
相変わらず本題以外のことに寄り道している当ブログですが、
今日は腰を据えて?海軍兵学校同期会で行われた、元海幕長の講演の内容をまとめてみました。
しかし、後から読み直してみたところ、実際に元海幕長が述べた内容の、ごく一部を
例によって当方の興味にまかせて膨らませてしまったりしているため、実際の講演では
おっしゃらなかったことがかなり含まれていることをご了承ください。
さて、演者の元会場幕僚長は、ここ水交会の専務理事でもあります。
講演に先立ち、
「もし海軍兵学校が継続していたら、私は100期ということになります」
と前置きして、講演を始めました。
本日のお題は、「中国の海洋進出」。
わたしはまったく同じ題で、3年ほど前に同氏の講演を聞いているわけですが、
あれから国際情勢は少し変化しています。
ベクトルはまったく変わっていないだけでなく、むしろ深化しているだけとはいえ、
講演の内容にも当然なんらかの変化が見られるはずです。
●中国の海洋進出の目的
簡単に言ってこの目的とは、海洋資源と海上交通の確保です。
資源については周知の通り、尖閣付近に海洋資源があることがわかった1970年から
急に領有を主張しているので、あまりにもわかりやすい意図で見え見えなのですが、
何しろあの国は「言ったもん勝ち」とでもいうのか、たとえば南京大とやらも
10万人単位で数だけ増やしてそれと比例して声も大きくなっているわりに、
新たな証拠や検証結果などはまったく出してこないのが、「お隣の国」韓国の、
「我が国がそう言っているんだから竹島はわが国のものだ」
「慰安婦がそう言っているんだから強制連行はあった」
という独自のロジックに基づく主張と極似していて、さすがは宗主国であると思わされます。
この辺りのお話でもっとも印象的だったのは、
「中国の国土面積は日本の25倍であるが、海岸線はわずか5分の1」
という事実で、あらためて驚きました。
さすがに島国日本、そのおかげでEEZ、国土の海岸面積から200海里以内を
経済水域とする基準でいうと、その広さはなんと世界第6位となるんですね。
目的としてはもちろん、「本土防衛のための防御縦深拡大」があります。
「縦深」という言葉には馴染みがないですが、軍隊で、最前線から後方に至るまでの縦の線の意です。
日本列島から出てくるように引かれた二本の線ですが、
左側を第一列島線、右を第二列島線と称しています。
称しているのは中国で、日本ではありませんので念のため(笑)
この勝手に引いた列島線を中国はつまり
「対米防衛線」
だとしているわけですね。
この第一列島線の内側には日本列島の一部、つまり尖閣諸島が含まれていたので、
当時日本国民は騒然となりました。(一部の人々のぞく)
例えばこの図でいうと、
第1列島線 AA(A2とも)アンタイ・アクセス アメリカを接近させない
第2列島線 AD エリア・ディナイアル アメリカを地域から追い払う
という戦略のために作り上げたラインです。
追い払うとか近づかせないとか、何を勝手なことを言っているんだ、
この線の内側には完璧に日本の領海もあるじゃないかと思った方、その通り(笑)
中国は目標の一つに「海洋強国」をあげていて、そのためには、24時間衛星やドローンで
中国の動きを逐一見張り、不法行為を行おうとした瞬間事前攻撃を仕掛けてくる、
「憲法9条」を持たないアメリカが大変邪魔なわけです。
そのため、強大な人民海軍を建設することを目標に、中国は倍々で軍事費を増加しており、
現在の日本の国防費5兆円に対し、17兆円、実質はその2倍になると言われているのです。
そして航空母艦を建造し、潜水艦を増やしているのですが、元海幕長に言わせると
「遼寧」というこの空母は艦載機も未習熟であり、むしろ警戒するべきは潜水艦だとのことです。
そして潜水艦の建造も着々と進んでいるのですが、問題は性能。
この点日本の潜水艦はバッテリー推進の性能、静謐性において現在世界一の性能だそうで。
保有隻数も従前16隻であったのを、22隻まで増やす予定だそうです。
ところでなんで日本の領土なのに、中国が列島線戦略でアメリカアメリカと言っているのかというと、
つまり中国が本当に恐れているのが、日本ではなくその後ろのアメリカだということなんですね。
これは元海幕長がおっしゃったのではなく、わたしが今そう思っただけなんですが、
もしアメリカが前述のように監視していなければ、中国はもっとやりたい放題するはずです。
日本のサヨクを抱き込んで、沖縄で米軍基地の反対運動をしょっちゅう起こしたり、
(日当が出ているらしいですね。どこからお金が出ているのかな?)
