今日は、萬錦(よろずにしき)です。
錦と名付けられているし、一見縞状に見えますが、実態は大胆な柄の三光中斑です。
通常、三光中斑は普通の覆輪に見えたり、斑の部分の面積が小さく八千代芸のように見えたりすることが多いのですが、
この品種は斑の部分と地色の緑の部分の面積が同じくらいのため、縞状に見えます。
縞の色合いは萌黄から黄、陽強く作れば樺色を帯びます。
さらに付け変わりで独特の木姿をしており、さらにさらに艶消しの柚肌をしています。
万とまでは行きませんが、これ程の芸達者はあまり見かけません。
アマミではない実生作出品種だそうですが、親は思い付くものもなく、全くの突然変異で1本だけ産まれたものでしょう。
実生品種でも、こんな品種にもっと出て来て欲しいものです。
三光中斑は富貴蘭以外でも使われる表現で、白や黄色の覆輪の外側にさらに紺(緑)覆輪のある柄を指します。
葉縁の紺覆輪が明瞭な品種から不明瞭な品種まであり、明瞭だと二重覆輪、不明瞭だと単なる覆輪と呼ぶこともあります。
三光中斑と二重覆輪は、広義では同じ意味ですが、狭義では三光中斑は斑を構造的な面から見た呼び方で、二重覆輪は見た目を表現した呼び方と言えます。
長くなるので、八千代芸については来月あたりに新しい記事で解説しますね。