国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

天皇特例会見問題

2009年12月17日 | 中国
天皇特例会見問題で小沢一郎民主党幹事長への批判が高まっている。私も小沢氏の発言や行動は非常に問題があるとの立場である。特に、「陛下の体調がすぐれないなら優位性の低い(他の)行事はお休みになればいいことだ。」「宮内庁の役人が作ったから、金科玉条で絶対というそんなバカな話があるかっていうんですよ。天皇陛下ご自身に聞いてみたら『手違いで遅れたかもしれないけれども会いましょう』と必ずおっしゃると思うよ」との発言は、一政党の幹事長の立場で天皇に命令を下し、陛下の意志を勝手に決め付けるものであり、言語道断である。彼はこの発言で事実上政治生命を失ったと言っても良いだろう。前原誠司国土交通相は、陛下との会見は一カ月以上前に文書で申請するルールについて「政権交代が行われたので、もう一度議論した方がいい」と主張しているが、私はこの主張にも反対である。天皇を一人の人間としてみたとき、75才と高齢で、しかも癌の手術後で体力が落ちている状態であるというのが基本認識であろう。その様な人が職務を制限されると言うのは健康管理の点から見て全く正当なことである。1ヶ月以上前に申し込むべきという制限を加えることで、陛下との会見希望の頻度を制限できるからである。そもそも、1ヶ月以内に訪日する外国政府要人は日本に緊急の用事があるから来るのであり、その様な人物は用事を済ませたら本国に帰国して貰えばよい。どうしても天皇陛下との会見を希望するのなら、再度訪日するか、あるいは訪日日程を延期すればよいだけである。習近平・中国国家副主席も、訪日日程を変更すれば何の問題もなかったのだ。政治家は体調に関わらず全力で働いているのだから、天皇陛下も多少の無理はしてもらうべきという批判もあるかもしれない。しかし、政治家は基本的に使い捨てなのに対し、天皇陛下には数十年の在位期間に渡って国事行為等の公務を実行していただく必要があり、その健康管理が政治家とは異なるべきである。その点で羽毛田宮内庁長官の発言は全く正当である。中国政府としては、1ヶ月ルールを破らせることで中国の国威を日本に見せつけるとの意図があったのではないかと思われる。今後も、中国政府要人の訪日では同様のルール破りが繰り返されることだろう。それに対して、日本政府は今後どう対応すればよいのか?今回の事件は今後に禍根を残す事になりそうだ。 . . . 本文を読む
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