住民票の操作、選挙管理に不正をしてでも沖縄の知事に親中派の人物を押し上げたのみならず、
先日はわざわざ中国に「朝貢」というか忠誠を誓わせるために呼びつけていますね。
ついでに色々とあてがって、しっかり弱みも握ったんでしょうね、きっと・・。
こんなことからも、中国はまず日本からアメリカをなんとかして
「引きはがしたい」のが、手に取るようにわかりますね。
●ブルーウォーター・ネイビー
という言葉をご存知でしょうか。
反対語というか対義語は「グリーンウォーター・ネイビー」といいます。
ブルーの方は、日本語では「外洋海軍」といい、自国の沿岸に留まらず、
世界の各海域で広域的かつ長期的に艦隊を運用し、作戦を展開できる能力を有する海軍で、
これに対し、自国沿岸でのみ作戦展開する海軍が「グリーン」の方です。
現在、世界ブルーウォーター・ネイビーを保有するのはたった3カ国。
アメリカ合衆国、イギリス、そしてフランスです。
フランスが意外なのですが、フランス海軍というのは完成度が高く(歴史もあるし)、
イギリスの王立海軍に引けを取らないのだそうです。
もちろんいうまでもなく、我が大日本帝國海軍も、ブルーウォーター・ネイビーでした。
つまり、かつてのブルーウォーターネイビーは、世界三大海軍と言われた、
アメリカ、イギリス、日本3カ国の海軍であることになります。
現在の海上自衛隊は、憲法の関係でグリーンにカテゴライズされますが、
シーレーン防衛を戦略目標とし、策源地への攻撃能力を有しないものの、
広域的に艦隊を洋上展開し、艦隊並びに護衛する商船団を防衛するに十分な防御力を有していて、
「実質ブルーウォーター・ネイビー」というべきでしょう。
そして現在の中国が目標にしているのがブルーウォーター・ネイビーなのです。
「沿岸から1,500海里以上の遠方海域を制圧可能な能力」
を保有することをめどにしていて、ジブチの海賊対策にも積極的に出動していますが、
これは、国際貢献というより「実戦に習熟して海軍力をあげるため」であるという見方が専らです。
せっかくいいことをしているのにこんなことを言われてしまうのも、
日頃の行いがあまりよろしくないせいで、これは仕方のないことかもしれません。
そういえば佐世保の海自基地に向かって叫んでいた左翼団体のHPには
「海自の派遣は血に飢えた自衛隊の野望がどうしたこうした」
と書いてあったのを思い出しますね。
いったい海賊対策派遣のどこが「血に飢えた野望を満たすため」なのかと、
あの文章を読んで首をひねったものですが、中国海軍の下心を反映したものである、
と考えるとわかりやすいかもしれません。
韓国が試合に負けたり何か自分たちに都合の悪いことが起こると「日本が金をばらまいた」と
大騒ぎするのが、おそらく自分たちの行為の投影であるように。
ちなみにその韓国ですが、装備自体は外洋海軍になりつつあるものの、
その海軍の本質的な戦略目標や海軍の運用能力から、
(所詮)地域海軍の域を出ない。
とされています。
蛇足ですが、「ブラウンウォーター・ネイビー」というのもアメリカにはあり、
これはイメージ通り、河川や沿岸部を担当範囲とする部隊を指します。
海上自衛隊は三大海軍だった頃の「海軍力」を文化として引き継いでいますので、
実質そうではなくとも実力的にはブルーウォーターネイビーであるわけですが、
中国の場合はいかにもその辺りが未成熟で、元海幕長に言わせると大きな図体をした赤ん坊、
といったところだそうです。
2013年1月、海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」に対して、中国海軍のフリゲート艦「連雲港」が、
火器管制レーダー(射撃管制用レーダー)を照射した事件がありました。
それだけでなく、翌月の2月に、こんどはフリゲート艦「温州」が、海自の「おおなみ」の
艦載機であるSHー60哨戒ヘリに、同じ火器管制レーダーを照射しました。
射撃管制用のレーダー照射、というのは、まさに引き金を引けばズドン、の状態なわけです。
中国側からは「軍の暴走ではないか」という意見も出たそうですが、指揮系統からいっても
それはありえない話で、実際にも共産党の意を受けた中央軍事委員会の決定であると判明しました。
これははっきりいって、自衛隊が(というか日本が)なめられていたといってよく、
海上自衛隊は安易に火力で反撃してこないと"信頼"して実施されたと言われています。
元海幕長が実際にアメリカ海軍の軍人とその話をしていたところ、
「自分が当事者であればレーダーの照射があった時点で先に攻撃している」
と述べたそうです。
