かんかんごうごうとは言わないんだよね。

2006-08-22 08:28:28 | ・ことばの尻尾踏み。
随分前に普通はあまり手にしないタイプの小説、日本人はハジ(≒恥)と名乗る奴が多いという一節を含む、ハジを名乗る日本人が中東の市井ではないところで暗躍?する船戸与一の本を読んだとき、イ抜き言葉が最後まで気になって仕方がなかった。

銃はこちらに向けられてたのだ。青い空が広がってた。→ 引用ではなく、イ抜き言葉の例として。一人称の作品なので、語り口調としていいではないかということだろうが、情景描写情勢描写も「てた」「てる」と書かれると生理的にどこか落ちつかない。

(連想の蛇足だが、一人称の小説で私が気になるのは、日本語だからなのか外国語でもそれはよくあるのか、一人称と三人称がないまぜになっている感じの居心地悪さである。)

この作品は何か大きな賞をとっていたと思う。小説自体は劇画調というのか、分厚い割には私にも一気に読めたし随分売れもしただろう。

朝日新聞の別冊で山崎ナオコーラが言語というのは変わっていくもので目くじら立てることもなかろうよとイイ感じで書いていて、まあそうだろうとも思い、イの1字が抜けたぐらいで落ちつかないのは不幸なことだと思う。

イ抜き言葉の例とはまた違う変遷がある。耳当たりがいいとか耳ざわりがいいというような、マチガイの承継だ。以前なら、けんけんがくがくではなく、喧々囂々か侃々諤々のどちらかに直すということは編集作業の一部として当然に行われていた。

と思う。よくは知らないが。それが、雰囲気やニュアンスを残すためにそのまま生かすという、手法のひとつが捩れて、証拠として、あるいは無責任の言いわけとして何でもそのままがいいということになってきた。紙媒体も含めた報道ですらそれだから驚くべきであるというか、イラツクのである。

不幸なことである。山崎ナオコーラは別にイ抜き言葉のことを言っているのでもないし、間違いを正しいと言っているわけでもない。日本人にも金子光晴のようなひとがいると書いて、よく知りもしない金子光晴の巴里なる光を私に思わせてくれる彼女の文章のフンイキに少し浸りたいと思うのである。って、アレしか読んでないけど。





【09:39追記】 けさ、日本語にこうるさいカビラ氏がル・クルーゼが当たるビンゴ広報で、私が勝手にマチガッテると思っている些細な言い回しを当然のように繰り返しました。実証なしのイメージだけで思い込むのはいかんよなと、改めて、そしてまたやはりほんとのところを調べもせずに思ったのですが、すぐ忘れてこんなことを書いてしまうのです。
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のみのみVOICEへの感想。

2006-08-22 01:55:20 | ・おもに音楽。
さいしょは確たるイメージはわきませんでした。そのうちに、

カメラがパンするような 走るような 

気がつけばうえした左右と揺れながらも安定的に大地をなめていきます

それは平凡な草原とかあたらしい森とか白い帽子

俯瞰される大河 目を凝らすせせらぎのそよぎ

それはやはり夏ですね
もうここには残っていないかもしれないのに遺る



みどり


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欠落。

2006-08-22 00:08:54 | 自ら援くる者以外はその在るを神も認めず。
何かを受け取ったらありがとうと言える人たちなのだ。兄姉の娘たちにせよつれの甥にせよ、あまり親しくない仲で相談もどきというのは、信頼とか掴みたい藁、光への窓口というより、侮りも含んだ甘えなのだろう。緩んだ頭を叱咤して趣意をつかみ、自分なりにやうやう切り口なり視点を変えるべくものがたりに努めるわけだが、その努力なにするものかは、最初と同じことを力説され、いや私もその気持ちはわからぬでもない、というわけで、言葉をかえて繰り返す。そして、お気に召さず梨の礫となったりする。

