雷ブログ

落雷抑制システムが運営するブログ

スパイス、爆薬、医薬品 世界史を変えた17の化学物質  中央公論社

2012年11月29日 09時00分00秒 | 雷日記
こんにちは、落雷抑制システムズの松本です。

久々に非常に面白い本と出合いました。世界史を変えたのは政治や経済だけでなく化学物質の発見や応用が背景にある事を17の化学物質について解説しています。その17の物質とは、胡椒/ナツメグ/クローブ、アスコルビン酸、グルコース、セルロース、ニトロ化合物、シルクとナイロン、フェノール、イソプレン、染料、オレイン酸、アスピリン/サルフファ剤/ペニシリン、モルヒネ/ニコチン/カフェイン、ピル、塩、有機化合物などです。

例えばアスコルビン酸、これはビタミンCですが、15世紀の大航海時代の水兵の死者は、ビタミンCの摂取不足による壊血病によるものが多く、その総数は戦争による海戦、海賊行為、難破による死者数よりも多かったそうです。当時の保存食は、現在の栄養学からすれば全くダメなものばかり。大航海が成功するか否かは、航路、天候だけでなく壊血病による犠牲者が多いか少なかったかの運によるところが多かったようです。イギリス海軍の中でも柑橘類に壊血病を防ぐ効果があると分かっても、それが用いられるようになるには発見から40年を要したそうで、時代の流れの中で当事者はその瞬間瞬間で、最上の判断をしての結果であっても、後世から見れば最上の判断とは見えない。結果論で見れば簡単ですが、判断と言うのは難しいものです。

この本で勇気づけられるのが、世の中に最初に出てきたものは信じてもらえるまでに時間がかかると言う事です。例えば、細菌の存在が知られていない1860年代、細菌を殺菌する効果のある石炭酸の使用を思いついた医師リスターも細菌説を信じない医者が多い中、いくら効果を実証して見せても石炭酸による殺菌を普及させるのに10年以上かかったそうです。ある時代の権威など、底の浅いものです【しかし、力はあるのです】。

この本の著者は、化学のプロですが、本当のプロフェッショナルは、専門分野だけでなくその歴史についてまで詳しいという素晴らしい例です。分子構造のほんの少しの違いが人間に大きな影響を与えてきた事実を歴史と化学の両面から解説しとても内容の濃い本になっています。

〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町24番地8 SOHOステーション703
落雷対策専門の株式会社落雷抑制システムズ
電話 045-264-4110
公式サイト http://www.rakurai-yokusei.jp/
Eメール info@rakurai-yokusei.jp
人気ブログランキングへ

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする