自分で一生懸命除雪することになっているのです。
駐車スペース+家の前の除雪車が置いていく堅い雪。
これを道路を挟んだ反対側の中学校グランドとの緩衝地帯に
堆雪させるべく雪かきをするのですが、
家の他にも、事務所の雪処理もしなければならず、
やはりこれからのことを考えると、やや辛いものがある。
「これ、どれくらいでできたの?」
「うーん、100万円くらいかな」
っていうような次第だったわけです。
路面はコンクリートを打っている。
基礎は簡易に束石を建てているだけ。ですが、
けっこう建てるだけって言っても大変だそうです。
大体が基礎屋さんが工事するのですが、
最近は束石を建てる、というような工事は少ないので、
職人さんも慣れていないので、ふつうに基礎を作る方がやさしいということ。
あとはカラマツ材で、建てていって屋根板金。さすがに屋根工事は
専門家に頼まないと難しいのですが、
以上の、基礎と屋根、それ以外は、まぁDIYでも全然可能。
車1台分と、雨の当たらないアプローチができて、
しかもたっぷりの収納量の物置が出来上がる。
すべて引き戸なので、圧倒的に使いやすい。
タイヤ交換なんて、まさにそのために作りました、ってくらいぴったり。
よく見ると、屋根の高低差があります。
カーポート部分と、収納の部分。
これは設計の畠中秀幸さんのアイデアだそうで、
こうすることで、収納手前部分にも光がさしこんで
大変使い勝手が向上したんだそうです。
ふむ、なるほど、と感心させられました。

北国の冬の暮らしには、
こういう屋外装置がやっぱり不可欠。
それに前述のように、ロードヒーティングを諦めたひとにとっても魅力的。
雪が融けたら、こういう需要が伸びるかも知れませんね。
うーん、なかなかいいなぁ。
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屋根の雪処理問題

2008年01月31日 07時24分33秒 | 住宅性能・設備

屋根の雪問題って、なかなか決定打が出ない。
写真はわが社の南側角の様子です。
ここだけ、長さ1mほどの氷柱が発生しています。
まぁ、これ以上は大きくならない感じです。

この氷柱、発生のメカニズムは
これまでのものとはまったく異なっています。
これまでのものは、断熱不足で、屋根面に温度上昇効果をもたらし、
融雪水が軒先から垂れ落ちる過程で気温が低い状態の中で氷結する。
というのが基本的な発生プロセス。
こういう原因に対する対策はもちろん、できているわけです。
じゃ、どうしてできたのか?

この事務所建物は、無落雪で屋根はほとんどフラット。
水勾配を200:1という緩やかさにしています。
で、この氷柱方向に屋根面の水は落ちてきます。
で、このような無落雪屋根で、最近の問題は「雪庇」問題。
確か、昨年か一昨年にもブログで触れたはずなのですが、
大雪と強い季節風が一体となって来る場合、
札幌の西部地域では、主に冬期間は北西側からの積雪が来ます。
そうすると、建物の南側角に向かって、雪の「庇」が成長するようになる。
一方で、断熱も良くなっているので、屋根雪の融雪はほぼない。
そういう条件では、これがどんどん成長して、大きくなり、
最大では、2mくらいも、建物からせり出してくる場合がある。
当然、雪の重みで耐えられなくなって落ちることがある。
主に、南東側というのは北海道では日射取得に有利な方位なので
人が出入りしたり、大きな開口を開けている。
そういう危険性があるのですね。
一昨年だったと思いますが、かなりの雪庇になったので、
そういう危険性を避けるにはどうしたらいいか、
考えた結果、これは「雪庇が成長する前に屋根融雪させて落とすしかない」と
結論づけ、やむなく電気式の融雪装置を南東側につけたのです。
昨年冬は、せっかくつけたのですが、大きな雪庇が発生せず、
その効果のほども確認できませんでした。
そんななか、ことしは結構な積雪があり、ようやく融雪のスイッチを入れた次第。
これはこれで、順調に雪庇部分を落としてくれまして、
「よし、やった」という具合だったのですね。
ところが、その屋根面で融雪した水が、落ちてくるときに
厳しい温度低下の中、この部分でだけ結氷した、というメカニズム。
というような想定がすぐについたので、即、用が済んだ融雪はストップしたのですが、
その残滓がこのように残ったというワケなんです。
屋根融雪の効果は高いようで、本来水勾配の反対側の屋根部位からも
わずかな氷柱が確認されました。

というようなプロセスなんです。
なかなか、雪の問題は奥が深いものがある。
地域的な微妙な変化でも、千変万化するものなんですね。
ということで、あれこれ、思案しているところであります、ふむふむ・・・。
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わが家の灯油消費量

