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とある模型会社の戦後〜第56回全日本模型ビッグショー@東京ビックサイト

2016-09-27 | 博物館・資料館・テーマパーク

さて、ビックサイトで行われた模型の展示会。
ハセガワさんの展示のご紹介の続きから参りましょう。

昨日真珠湾攻撃仕様の97式艦攻ってレッドテイルだったのー?
と書いたところ、裏米で、

「何を朝から寝ぼけておるかこのうつけ者!」(意訳)

と叱責されてしまいました。
いや、朝ではなくこれを作成したのは夜でして、というのはともかく、
あれは指揮官、つまり淵田少佐搭乗機だけの塗装だったそうで、
そう言われてみれば指揮官機のマークを巻いておりますね。




ふむ・・・・これは、米軍で言うところのCAG機、つまり
「Commander Air Group」仕様だったといっていいのかしら。
 淵田少佐は単なる隊長だからこれとは違う?



こちらお馴染み「大和」「信濃」のコーナー。




F-15の周りには、「科学シリーズ」というんでしょうか、
「F-2の科学」「ドッグファイトの科学」「ミサイルの科学」
などの本があります。

これは「サイエンスアイ新書」(Si新書)のシリーズで、
ハセガワの模型とコラボ販売しているのだとか。



ブルーインパルスの科学なんて、ファンならずとも読んでみたくなりますね。



こちら「雷電」。
基地防衛用の局地戦闘機には「◯電」という命名基準があった、
というのをコメント欄で知ったばかりです。




これは大きかったですよ。ソッピース・キャメル。
なぜフランスのマーク?と思ったのですが、これは
イギリス国旗の三色を使っているというだけでした。



ハセガワさん(仮名)によると、この模型は

「昨年夏亡くなった前社長の肝いりで作られたものなんですよ」

この前社長とは長谷川勝重氏のことでありましょう。
ハセガワさん(仮名)に頂いたハセガワのムック本にはまだお元気に
ハセガワの歴史について語っている姿が掲載されていますが・・。


何でも長谷川氏の父上は菓子店を経営していたそうで、1940年に
静岡の大火で店を失い、それがきっかけで模型店を始めたのだとか。

静岡というのは昔から木工産業が盛んで、家具屋や建具屋が多いのですが、
障子の桟に使われる檜の棒をライトプレーンに転用しました。

当時は軍国の小国民、特に男子に早いうちから飛行機に対して
興味を持たせるためにも、ライトプレーンは欠かせない教材として
小学校の正規教科にも組み込まれていたのだそうです。

戦後は案の定、GHQからの規制がかかり、模型飛行機はもちろん、
船の模型を作ることも禁じられてしまったので、その間長谷川商店では
木製のジープを作ってしのいだそうです。
ちなみにこれは玩具に飢えていた当時の子供に大変人気だったということです。



その後、木の模型がプラスチックに移行する時代がやってきました。
当初、

「プラスチックの模型なんて模型じゃない」


というくらいの抵抗から始まったプラモ製作だったといいますが、
最初のプラスティック製品としてまずグライダーを手がけました。

当時は「零戦ブーム」で、東京のメーカーは零戦や隼を作っていました。
なのになぜこれがグライダーだったのかというと、ブームに追随するのに
抵抗があったからだということですが、これは長谷川氏によると
こだわりすぎて機を見なかったということで、戦略的には失敗に終わりました。


しかしその後ハセガワは、ジェット機モデル、F-104-Jスターファイターを
他社に先駆けて制作し、これが爆発的な売れ行きを記録します。
これはジェット機モデルそのものの嚆矢となって、これが結果的に
「飛行機のハセガワ」の評価につながっていくのです。

で、ここまでの話を知ってから、ハセガワさん(仮名)の
「社長の肝いりでできたソッピースキャメル」という言葉をもう一度思い返すと、
その思い入れの理由とは、グライダーから出発した小さな模型会社の頃の
原点に立ち返って、ということではなかったのかという気がします。


もちろんわたしごときに世界のブランドの創業者である人物の

思い入れなどが慮れるものではないとじゅうじゅう承知しておりますが、
これはあくまでも、なんとなく、ということで読み流してください。



タイタニック号もありました。
以前このブログで、我が家にタイタニックの艤装設計図があることを
お話ししたことがありますが、船の設計図並びにこうやって展示するとき
かならず船首が右に向きますね。

ところで、今話題の村田蓮舫が、右にお頭を向けて置いた写真をよせばいいのに
わざわざツィッターであげて皆に指摘され、恥をかいたことがありましたが、
焼き魚は左が頭が常識なんですよね。

じゃあ船が船首が右であるように、海外で魚を出すときには頭は右・・・?
・・おっと、欧米では魚料理のとき頭は絶対残さないんだった。
彼ら、特に魚の目が怖いんですってね。




漫画とコラボした製品の販売というのも行われ(前回はキャプテンハーロック)
今回は新谷かおる先生の「エリア88」でした。

 

