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JFKとアメリカズカップとジョーイP〜駆逐艦「ジョセフ・P・ケネディ・Jr.」

2017-02-02 | 軍艦

バトルシップコーブの展示、駆逐艦「ジョセフ・P・ケネディJr.」の見学、続きです。
ところで、前回から今回までの間に、この駆逐艦の愛称が

「Joey P」

であることが分かったので、本稿から彼女をジョーイPと呼ぶことにします。 

「ジョーイP」の艦橋から隣の潜水艦「ライオンフィッシュ」、ミサイルコルベット艦
「ヒデンゼー」、そして戦艦「マサチューセッツ」を望む。

こんなに離れているように見えますが、「ライオンフィッシュ」と「ジョーイP」は
ラッタルで繋がっていて、甲板を伝って行くことになっています。

いずれにしても軍艦の展示がこんな風に(複数同時にすべて公開)
行われているのは、アメリカはもちろん世界でも多分ここだけだろうと思います。


艦橋上のデッキにも航空認識番号の「850」と書かれています。

デリックにはボートが一艘吊ってありました。

 

ボート反対側から。
こちら側のデッキはこのため通り抜けることができません。 

溺者救助用担架・・・・かと思いましたが、これではまず
海に浮くわけがないので、ハイラインでの搬送用だと思いました。

赤の半円型がモダンアートみたいですね。 

前方から艦橋の方向を撮ってみました。
皆が手すりにもたれて岩壁を見ていますが、これはちょうど
岸壁にあるスクリーンとしょぼい噴水装置を使った

「パールハーバー体験」

のショーが始まったところだったからです。

そんなことはどうでもよろしい。
艦橋の前にあるブルーと赤のミサイルは何?

魚雷であることは確かですが、型番がわかりません。
ジョーイPが搭載していた武装は

5 in (127 mm)/38 caliber twin gun mounts
Mark 37 Gun Fire Control System
Mk25 fire control radar
Mark 1A Fire Control Computer
Mk6 8,500 rpm gyro
2 × triple tubes for 12.75 in (324 mm) Mk 32 torpedoes
Antisubmarine rocket launcher (ASROC)
4 × double celled boxes housing 8 missiles
nuclear depth charge capability

これを見る限りどれでもないような・・。
そもそもこういう場所にこういう角度で魚雷を置くかなあ、
と幾つかの駆逐艦を見てきたわたしは思うわけですが、
どなたか正解をご存知の方はおられませんか。 

発射機のシステムがスケルトンで見えるようになっているのは、
展示のための仕様ではないかと思われます。 

甲板の魚雷は三連装の魚雷発射管用のものと思われます。

 

煙突とアスロックの横には登って行く階段がありましたが、
ここは立ち入り禁止になっていました。 

ジョーイPの船名符字(コールサイン)は上から「N」「B」「C」「R」。
教えていただいたところによると日本は「J」がつくそうですが、
それでは「N」は・・・?

 

上部には銃火統制システムのアンテナ(長方形)が見えます。

後部構造物全景。
 

 

どうしても写り込んでしまったピンクの巨大構造物は無視してください。

アスロック(対潜ロケット)Mk 46 8連装ランチャー後部には
ここにもシャムロックがペイントされています。

このタイプは冷戦時代のほとんどの駆逐艦と巡洋艦が搭載していました。

昔の潜水服みたいな艦橋デッキの装備。
これも何かわかりませんでした。 

この右側のドアを入っていくと艦橋があります。



艦橋デッキ。

 

甲板を歩いて行くと、こんなものがありました。
ヘリ搭載艦の甲板の駐機場所にある「不」みたいです。

艦首側から見た主砲と構造物。

四角いアンテナの下の湾曲したアンテナはSPS-10探索レーダーです。

あの鐘を鳴らす人はやっと昨年末から紅白出場をあきらめたようですが、
この鐘は鳴らないようにしてしまっているようです。


まるで外に向かって座るためのベンチのような構造物。
海自の遠洋練習航海の報告会で、訓練幹部たちが、遠洋航海中
船の上から海に飛び込むという訓練を行ったという話を聞きましたが、
もし当艦で行うならばここから飛ぶといいかもしれません。 