2008年01月27日 08時05分04秒 | 住宅性能・設備

昨年1年間のわが家の灯油購入量と、金額を知らせてもらいました。
こういう調査をしようと考えると、普段家計簿などをつけていないこと、バレバレです(汗)。
きちんと家計簿というもの、整理した方が良いことは間違いありませんね。
わが家では、というか北海道では灯油の暖房の比率が大変高い。
いま、実態調査のようなことを考えているのですが、
基礎資料を見ているだけでも、圧倒的なシェア率。
幸い、灯油購入元が懇意にしている、というか親友の会社なので、
頼んで、データを出して貰ったものです。
これによるとわが家は昨年、灯油を3111リッター購入しています。
で、これには暖房・給湯・一部ロードヒーティング費用が入っています。
灯油のタンクで配送してもらって、それの度ごとの集計ですので、
月ごとというようにはなっていません。
建築したとき、いまから17年前、
暖房用と、給湯用を仕分けて数字を把握しようと考えたのでしたが、
灯油の流量計をつけ忘れられて、やむなく断念していました。
全体数字はこのように把握できましたが、
給湯分の仕分けはわかりにくい。
しかし、夏場の時期の灯油配送分を見ていくと
おおまかに月間で95リッターほどの消費量が推定できました。
お風呂や、台所でのお湯の使用量なので、
わが家は夏も冬もほとんどその部分では偏差はないし、
ボイラーは室内なので、外気温での変動も顧慮しなくていい。
そんなことからの推定値です。
そうすると、あと、残りはロードヒーティングなんですが、
昨年は何回か、使った記憶はあるのですが、
灯油価格が上がってきたこともあるので、使ったとしても1~2度。
なので、その分は無視すると、1960リッター。
多少、100リッター程度ロードヒーティングで使ったとすると、
1800~1900リッター程度ということになります。
わが家の延べ床面積は、288平米ほど。
Q1.0住宅の場合は、18度の室内設定温度の場合で、平米あたり、5リッター前後。
床面積が大きくなると、暖房すべき気積が単純倍以上に大きくなります。
それと、設定温度はわが家の場合、昨年では23~24度くらいになっていた。
そういった点を差し引いて考えることになりますが、
一応、わが家は平米当たり、6.25リッターということになりました。
ただし、わが家では蓄熱暖房器を1台設置しているので、
この光熱費を加えなければなりません。
たぶん、その分は18度基準に対して、プラスする5~6度の温度分程度と考えれば、
まぁ、まずまずとも言えるレベルなのかも知れません。

しかし、憂うべきは灯油単価の上昇曲線。
昨年末に93円で終わったわけですが、
ことしは100円を突破している。
いろいろに節約工夫しても、この価格上昇にはかないません。
さて、このテーマ、みなさん、大変興味があるのではないでしょうか?
いろいろ、調査や、意識面も含めてリサーチしていきたいと考えています。

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素地表しの空間

2008年01月21日 06時03分22秒 | 住宅性能・設備


内装を仕上げるときにいちばん一般的なのは、
断熱材の充填された壁を隠すように張る耐火プラスターボードの上から、
白っぽいビニールクロスで仕上げるというもの。
なぜ、白っぽいのかというと、外部からの光が
室内に均一に満ちて、明るい空間ができるということが大きい。
多少、クロスの柄くらいを工夫する、のがせいぜい。
でもまぁ、そういう空間って見慣れてくると単調でつまらなくなってくる。
そんなことと、木造で作る場合、外張り断熱を採用すると
ごらんの写真のような「合板仕上げ」の空間ができる。
合板はそのまま見せるようなきれいな仕上げ材ではないけれど、
このうえからわざわざコストをかけてボードを張って
クロス仕上げをする必要はない、と考えれば
このまんま、ハイ仕上げです。という作戦も出てくる。
それと、構造材も正直にそのまま露出させているので、
メンテナンス的にも、明快になっているので、不具合が出たときにも対応しやすい。

メリットを上げると色々出てくるのだけれど、
やっぱり、「え、これでお終いなの?」という感じ方も根強い。
いまの社会の中での反応で言えば、2割くらいが容認派で、
8割くらいが「オイ、ちゃんと仕上げろよ」という否定派、でしょうか。
かくいうわたしも事務所ではこういう素地表しの意匠を採用しています。
事務所では、このほかに「簡単に壁面に大量の本棚を安く造作できる」という
メリットが大きくて採用したわけですが、
機能的なシンプルさと、これでいいや、と思い切っている清々しさが感じられるようです。
合板には当然ですが、木の節がそのままでています。
無節の合板って言うのはありません。
なので、仕上げ材に節のあるものを使うのは変だ、という考えもありますね。
こういう考えって、たぶん、普請・建築というものが
お金持ち階級だけの特権的なことであった時代のなごりのような考えだと思います。
戦前までの社会では、一般庶民は賃貸住宅に住むのが、都市では当然。
なので、庶民向けの建て方とは別に、お旦那様向けの本格的建て方、
というものが存在し、そこでは仕上げ材に節のある材料などは許されなかったのでしょう。
また、壁は塗り壁で仕上げるのがふつうであり、
場合によってはしっくいなどの本格的な仕上げも行われていた。
そういう意味では、「平滑さ」というのが基準的な考え方だったかも知れないですね。
そういうことに価値観を見いだしていた。
そういう生活文化の状態から、一気に住宅金融公庫借入による
一般庶民の「持ち家」という生活文化に移行した。
そのために、高嶺の花的にそうした考え方が広がっていった、と言えるのではないでしょうか。
ただし、大量生産社会なので簡便で、表面的に同等の効果のある、ように見える
ビニールクロス仕上げというのが、標準の位置を獲得した。
たぶん、後世の人たちから見ると、20世紀後半から
日本の住宅が大きく変化したというように語ることになると思われます。

こういう状況の中で、建材も変化してきている。
合板などというものも、建材の大量生産化の過程で生み出されてきたもの。
そういう意味で、この写真のようなスタイルも
ごく最近の社会経済的な変化を敏感に反映させた空間性だと言えるのですね。
まぁ、こういう変化の中で生み出された中から、
今日的なインテリアスタイル、というものが定まっていくものなのだと感じます。
さてどのように変わっていくのでしょうか?
興味は尽きない部分ですね。

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