このほかにも、防空識別圏の設定や、航空機の異常接近など、とてもネイビーとして
「イケてない」、つまり図体ばかり大きくても洗練やましてや「三大海軍」などには
到底ありえない田舎海軍の振る舞いをしている間は、ブルーウォーター海軍への道は遠いと言えます。
●円満時代から敵対時代へ
昔は中国海軍と自衛隊の間はそう悪くはありませんでした。
韓国海軍と自衛隊の交流が今でも行われているように、防衛交流として
例えば士官候補生を乗せた人民海軍の練習艦が江田島を訪問し、そこで交流を行いました。
【特集】 中国海軍 広島訪問の5日間
晴海埠頭にも「深セン」が入港したこともありますし、2008年には「さざなみ」が
日本の護衛艦としては初めて中国の湛江に寄港し交流するという出来事もありました。
しかし、上に述べたような常識の欠如した振る舞いを海軍が共産党の意を受けて
自衛隊に挑発するように仕掛けてくるようになり、事態は悪化し、
現在ではそういった交流の一切が遮断されているのが現状です。
●ベトナムという国
確か、前の講演会でも元海幕長はベトナムに学ぶべきであると言いました。
1979年、大量虐殺を行っていたカンボジアのポルポト政権に対し、
軍事侵攻によってこれを壊滅させたのに怒った中国が、
カンボジア侵攻に対する懲罰行為
と称してベトナムに侵攻してきて起こったのが
中越戦争
です。
しかし、ベトナムはこのとき中国軍を返り討ちにしました。
その5年前のことになりますが、1974年にはベトナムは
西沙諸島の戦い
で、ベトナム戦争の末期で大変苦しい状態にありながら、
中国の軍事侵攻に対し一歩も引かず、戦っています。
結果としてベトナムはこの戦いにも、南沙での海戦にも負け、
どちらもを中国に奪われる結果となってしまったのですが、
強大な相手に立ち向かっていく、国土を守るために決して泣き寝入りしない
この国の誇り高い気概からは学ぶものが多い、と元海幕長は言いました。
わたしも全く同感です。
●集団的自衛権
つまり、一言で言うと、「事態は全く好転していない」ということで、
中国が進出の野望を捨てる可能性がなくならない限り、我々は
海上防衛力の強化とたゆまぬ警戒監視、そして日米同盟の強化により
軍事バランスを取って抑止力とするしかなすすべがないということでもあるのです。
そこで集団的自衛権なんですが(笑)
ところで、株式会社カタログハウスの「通販生活」という通販雑誌がありますね。
そこでしか買えない商品もあり、機能的で優れた品質のものを扱っているというイメージで、
なんだかんだと買っているうちにわたしはお得意様番号まで持つようになったのですが、
いつの頃からかこのカタログの読み物が気持ち悪くなってきました(笑)
チェルノブイリの子供たちに対する支援などを呼びかけているうちはよかったのですが、
特に民主党政権時代あたりから露骨に「オルグ雑誌」の様相を呈してきて、
最新号の対談はなんと、
「安倍総理が目指しているのはいつでもどこへでも自衛隊をおくり出すことです」
(これがタイトル)
柳沢脇二・落合恵子対談
ですからorz
柳沢という元官僚がどういう人物かは調べていただければわかると思いますが、
例のISIS人質事件の時に「安倍総理はやめるべき」といっていた人間、といえば
だいたいどんな傾向の人かわかっていただけますでしょうか。
フェミの代表で典型的な9条信者である人とこの人物を選んだ時点で、この読み物には
公平な視点というものが全くないということになってしまうのですが、
とりあえず我慢してざっと読んでみました。
まあ色々と尤もですが、(説明が足りないとか実際に行かされる自衛隊員のことを思えとか)
ないんですよ。一言も。「中国」という言葉が一度も出てこない。
日本以外の武力の脆弱な国、先ほどのベトナムもそうですし、チベットやウィグルや、
そういったところには侵攻や弾圧を加えている国が、我が国の領土に食指を伸ばしている。
なぜ日本に対してそれ以上のことが起こらないのか、というとそれは日米同盟なんですよ。
これは元海幕長も同じことを言っていましたが、決して憲法9条のおかげじゃないんです。
日本の後ろにやったら勝てない敵がいる、だから今まで手が出せなかっただけなのに、
この人たちはごく一部の情報をもとに
「集団的自衛権の行使は日本が前のめりになっているだけで米国の要救ではないんです」(柳沢)
「日本も血を流すべきという人がいますが、その意味を真剣に考えたことがあるのでしょうか」(落合)
などととんちんかんなことを言っているわけです。
おまけに要求を『要救』とか間違えているし(笑)
で、落合さんはアメリカ軍人が日本のために血を流すのは構わないって意見でおk?
