いただかせないでいただきたい。

2012-11-06 07:16:40 | ・ことばの尻尾踏み。
職人が「私の作品を拝見できます」とはふつう言わない。ゲストの料理人は自作の料理を前にしたホストに「そのままいただけますよ」と言う。既にナレーションが画面いっぱいに恭しさを提供する「いただく」の連発。イケルの意味でイタダケルと言っているのでも、食物への敬虔な気持ちで言っているのでもない。ようだよ。なんて、まあいまさら言わんでもという、料理関係のこの手の語法はもう標準化しつつあっちゃうのが、  ねえ?

御利用になる。御利用される。ひごろ「お○○になる」という言い回しが西からの風「○○される」に凌駕された(過去形か?)のは、「される」がときに立場の逆転を生じるという意味を除いてもなんとなーくイタダケナイという個人的感覚がある。

が、ヘルパー2級講座のデイサービス実習で長身の三十男が利用者に対して「お召し上がりになってください」を連発するのは耳に障る。「お食べになってください」よりマシだとも思えない。「召し上がってください」か「お召し上がりください」ならいいなんて、国語学の基礎知識もないもんだから。過剰な敬語謙譲語は対象者を見下す。

いただくをつけときゃいい。いただくいただくいただくいただくいただくみくだす。
コメント (2)
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