或る無意識は何かを護ろうとする。人が時間を割くこととかひとがひとを思うとかいう事実をすこんと目隠ししてしまう。

これはナニカセダイテキなものなのか欠落の正味も知らず欠落の存在を言うことの無力を思っても凶器を思っても、新しい機会にはまた繰り返しそうなロウバナココロだ。

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いじめといじり。

2006-08-08 20:33:33 | 自ら援くる者以外はその在るを神も認めず。
おことわり:被害妄想と言葉いじりです。

当事者がいじめと自覚もしくは疑っていることがある。
当事者がそれは軽いいじりだと思っていることがある。
最近のいじめの話ではそこから展開されることが多い。

被害妄想の年寄りの経験だと少し違うことがある。
実際気づかなかったという話の割合はどうなのか。

だれかが自分の気にいらない者に忠告をし続ける。
だれもがそのだれかの気持ちをかなり理解できる。

なぜなら障害者手帳保持者には礼節を守る人であり
そのだれかの忠告はだれも文句が言えない正当さだ。

だれもそれをいじりだともいじめだとも思わない。
いじめられているのと同じ感覚は被害妄想とされて
いじめられているのと同じくひとりの味方もいない。

NHKの解説者は今の子供たちの中にはいじめをいじり
と呼んで自分の加害意識を隠蔽する子もいると言う。

いじりもしくはいじめで仲間外しをしていると言う。

仲間外しというのはいじめの認知後にできた言葉か。
能動的な言い方をしていじめの印象を刻もうとするか。
そもそもいじめの問題は受動と能動の双方向かと思う。

その証左には殆どならないとは思うが私の子供時代
教師の中には気に入らない生徒を悪罵する者がいて
私がそのことでその教師に噛みつかなかったことを
恥じずに済む程度に彼らはクラスに溶け込んでいた。

「いじめ」を「いじり」と言うのがもし不当とするなら
「いじめ」を「仲間外しをする」などと言うこともない。
「いじめ」の行為と「仲間外れにされる」気持ちを質せと。
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2006-08-02 10:55:43 | ■だらだら。
待遇は別にして人材を財産と考えぬわけでもなく、女の生きやすい企業にしようというふうがあったことも彼女がカリスマ視される因子ではあった。もしかしたらバブルというのは、あのとき人材を消耗品と考える競合他社と同舟していればNTT株がもっと買えたのにと、崩壊してから彼女をして思わせるキブンな時期でもあった。そんな気もする。ウチの会社は進んでいたわけではない。早く結婚退職して内助の功のために内職委託者になるのよ、子供を産んで離婚したらもっとばりばり働いてくれるわよね、みたいな。

内職生活に入る者は「工場」から抜けるということで、私を含め拍手で送られた。平均すれば年収は同年代地方公務員の年収の3分の2前後。社員でもないのに、空気に「昇給」を約束されていたとしか思えない。「減給」をほんわか予測していたマイナス思考者の退職は他業種移行込みの筈だったが、ほんわか根性のために思惑ラインもとの鞘。並行して、社員のままでいたかったのに、トップやチクリ屋たちに疑問を呈したり社員の厚生問題への対処を提言し続けたために雇用関係を破棄され、証文なき契約関係となった先輩たちもいる。

バブル最中のある日、契約額を下げられた。その後、バブル崩壊の騒ぎに乗じたと思える減額があった。あればあるだけ金にこだわらねばならぬのは経営者だが、金持ちもそうだろう。文句がある社員は新しい道を外に拓けばいいだけの話で、非雇用者であれば尚更だ。独立起業した者は低賃金によるダンピング受注で自分の収入と低所得者を増やした。

偏差値の高い大学卒業者も多く、そういう彼女らは実際有能に見えたが、無能な者と結果的に同じように凌いでいたのか。ほかに道を拓かなかったのか拓けなかったのか。ひとり暮らしだけでなく親を扶養している人も少なくない。どうやって家賃を払っていらっしゃるのかと思う。多忙期に受けられる限りの仕事を受け、娯楽を減らし生活を切り詰める。仕事がない時期だけ雇ってくれる都合のいいパートなどは、滅多にない。ないことはない。何も知らせはないから、どっちにしろどうにかしておられるのだとは思うが。

同じ種類の同じだけの仕事をして数倍もの給料をとってきた人たちもいる、などと殊さら言うのは不毛ながら、公務員の賃金を守ることは大事だと思うが、自分たちが救済できない低所得者を増やすことのお題目をアウトソーシングだ、民間にやらせたほうがジョーズだとすることについては気分の表現が難しい。自立できない賃金と心が要請される責任ある分担にどれだけ応えられるのか。


ウチの会社は、似たように生きてきた小企業と同じように、進んでいた。現在、格差社会ということが何かと言われる。言われている半分は、量、質ともに看過できないレベルについてであることは確かであるが、マスメディアの表現の中には、もともと格差社会があったのを知っていたのはそれほど少数だったのかと涙が出そうなものもある。みんなが這い上がるためのアイデアを求め、めでたく這い上がったときに、這い上がるために潰したものを復元しない。そういう少数の穴を利用する根性をトップ企業が丸出しにするようになる。にほんのこころか。
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