本来の集団的自衛権というものは、同盟国などの関係にある国が相互に
侵害を排除するという双務的(どちらもが義務を負う)もののはずですが、
今の日米同盟はこれでいうと片務的なものです。
何かあった時に日本のために血を流しているアメリカ軍を幇助することすらできないわけです。
左翼の人たちは一足飛びに血を流す流さないの話をしたがるわけですが、
国家間の話し合いに戦争の手段を日本が取ることは「ありえない」のですから、
これはどう考えても「最悪の場合、どこかが攻めてきたら」の仮定でしょう。
その仮定において、自分が血を流すことを想像できても、アメリカ人が血を流すことは
全く想像できないと。そういうことですかね?
そして柳沢君、「米国の要救」でなかったら、なぜそれは必要がないことだと言い切れるのかね。
まず主権国家として当然負うべき義務であるなら、米国から言い出されなくても
当然それを果たすために日本が動いて当然だ、とわたしは思うのであるが。
そして、お二方の対談にすっぽりと抜けている「中国」という国にとって
この権利が抑止力として機能し、結果、平和が均衡として保たれると考えたことは?
・・・・ないだろうなあ(笑)
●いずも
さて、だいたい上のようなことを講演した元海幕長は、
後半からの懇親会にも出席し、その冒頭でちょっとした補足を行いました。
「先日ヘリ搭載艦『いずも」』が就役しました。
軽空母くらいの大きさで、物理的には戦闘機も載せることができます。
しかし、これは絶対に空母ではありませんし、空母にはなりません」
笑いを含んで言葉を収めた元海幕長の表情に、
「どこかの国が攻めてくるようなことがない限り」
という言わなかった言葉を聞き取った元海軍軍人たちの間から、かすかに笑いが漏れました。
続く。
米海軍は、Littoral Combat Ship(LCS: 沿岸域戦闘艦)という不思議な船を作っています。ヘリコプターを搭載し、3,000tの大きな船体ですが、ミサイルを持たず、57mmという、第一次世界大戦当時の水雷艇の主砲程度しか持たない軽武装です。Brown Water Navyの任務の一つにゲリラ(非正規軍)の操る小型船への対応が挙げられていますが、LCSはその程度の脅威にしか対応出来ません。
ソ連海軍との冷戦に勝った米海軍が、更なる建艦を正当化するために、以前のBlue Water Navy(外洋海軍)とBrown Water Navy(沿岸海軍)以外に、元来、相手にしていなかったゲリラ(非正規軍)を脅威と位置付け、以前のBrown Water Navyを格上げしてGreen Water Navyという概念を作り、新たな脅威であるゲリラ(非正規軍)をBrown Water Navyとしたのかなと思いました。
日本では、このあたりの仕切りは厳しくGreen Waterは海上自衛隊の守備範囲で、Brown Waterは海上保安庁の守備範囲です。米海軍のLCSに近いコンセプトの船としてミサイル艇(PG)がありますが、海上保安庁との棲み分けに苦労し、少数建造で終わってしまいました。ちなみに、ミサイル艇はたった250tですが、LCSにはない対艦ミサイルを持ち、主砲は3,000tの米海軍LCSを凌ぐ76mmです。