F8- Eクルセイダー、「風間真」モデル。



同じシリーズでFー14Aトムキャット「ミッキー・サイモン」モデル。
垂直尾翼の先端に A-88と書かれています。



スーパーディティールシリーズの「龍田」と「天龍」(たぶん)。
スーパーディティールとは、ここにもある、エッチングパーツを付け、
より本物に近づいたモデルのことをいいます。

ちなみにエッチングパーツですが、金属板に光硬化樹脂を塗布し、
露光させてマスキングすることにより、不要な部分を薬液
(塩化第二鉄水溶液)によって溶かし、必要な形状の部分を残しています。

すごいですよね。
こんなもの一体どうやって作っているのかと思っていました。



基本中の基本、「三笠」の新金型版。
「フルハルシリーズ」となっていますが、FULL HULL(外殻)、
すなわち「ウォーターライン」に対して船体全部のモデルのことです。



今ブログトップにしている写真を加工するために一週間お試しで使っていた
Photoshopの機能を使って、上の画像の解説部分を加工してみました。
斜めから撮った写真がほらこのとおり。

いやー、人間ってすごいものを考え出すよね。 って全く関係ないし。




同じ「三笠」の、こちらがウォーターライン。
どちらも「日本海海戦時」となっておりますが、なぜか
二隻のシェイプがまっっっっったく違って見える不思議。



こちらはアパッチのイギリス陸軍仕様。
うーむ、そんなものをわざわざ作りたがる人がいるのか・・・。



「想像上の武器」をプロモデラーが手がけた作品です。
作者の横山宏(よこやまこう)氏はモデラーでありイラストレーター。

現場の説明をちゃんと写真に撮らなかったので想像ですが、
このシリーズは横山氏が手がけたモデルに後から細かい設定やストーリーを
付加するという雑誌の企画、「マシーネンクリーガーZbV3000」でしょう。
 
なんでも国内外の熱心なファンの活動によって長年支えられているとのことです。




さて、見学を終え、ハセガワさん(仮名)にお礼を言って
他の会社を見て回ることにしました。
あまりにたくさんありすぎるので、目を引いたものだけです。

青島のコーナーで陸自シリーズを見つけてつい食いつくわたし(笑)

「本製品は陸上自衛隊のご協力により開発されています」

とわざわざ断ってあるのが良いではないですかー。
そういえば「模型の聖地」静岡で行われる模型ショーには、
陸自の装備が民間の催しとしては初めて展示されました。

2005年にはブルーインパルスの展示飛行が行われましたし、
2014年にはなんと10式戦車も来たそうですよ。

先ほどの戦時下の飛行機模型の話ではありませんが、
自衛隊が模型業界にここまで協力的な理由は、
模型に夢中になる男子(女子でも)を潜在的な入隊予定者として
がっつりハートを掴みたいという下心?からってことかも。(ゲス顔)




ピットロードのコーナー。
87式自走高射機関砲と155mm榴弾砲の後ろには、
帝国陸軍時代の榴弾砲(G44 28糎)が。



ちょっと笑ってしまったのがこのコーナー。

ゲゲゲの鬼太郎シリーズと一緒に並んでいる
空気を入れて膨らませるシャーマンやティーガーの砲弾。
って、誰がこんなもの買うんだ、と思ったのですが、これはどうも
例の「ガールズ・パンツァー」のシリーズみたいですね。

でも後ろにどう見ても戦車関係ない海軍の91式徹甲弾があるでー。




れより問題は「やまと」と書かれた浮き輪ですよ。
これ、浮き輪として実用に耐えるものなんでしょうか。

これを持って海水浴に行き、
救助ごっこをする不届き者はいないと信じたい。


続く。



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2 Comments

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九一式徹甲弾 (佳太郎)
2016-09-28 10:36:12
艦これの影響ですかね?となりに偵察用の気球も置いてありますし。(期間限定イラストで持っている艦娘が描かれました。)
九一式徹甲弾が装備アイテムでありますし艦娘大和に多少関係が…

やはりガルパン、艦これの影響は模型業界にかなりの経済効果をもたらしたようですね。ガルパン劇場版公開後マイナー戦車のBT-42のプラモデルが飛ぶように売れたという事ですから。
そして流行にも気を付けてるんでしょうね。バックベアードの風船があります。これネットでセリフが加工されてバックベアードが「このロリコンどもめ!」と言っている画像がよく出回っています。(ちょっと古いかも)
こういった柔軟さも素晴らしい。
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佳太郎さん (エリス中尉)
2016-10-01 23:03:22
そうそう、これ偵察用気球なんですよね。
陸自の滑空砲弾の右側は、阻塞気球(あれ、一発で変換できた)で、
低空を飛行する飛行機の邪魔になるようにワイヤに繋いで飛ばしたものですが、
これって沖縄でオスプレイを落とそうとして基地の外の人が
風船あげてたのとコンセプトが一緒なんですよね。
ちなみに左からヤークトティーガー、ティーガー、シャーマン、一つ飛んで
シャーマン、89式。

あの目玉、何かと思ったらバックベアードっていうんですね。
「このロリコンどもめ!」の画像も、その変化形やパロディ?も含めて見ました。
実に無駄な知識がまた一つ増えてしまいました。
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