ところで、わたしが「ジョーイP」の上で熱心に写真を撮っていると、
横で立ち止まった影があったので撮影を中止し、

「どうぞ通ってください」

というと、その男性はいいよいいよ、先に撮んなさい、と手で合図し、

「この艦にはJFKが乗ったことがあるって知ってた?」

とわたしに話しかけてきました。
実はこのときわたしはこの艦の「ジョセフ・パトリック」という人物が
JFKのなんなのか、全く基礎知識を持っていないまま見学していたのですが、
このセリフによって、ようやくJFKの関係者であるという確信を得たくらいです。
もちろん全然知らなかった、とわたしがいうと、
続けて彼はこのように言いました。

「1962年のアメリカズカップが行われたとき、JFKはこのフネに乗ってそれを観たんだよ」

wiki

1962年、JFKとジャクリーン夫人は、ジョーイPの甲板から
『海のF1』と呼ばれるヨットレース、アメリカズカップを観戦しました。

実に絵になっているこの写真ですが、ジャクリーンの姿勢には
すごく無理があって、写真を撮られていることを意識しまくりです。

彼女がドレスを選ぶとき、夫のジャケットの色と合わせて
このスーツを選んだらしいことがこのカラー写真でわかりますね。

「駆逐艦に乗ってヨット観戦」→やっぱりイメージはネイビーブルーね!

彼女がその日クローゼットの前で考えたであろうことが、
髪に巻いたスカーフの色からも窺いしれるではありませんか。 


このときJFKがスピーチをしている動画がありました。

President John F. Kennedy's America's Cup speech in 1962 and JPK DD850

このタイトルだと艦名は「JPK」となっています。
わたしにそれを教えてくれた艦上の男性はさらに続けて、 

「わたしは小さかったが、それをテレビで見てたんだよ。」

「年号まで・・よく覚えておられるんですね!」

男性は誇らしげに言いました。

「そりゃそうさ、JFKはずっとわたしのヒーローだったからね!」

 

 

続く。

 



 

 



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10 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
船名符字 (ハーロック三世)
2017-02-02 02:29:11
>船名符字のN

それは、アメリカ合衆国でしょう。

以前にもお話ししたと思いますが、船と航空機は共通するものが非常に多いです。

というより、航空機が船舶に倣ったといった方が正しいかもしれません。

航空機の登録機番、日本はJAXXXX、アメリカはNXXXXなのです。

ごく稀に日本の航空会社の飛行機で、リース会社のもの、かつ所有者がアメリカ籍の会社だった場合、NXXXJL (JALの場合)とか、NXXXNH (ANAの場合)となります。

確か、鹿屋にある零戦もN番だったと記憶しています。
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アスロック (Unknown)
2017-02-02 05:32:03
青色の弾体はアスロックの模擬弾です。装填や発射手順の訓練に使います。アスロック以外でも、青色は模擬弾(炸薬やロケットが入っておらず安全)で白色が実弾です。

14枚目の写真に、短魚雷の前にドアがあり、その両横に丸い蓋のようなものが見えますが、このドアの中がアスロック弾庫で、丸い蓋は、弾庫内で爆発があった場合に爆風を逃がす蓋です。

アスロックは8,9枚目の写真でアスロックの左に写っている灰色のコンテナに納められ弾庫内に格納されています。

ランチャに装填する際には、コンテナ毎、台車に乗せ、ラマーレールと呼ばれる、8,9枚目の写真でアスロックがぶら下がっている装填装置の下に持って来て、コンテナの蓋を開け、ラマーレールを降ろして、弾をラマーレールにぶら下げ、ランチャを動かして、ラマーレールと一線になるように角度を合わせて装填します。

