いつ誰が言ったのか、この花のことをそう評するようになりました。
豊雪です。
“寒蘭の王者”と言う表現は各産地でそれぞれ使われ、いくつかの品種がそう呼ばれていますが、
この花には“絶対王者”なんて無粋な言葉は似合いません。
大陸の膨大な量の寒蘭の中にも、この花を超える花は存在しないと思います。
おそらく過去にも未来にも。
しかし、好みで言えば私の好みではありません。
あまりにも完璧過ぎて、私には和紙で作られた造花のよう思えるくらいだからです。
自分勝手ですよね、より良い花を求めていながら、完璧過ぎるとダメだなんて。
でも好みってそんなものです。世の男がみんなスーパーモデルやミスユニバース級の女性が
好きなわけではないですもんね。
そんな豊雪ですが、久しぶりに見とれてしまいました。
牧野の寒蘭展に出品されてた作品です。
なんてか弱い豊雪なんだろう。
出品者に確認してないので私の想像ですが、おそらく春蘭のキャップの要領で筒を被せて、モヤシ状態にして咲かせてると思います。
初日にはちょっと萎れてましたから、急激な湿度変化のせいでしょう。
品評会には向いてないかもしれませんが、個人的にはアリな楽しみ方だと思います。
ちなみに、通常高知で豊雪を白く咲かせるためには、山上げするなどして低夜温に遇わせるこてによって昼夜の温度格差をつける必要がありますが、
平地では昼にちょっと蒸込み気味にして昼温を上げ、夜間は逆に窓を開放することによって、昼夜の温度格差をつけることで、ある程度色出しすることが出来ます。
色彩的には女性的な花ですから、あまり力強く咲かせるよりは、しおらしく咲かせたいですよね。
女性がしおらしいと言う表現は、今はあまり適切では無いかもしれませんけど。