アメリカは自国周辺に脅威がないので、日本では海上保安庁(沿岸警備隊)の守備範囲であるLCSのような船まで作らないと仕事がなくなってしまうのかもしれませんね。日本では、脅威がすぐ近くなので、Green Waterは海上自衛隊の守備範囲で、Brown Waterは海上保安庁の守備範囲と誰の目にも明らかで、船もおのずと違ったものになります。
旧海軍にノスタルジアを感じる私ですが、悪い面、良い面はありますが総括して大好きです。
過去は戻りませんが評価をして参考になる事は後継の組織たる海上自衛隊に反映される必要があります。当然その後の時代、技術進歩、世界との関係、国民の総意等を加味して進歩する必要があります。
憲法、法律、組織等で不具合と言うか、根本の問題を多く抱えて現在進行形の組織であると思考します。
旧海軍は長年培ってきた考え、訓練が大東亜戦争の進行、進歩に大きく追従出来なかったのではと思います。一部では目覚ましい活躍、死闘を実施しましたが。
軍縮条約の時代の加藤友三郎のように、国の立場、予算等を十分に勘案して強力な指導で海軍のあり方、国の行く末を考慮できる人物は過去の歴史を見ても稀です。
民主主義の時代(独裁国、一見民主主義のような国もありますが)のわが国はどのように生きていくか十分国人が考えなければいけません。(安倍総理に頑張ってほしい)
海に囲まれた海洋国家、国民の理解は十分ではありません。今の南シナ海、東シナ海、ホルムズ海峡(マークスラインの商船のイラン拿捕で米艦のパトロールが始まっている)等他人事のように思っている国民、マスコミですが直結している問題です。
海運は日本の血管です。
そのうえで海上自衛隊のあるべき姿を国民、国会、政府が十分検討して決めるべきです。
アメリカ国会では安全保障の深い部分は秘密会で検討し、決定されると聞いていますが日本では公にする必要のない事でも国会議員のよってはどこの国の人はと思われる事をする議員もいるようです。
本当に残念です。
門外漢ですが現海上自衛隊は素晴らしい組織とは思いますが、予算、法律、憲法等の制約で苦慮されている部分も多くあると思います。海外での活動に伴うROEは?燃料は十分あるや?弾、ミサイルの補充は?メンテナンスの費用、施設、技術は十分?雷蔵さんが近代化は実施してると言われましたが、ほんの武器の一部では?
艦齢延長で30年以上使用となりますと電線、配管のみでなく船体の老朽、電子機器類の進歩等多く加味する部分があると思います。
船屋なので過去に見た事がありますが、外板、骨が紙のようになっていた部分もありました。甲板貫通の電線等も傷みが多くでます。防衛予算を見ると同じ艦を何回かに分けて予算処理をして艦齢延長となっているようです。
古くなれば思わぬ部分が故障となる事もありますが遠く海外では部品を贈って交換でなおればよいfですが高度な難易度の機器は業者修理となると思います。
時々伺い得る時がありますが、業者が海外出張で直した事もあるやに聞いてます。
有事はどうするのか、有事でなくてもグレーに時代は、非友好国の近傍では?
