三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

暖房をおまけで考える国、建築的に考える国

2007年12月20日 09時36分07秒 | 住宅性能・設備

きのうはある暖房メーカーの方が来社。
いろいろとお話を伺って興味深かったです。
といっても、暖房メーカーさんは東京が本社の会社で、
これまでは主に、温暖地域で販売をされてきたということ。
今回、北海道での販売の可能性を探りたい、ということでした。

まぁ、その内容は別の機会にしたいのですが、
話をすればするほど感じるのが、タイトルに書いたようなこと。
北海道での「暖房」ということの意味合いがなかなか十分には伝わらない。
寒冷地では「暖房」というものは独立的には存在せず、
住宅建築事業者にとって、それこそ建築の工法をどう決定するのかと
ほとんど同等くらいの比重をかけて考えなければならないポイント。
自分自身も寒冷地での「居住者」であり、
その意味で、リアルそのもののテーマなんですね。
なので、建築を考えていくのに、常にこのことがらが決定要因にからんでくる。
間取りを考えるにも、デザインを考えるにも、
設備を考えて行くにせよ、つねに暖房や断熱のことが組み合わせのキーワードになっている。
よく温暖地の設計者から
「断熱などは、設備の問題だ」というような声が投げられることがある。
デザインとは無縁の事柄である、という認識なんですね。
そういう考え方からは、暖房は「おまけ」であって、
建築の基本要素ではない、という考えが導き出されます。

それで済ませているのなら、それでどうぞ、
と言わざるを得ませんが、地球温暖化の問題や、エネルギーの高騰、
というような「環境の世紀」の抱える問題は
そういった態度からは解決に立ち向かえません。
寒冷地が地道に考え、解決してきた道筋が、
エネルギーをコントロールする、という目的に対する実戦的な手法に繋がると思います。
そしてこの問題への対決こそが、
志の部分での「建築家」の時代への責務なのではないでしょうか?
限りあるエネルギーを有効に活用し、無駄にしない
建築的な工夫や努力を正しく評価できるような社会システムが求められていると思います。
いかが、お考えでしょうか?

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