ありがたいことだ。からだが洗えた。とにかく眠くて このごろいつものことだが まともな入浴というようなものをするためには つまりそのつもり ごろ寝するしかなかったのだ。覚醒したらこんなじかんだ。湯を浴びて乾いたたおるで垢をくるむように拭く ぐらいのつもりで服を脱ぎ浴室に入るとあにはからんやからだが洗えたというわけだ。それにしても と思う。ごろ寝のあいだ見ていた夢はまたあざやかにあやしくことばが 湧いているのか誰が私に語り掛けるのか 私を恍惚とさせるのだがその恍惚はどういう意味でもありあざやかなのにいつ転じたのか私は木造の店の木造のテーブルでマユミさんに手紙を書いている。筆ペンで生麺 そばである の入ったビニール袋に書いている。 美しいマユミさんは書きあがるのを待っているのだったと気づく。
自分の達筆に驚く筆ペンの字はビニール上で既に崩れている。その袋に描かれた水墨画と文字でここが土岐田だと知る。土岐田というのはどこだろうと思いながらあれはすごかったなあ書き留めておいたほうがいいのではないかでもこれはごろ寝の夢の中だからと思っている夢だった。