ブルーウォターで行くにはまだまだ私が知らない多くの問題があるやにおもいます。
本プログが多くの啓発に役立っていると思います。
エリス中尉が思われていなくても。
感謝とお礼を込めて、益々の活躍を。
そこで質問ですが、尖閣での外国船侵入に対しては本来どちらの責務にカテゴライズされるのでしょうか。
物理的な守備範囲ではくくれない現行の憲法のため、
海保が出ていますが、これは本来「範囲外」なのではないかという気がするのですが。
こんな角度から見ても、我が国の防衛体制にはいろいろと整合性の取れないことが多すぎる気がします。
ROE(Rules of engagement: 交戦規定)は整備されてはいますが、状況に応じてどれを適用するのか、判断するのは政治の次元です。政治がしっかり判断しないと、軍隊(自衛隊)は動けません。
国境警備(Border Protection)は、国際線の飛行機を降りた時に、陸軍ではなく入国管理官が待っているように、軍の任務ではなく警察権の範疇で、尖閣諸島の警備は海上自衛隊(海軍)ではなく、海上保安庁(沿岸警備隊)の仕事になります。
尖閣諸島を国有化した頃、領海侵犯をしていたのは、中国海監(海洋監視)でした。日本で言うと、漁業監視(農林水産省)に当たります。これに対して、我が国は海上保安庁が対応したため、中国も海警(海洋警察=沿岸警備隊)を編成しました。
したたかな中国が、よく突っ込まないなと思いますが、海警は非武装で、海上保安庁は武装しています。これで先に日本が手を出したら、世界中に日本の非を宣伝するでしょうから、日本側は慎重です。国際紛争には均衡の法則という考え方があり、丸腰の相手に武装して対応したら、overkillです。
陸軍、空軍もそれだけ取って比較すれば差異はあるのでしょうが、海軍はまず地勢によって
大きく特徴が変わってくる組織ですね。
その意味で言えば、四方を海で囲まれた日本とイギリスの海軍が、広大な海岸線を擁するアメリカとともに
「三大海軍」であったのも当然かと思われます。
元海幕長はこのとき「軍艦はその国の文化である」
ということをおっしゃったのですが、
「海軍はその国の文化である」という広い捉え方をしたほうが正鵠を射ている気がします。
ところが頂いたコメントの後半でご指摘がされているように、現実、日本の現在の「海軍」たる
海上自衛隊は、戦後に一旦国体と防衛体制を破壊されたところからはじまっているという宿命ゆえ、
予算、法律、憲法の自爆で、本来の海軍なら当たり前のことができなくなっているわけです。
当ブログは国防に関しては専門家としての知識を全く持たない視点から語っており、したがって
こういった問題になると、どうしても根源的な戦後レジームの弊害に行き着いてしまいます。
啓発などと言っていただくとお恥ずかしい限りですが、たとえ小さな声でも
大きな奔流への一滴となっていつか流れを変える一助になればという思いだけはあります。
しかしお節介船屋さんはじめ、各種専門家の方々に欄外で専門的な補填をしていただいて、
初めてこのブログは内容真意ともに世間に対して発信できていると思っております。
こちらこそ御礼を申し上げるしだいです。
船の事で多少の応援が出来ればと思いますが、感謝、御礼の方が大です。
多方面の分野、毎日の更新、本当にありがとうございます。
真っ当な意見もプログで出せば、必ず曲解する輩がおります。脅しや炎上させる等嫌がらせもあります。
大変とは思いますが、数多くのエリス中尉の発信を待っている読者のため今後とも宜しくお願いします。
真っ当な大きな川の流れです。
感謝を込めて。
いわゆるBlue Water Navyのご先祖はベネチア等のイタリア都市国家の商船隊の護衛艦であると考えられており、イギリス海軍も自国の商船隊を護衛し、スペイン等、競争相手の国の商船隊を襲い、貨物を奪うことを国王が認めた私掠船がその起源と考えられています。
当時の火力は貧弱だったので、戦闘に際しては、敵船に接舷し、兵士を乗船させて「カリブの海賊」のように剣で斬り合っていました。これが海兵隊のご先祖です。(だから、今でも日本家屋に土足で上がる?)イギリスやアメリカ海軍は、その血を引いており、我が国では江戸時代末期の黒船騒動の反動として防衛機制から出来たもので、出自が異なります。
江戸時代は鎖国政策で、商船隊が海外に進出するということもなかったので、戦前の海軍には、商船隊の護衛という任務はなく、徴用した商船に護衛もつけず独航させ、多くの戦没者を出していますが、これに対する反省が海上自衛隊の原点で、実際に血を流して、機雷掃海をし、航路啓開に当たったのには、その反省があるんじゃないかと思います。
海岸線の長さで言うと、ロシアがぶっちぎりですが、ロシアの貿易はほとんど陸上輸送に頼っており、海軍を編成して、商船隊を護衛する必要はあまりなかったので、イギリスやアメリカのように海軍国にはならなかったんじゃないかと思います。
戦前の海軍は世界三大海軍に数えられる規模であったとは思いますが、本来の任務を考えると、戦後、自衛隊になって初めて、海軍とはいかにあるべきかを学んでいるんじゃないかと思います。