アスロックは危険で重いので、慎重に取り扱います。一発装填するのに15分くらい。全弾(8発)装填するには2時間くらいかかります。かなりな手間でかつ神経を使うので、日本人は直接装填装置を開発しました。一発一発込めるのは大変なので、8発一度に込めようというものです。なぜか米軍では見られません。

ダッシュを降ろした「なつぐも」のダッシュ格納庫に、あの大きなアスロックランチャの中身(8発のアスロック弾がレールにぶら下がっている)をそのまま作り込んで、8本のレールを一度に伸ばして、ランチャに直接装填する仕組みを作って試験し、その後、はつゆき型以降、VLSに変わるまでのあさぎり型とはたかぜ型の合計22隻に搭載されました。

艦橋の下に4枚(1枚から上下2発が出て来る)の大きな扉があり、その中にあります。長さ6メートルの大きなアスロック弾が8発一度に出て来る様はなかなかの壮観です。

この時期に建造されたあぶくま型はアスロック弾庫がないので、直接装填装置もなくラマーレール方式で、前の煙突の後ろ右側に、Joseph P. Kennedyと同じものがあります。スケルトンの部分はやはりスケルトンです。

潜水服状のものは洋上給油の際に補給艦から来る給油プローブを受ける給油口で、使う際には隔壁に付けます。隔壁に付いている赤いラック状のものは消火ホース掛けです。
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JFKは「ヨット乗り」だったのかな? (鉄火お嬢)
2017-02-02 09:12:20
ヨットを持つには幾ら掛かるのか、と聞かれて「幾ら掛かるか気になるようならヨットを持つ資格はない」とチャーチルが答えたそうですが、欧米にはいくら富裕になろうとも入るのが難しい上流社会サークルがあり、その鍵は「貴族」「ヨット」「フランス語」だそうです。故指揮者カラヤンはサントロペに自分のヨットを持ってて、それも何人もクルーを使う大型で、しかも素人趣味でなくレースで優勝する腕前でしたが(プロペラ機から、50代でジェット免許を取り直してダッソーファルコンを操縦したり、F2レーシングカー乗ってたぐらいだから、本気出せばヨットも彼には難しくなかったのかも)アマチュア指揮者でもあったヒース元英首相ともヨット仲間だったのでした。カラヤンに言わせると、ヨットをクルーを指示して目的地まで着けるのは、オーケストラを指揮することに非常にフィードバックされるそうでしたが。何百人もの、さまざまな職種の集団を統括して航海また戦闘する艦長も、オーケストラの指揮者に似たところがありますね。
日本の芸能人もヨット好きはかなりいて、代表的俳優だった弟と、若い頃ヨット遊びでお坊ちゃんイメージで売った元知事はたぶん訴訟を入院で回避すると思いますが、ヨットは本来本気でやったら人間が鍛え上げられて、真人間になるキッツい道楽のはずなんだがなー(笑)
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エリス中尉の疑問 (お節介船屋)
2017-02-02 09:56:34
海自の方がお答えになるかもしれませんがお節介
➡溺者救助用担架・・・・かと思いましたが
正解では。
➡赤の半円型がモダンアート
消火用ホース掛け。
➡そもそもこういう場所にこういう角度で魚雷を置くかなあ、
ASROC発射機への装填装置にASROCを装着してある状態。
➡昔の潜水服みたいな艦橋デッキの装備。
洋上給油装置のプローブ・レシーバーが給油口を下向きに甲板に固定してあります。
普通は側壁に金物で取り付けてありホースが繋がっています。
給油艦のプローブが下向きのラッパ状の口(給油時は給油艦の方へ向いています。)に篏合させ、油をうけとります。
➡ヘリ搭載艦の甲板の駐機場所にある「不」みたいです。
消火用ホース格納架台です。
➡まるで外に向かって座るためのベンチのような構造物。
救命筏格納架台。
以上どなたか誤りがあれば訂正を!
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Control Stationとhandling equipment (佐久間)
2017-02-02 19:15:16
次の二つのコンテンツで、よくお判りになられると存じます:

https://www.flickr.com/photos/ian_e_abbott/30763914122/

http://www.navweaps.com/Weapons/WMUS_ASROC.php
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皆さま (エリス中尉)
2017-02-07 19:17:25
ハーロック三世さま
JPが日本なのだからNはアメリカなのだろうなと予想してはいたのですが、
さてそれでは”N”ってなんの意味なのでしょう?
”N”orth America?
United ”N”ations of America?
多分後者だと思うのですが、なんかスッキリしないんですよね・・・。

unknownさん、お節介船屋さん、佐久間さん
皆さまお答えありがとうございますー!模擬弾なので色がついていたんですね。
そして模擬弾なのでスペックに出ていないと・・・・これで腑に落ちました。

お節介船屋さん、あれ救助に使うんですか!
まさか水には浮かないと思いますが、なんか使い方があるんですねきっと。

ダッシュの格納庫を装填装置の倉庫にしてしまったってことですね。
いっぺんに8つ装填できる仕組みを開発するというのは流石に日本人。
最初の発明はしないけど、便利なことはどんどん思いついてしまう・・・。

昔の潜水服みたいなアレの用途もよくわかりました。

佐久間さん、貼っていただいたロッキードマーチンの写真は
まさにこれを発射しているところみたいですね。

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かご、溺者救助用 (お節介船屋)
2017-02-07 20:24:27
ほぼ同じ物を海上自衛隊で使用しています。正式名「かご、溺者救助用」
ダビットで水面まで吊りおろして、救助員が溺者をこのかごに入れて、吊り上げ、艦内に収容となります。
確か相当前の自衛艦の艦上写真で溺者の人形と一緒に写っていたのではと思いますが。

ヘリコプターでケガ人を機内に収容する救助用担架と同様ですが暴露部の置いているのでちょっとごつい代物。
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Nレジ (ハーロック三世)
2017-02-08 01:02:49
N レジ(registeration)の理由は無線のコールサインとしてアメリカに割り当てられていたN、K、Wのうち、1909年11月から海軍がNを使っていたため航空機にも広げて、それに合わせて国籍表記をNとしたそうです。

詳しくは連邦航空局のサイトに出ております。
FAAサイト

Aircraft N-Number History をsearch入力

Search 結果のうちAircraft N-Number Historyをクリックして見てください。
(リンクを貼ろうとしましたが、不正とされて投稿できませんでした)
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みなさま (エリス中尉)
2017-02-14 15:29:22
鉄火お嬢さん
きつい道楽(笑)海自の艦艇出身でそれをやってる人を知ってます。

カラヤンはスキーもプロ級の腕前だったと言いますね。
百人のオケを統制することと、自分の体を隅々まで統制することもまた
彼にとっては同じだったということかもしれません。
男と生まれて一度はやってみたい三つの仕事が、オーケストラの指揮者、
戦艦の艦長、そして残る一つはプロ野球の監督と言われてきましたが、
その共通点は「統率」。今の若者はどうなんでしょうか。

ハーロック三世さん
リンク先見ました。
「ライト兄弟に敬意を評して最初はWにしたいという意向もあった」とか、面白いですね。
イギリスはG、グレートブリテンのGと考えればイギリス人的にもこれは
納得のコードだったのではないでしょうか。

日本はすんなりわかりやすいJが取れたのは競争率が低かったというか、
他にJのつく国ってヨルダンとジャマイカくらいだったからですかね。

返信する
溺者救助用 (エリス中尉)
2017-02-14 16:42:09
そういえば護衛艦で見る救助用もこんな感じでした。
なんとなく単体で浮かべて使うものだと思い込んでいました。
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